コラム

各界の専門家が発信するお役立ちコラム

2022年4月22日

旅に出ると、その街に路面電車が走っていることがあります。私(担当M)は時間があれば一日乗車券を買って、端から端まで通しで乗車します。鉄道駅付近から出発し、大通りを行く車やバスに囲まれて軌道を走り、通勤通学客や買い物客などを地域の施設に運んでいく路面電車は、どこの地域においても「地域の足」でした。
路面電車は、バスのように渋滞に巻き込まれることがありません。現在では連結された超低床車も多く、一度に多くの人を運ぶこともできます。
2022年度には宇都宮ライトレールが開業し、2023年度には岡山電気軌道の路面電車が延伸されます。広島電鉄の駅前大橋線も予定されています。
こうした開業ラッシュを迎えつつも、日本の路面電車には。諸外国にはあまり見られない弱点がありました。現状を憂えて停滞の原因を探ったのが、今回ご紹介する『路面電車』です。
日本の路面電車の運賃収受は、運転士(車掌)のチェックする運賃箱への支払いです。乗降扉が限定されるので時間がかかり、定時運行の妨げにもなりかねません。今では交通ICカードの登場で時間は短縮されましたが、小銭との併用と乗降扉が限定されるシステムは基本的に変わっていません。
路面電車が真に「地域の足」となり、都心部の渋滞解消や大気汚染の軽減を進め、ひとが主役となる都市空間を作り上げるには、何を変えていけばいいのでしょうか?
LRT導入率の高い海外では、これまでどのような方式によって利便性を高め、利用促進を進めてきたのでしょう。LRT先進国の普及の秘密と日本の路面電車の試行錯誤の歴史と展望を、運賃収受方式に着目して解説します。 大量輸送と定時運行の秘訣は「運賃収受」?『路面電車』のつづきを読む
2022年4月22日

釣りは魚との勝負とはまさによく言ったもので、魚を釣り上げるためには、勝負相手をよく調べるように魚のことを知らなければいけません。裏をかかれてエサだけ取られたり、いるのはわかっているのに何故か食いついてくれなかったりという経験は、釣りをする方なら誰しもあることでしょう。
勝負に勝つには、先輩に教わるのも手です。魚の生態をよく知っている人として、水族館の飼育員さんが思い浮かびます。毎日魚の世話をしている人たちが、しかも釣り名人だったらどうでしょう。飼育のプロと釣り人の視点から、釣りに役立つ知識を教えてくれるのではないでしょうか?
そんな発想で作られたのが、今回ご紹介する『水族館発!みんなが知りたい釣り魚の生態』です。国内の渓流、海、海外、そして水族館内まで、本書に出てくる釣り現場は様々です。飼育下で観察した魚の生態が、フィールドでどのように活用できるのか?釣り人にはもちろん、釣りをしない人にも面白い、魚の意外な生態がたっぷり紹介されています。
また本文中で語られる、水族館の仕事も興味深いものです。執筆者の所属館のいくつかは、既に閉館しています。水族館が苦境に立たされている今こそ、知る意義があるのではないでしょうか。本書では、疑問を抱き、観察し、検証し、理論化するといった一連の科学的態度が、趣味の釣りと仕事としての飼育を繋げています。その様子を、本書を通して読み取っていただければと思います。 飼育員がこっそり教える釣りのコツ『水族館発!みんなが知りたい釣り魚の生態』のつづきを読む
2022年4月19日

