コラム

各界の専門家が発信するお役立ちコラム

2022年6月1日

レジャーや移動で船に乗る機会があると、風と波の勢いに驚きます。釣りや水上バスといった沿岸の短い距離でもそうなのですから、沖や遠洋での航海においては、天候や海象の影響はさらに大きくなります。危険と隣り合わせの海上で、客船や貨物船、漁船等、船舶の乗員は安全に航海を遂行しなければなりません。
前回は、海難事故に対応する特殊救難隊についての書籍をご紹介しました。事故を起こさないため、船を動かす側、船長や船員はどのように行動するべきなのでしょうか。航海中にはどのようなトラブルが起こる可能性があり、また実際に事故が起こってしまったときの被害を最小限に抑えるためには。乗員はどう対処するべきでしょうか。
今回ご紹介する『新訂 船舶安全学概論』は、船舶の運航に関わる全ての方々に向けた、船舶安全の教科書です。船舶安全学について総論を解説した後、原因究明や審判に関わる法制度、実際の事故事例での具体的な対処方法、船員の労働災害について紹介します。工学的、社会科学的2つの視点から、海上安全について包括的に論じました。 安全に出航して戻ってくるための基礎知識『新訂 船舶安全学概論』のつづきを読む
2022年6月1日

この4月に起こった観光船沈没事故。このような海難事故が起こった時、救助に動くのが海上保安庁の特殊救難隊です。しかし4月の事故では、事故現場が海上保安庁の起動救難士の「1時間出動圏」の外であったため、救助隊の到着までに時間がかかってしまいました。海上保安庁はこの結果を受け、全国の救助体制の強化に向け、検討を進めています。より迅速に救助現場に到着できるよう、改善が図られる見込みです。
海上保安庁特殊救難隊設立のきっかけも、実際の海難事故でした。昭和49年11月、東京湾で発生したタンカーと貨物船の衝突事故を契機とし、昭和50年に隊員5名体制でスタートしたのです。
海で起こる様々な事故に臨機応変に対応し、迅速な救助を行うため、隊員はどのような訓練を行っているのでしょう。またこれまで、どのような事例において活躍してきたのでしょうか?
今回ご紹介する『海難救助のプロフェッショナル 海上保安庁 特殊救難隊』では、海上保安庁特殊救難隊のOBたちがこれまでの任務について、やりがいや後輩への期待、ヒヤリハットなどを語ってくれました。後半は実際の出動事例と、現役隊員の対談で日常の訓練の様子をご紹介します。
事故やヒヤリハットに出会うたび志新たに改善を繰り返し、「苦しい 疲れた もうやめたでは人の命は救えない」をモットーに活動を続ける救難隊の人々。その姿を通して、海の安全への努力をご覧ください。 悲しみの涙でなく喜びの涙を!『海難救助のプロフェッショナル 海上保安庁 特殊救難隊』のつづきを読む
2022年5月20日

10連休も可能だった今年のGW。久しぶりにどこかへ出かけたという方も多かったと思います。
初校で気になるのが移動時間です。目的地に向かう途中や疲れた帰り道、予定以上の時間をとられるのは困りますね。列車は事故がなければ比較的時間通りに運行しますが、自家用車は渋滞につかまるかもしれませんし、飛行機は遅れるかもしれません。空港でフライトボードを見ながら、搭乗手続きはまだかな?と思った経験はないでしょうか。
飛行機にももちろんダイヤは存在します。しかし、列車のものと飛行機のダイヤは性格が違います。滑走路はそんなにたくさんないのに、同じ時間に離陸する便が複数重なる場合もあるのです。一気に飛び立つことは不可能なのに、なぜこのようなダイヤが組まれるのでしょう?
今回ご紹介する『飛行機ダイヤのしくみ』は、こうした飛行機ダイヤの特徴と、飛行機ダイヤの作られ方、飛行時間に影響する要素は何か、鉄道ダイヤとの違いは何か等、あまり知られていなかった飛行機ダイヤについて解説します。実際の飛行機時刻表や、元機長である著者が経験した出来事を紹介したコラムも掲載しています。
この本を読んだら、待ち時間について納得できるかもしれません。 定刻到着は天候とパイロットの腕次第?『飛行機ダイヤのしくみ』のつづきを読む
2022年5月19日

地球温暖化の話をするとき、極地の氷が溶けている!という話が出ることがあります。崩れ落ちる氷壁や露出した地面の映像は、私たちの危機感に訴えかけてきます。
ところで、北極、といって皆さんの頭に浮かぶイメージは何でしょう?南極は大陸があるので、ペンギンの群れや南極観測基地、観測船などを思い浮かべる方が多いかもしれません。しかし北極域の中心は海洋です。海氷の上を歩くホッキョクグマや海から顔を出すアザラシといった動物や、オーロラを想像する方も多いかもしれません。
北極は南極とともに、極地で起こる諸現象の観測において同等に重要な地域です。しかし北極域は、複雑な陸地に接する海という自然の特性により、ひと固まりに把握することがなかなか難しいのです。加えて、様々な国に属する場所が集まっているという理由により、国際的な調査が難しく、科学観測においても長いこと空白域でした。
そこで、北極に関する情報を整理し、北極域の自然を全体として理解できるように書かれたのが、今回ご紹介する『北極読本』です。本書では、極地研究の専門家たちが、北極における地球科学、生物科学、観測の歴史を解説しています。加えて、北極域の民族、資源開発や北海航路などの政治経済的な問題についても触れています。
地球の気候を保つ北と南二つの極地のうち、北極について知りたい方はこの一冊をどうぞ。姉妹編『南極読本』と同様に、現在の極地研究について知ることができる入門書であるとともに、情報満載の「北極ペディア」としてもお使いいただけます。 陸に囲まれた北の「冷源」『北極読本』のつづきを読む
2022年5月13日

この間桜が咲いたと思ったら、あっという間に5月の連休も終わってしまいました。雨の季節もすぐそこです。作物を育てる恵みの雨も、度が過ぎれば沿岸域に被害を及ぼす洪水になります。歴史上何度も被害を受けてきた地域も多く、そうした場所で暮らす方々は、洪水に備える知恵を受け継いできたことでしょう。
洪水の被害を防ぐため、日本では上流ではダムの建設、中流では遊水地による水量の調節や堤防の建設など、様々な対策を続けてきています。被害軽減のためには、構造物によらない洪水対策も併せて用いられてきました。それは洪水を避け、逃げることです。
避難のためには、いつどこで洪水が起こるかを予測することが必要です。また、この予測は避難のためだけではなく、構造物の効果的な活用や保守のためにも欠かせません。
さらに「効果的に逃げる」ためには、これらの予測情報を的確に活用しなければなりません。今回ご紹介する『レーダで洪水を予測する』では、河川洪水について、現在どのように河川の観測と洪水予測が行われ、どのような形でデータが提供されているかを解説します。情報活用によって、個々人が災害時により的確な判断を行えるようになるでしょう。
暴れ川の側で暮らしてきた人々の間に受け継がれてきた知恵が、現在は形を変えてレーダ観測データとして広く提供されるようになっているのです。 雲を見る目を使って、効果的に逃げる!『レーダで洪水を予測する』のつづきを読む
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