春になって、色々な場所に緑が出始めました。水中も例外ではなく、池や川、ちょっとした水たまりや田んぼに張られた水の中にも水草や藻の姿が見えます。こうした場所では、目に見えるものだけではなく、微細な藻類も暮らしています。小さな藻類の中の、単細胞生物を「マイクロアルジェ」と呼びます。以前「クロレラ」のブームがありましたが、これもその一種です。
クロレラがブームになったのは、健康によいとされたからです。今もその健康効果を期待したサプリメント等が販売されています。少し前、同じような健康効果を期待できるマイクロアルジェとして新たに注目されたのが「ユーグレナ(ミドリムシ)」です。
これらマイクロアルジェには健康効果だけでなく、バイオ燃料、バイオマテリアルとしても期待が集まり、数多くの研究が行われています。
マイクロアルジェが生育するのは、実は水中だけではありません。一見コケに見えるイシクラゲや、中国料理で使われる髪菜のように、陸上の乾燥した環境で生きるものもいます。また、他の生物と共生するものもいます。過酷なものを含む多彩な環境で生きられること、様々な有効成分を含むこと、光合成を行って酸素を作れること、これらの理由から、人間の健康以外にも様々な利用法が考えられます。
今回ご紹介する『ミドリムシの仲間がつくる地球環境と健康』では、微細藻類を地球環境改善と人間の健康に役立てようと長年研究を続けてきた著者が、その研究成果と世界の様々な研究事例を紹介しながら、マイクロアルジェの世界をご案内します。 小さな藻の大きな役割!『ミドリムシの仲間がつくる地球環境と健康』のつづきを読む
2022年4月5日

3月31日は、年度末で忙しい方も多かったと思います。しかし早朝と夜間に、また地震のニュースがありました。早朝は南太平洋で、夜間は千葉と京都で起こったものです。3月の半ばにも、東北で大きな地震があったばかりです。
また1月と3月上旬には、南太平洋で大きな噴火がありました。昨年には小笠原の海底火山噴火によって軽石が大量に漂着する被害も起こっています。
さらに大きい地震や噴火が起こってもおかしくないのでは、と不安に思っている方も多いでしょう。災害に対する不安を少なくするためには、相手を知って、正しく備えることが必要です。「どうして日本は地震や火山が多いの?」「南海トラフ地震や富士山噴火はいつ起こるの?」「結局どうすればいいの?」そうした不安に、この本が寄り添ってくれるかもしれません。
南海トラフ地震と富士山噴火、二つの懸念とともに暮らす静岡県民向けに、防災講座が開催されました。この防災講座の内容をベースに、やさしくまとめられたのが今回ご紹介する『地震と火山と防災のはなし』です。日本に地震と火山が多い理由、富士山の噴火と南海トラフ地震の予測と防災について解説したあと、自然との付き合い方と防災の心構えを提案します。 備えつつ暮らすための副読本『地震と火山と防災のはなし』のつづきを読む
2022年3月30日

空港で、皆さんは何をしますか?旅行のために空港に向かい、搭乗前の様々な手続きを済ませて出発ロビーでひと息つき、何かお腹に入れながら旅先に思いを馳せる?時間勝負のビジネス移動で、できるだけ並ばずにスマートに手続きをし、搭乗直前まで仕事を進める?あるいは旅行ではなく、飛行機を眺めるためだけに空港に行くという人もいるでしょう。
そういった様々な利用を支えるため、空港では色々な会社、設備、システムと従業員が動いています。今回ご紹介するのは、国際・国内双方で日本を代表する羽田空港の解説書『進化する羽田空港』です。羽田空港は、旅客満足度で世界トップクラスに輝く魅力的な空港です。多くの人々を惹きつけてやまないこの巨大空港を、歴史、運営、設備と施設、運用の実績データ、空港を支える人々といったあらゆる面から徹底解剖しました。特に、羽田空港で働く人々をストーリー仕立てで隅から隅まで紹介した第6章は、読んでいるだけでワクワクします。
この本を読んだあと羽田空港から飛び立つ機会があったら、印象的な項目を思い出してみてください。空港までの交通機関や道路、駐車場、チェックインや荷物検査等の諸手続き、搭乗した飛行機が滑走路に向かい、離陸し、どこを通って高度を上げていくか、そのすべてに「羽田空港ならでは」の仕組みや努力が隠れているのです。 満足度世界トップクラスの秘密『進化する羽田空港』のつづきを読む
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