コラム

各界の専門家が発信するお役立ちコラム

2022年1月27日

2021年12月、日立製作所のグループ会社とフランスのアルストムが出資する共同事業体が、イギリスで建設中の高速鉄道「ハイスピード2(HS2)」向け車両の製造・保守を受注したという発表がありました。欧州最速の高速列車の設計製造とその保守という巨大プロジェクトです。
現在、新型コロナウイルスの影響で国内の鉄道旅客需要が減っているため、政府は米国をはじめとする各国への日本の鉄道インフラシステムの輸出計画に力を注いでいます。
インフラを海外に輸出する場合、スムーズな進行には何が重要だと思いますか?輸出先に合ったシステムや安全性はもちろんですが、実は人間も非常に大きな役割を果たします。特にプロジェクト全体を監理するプロジェクトマネジャー、鉄道全般を見渡して設計を主導するシステムインテグレーターが求められていますが、人材が非常に不足しているのです。
今回ご紹介する『鉄道システムインテグレーター』では、このシステムインテグレーターについて、役割と業務遂行および養成の課題についてまとめました。大きなプロジェクトを一から作り上げる醍醐味を味わってみたいという鉄道人におすすめします。 「世界一」が海外で勝つために:『鉄道システムインテグレーター』のつづきを読む
2022年1月21日

「TSUNAMI」という言葉は、今や世界の共通語となっています。4つのプレートの境界に位置する日本は地震と火山だけではなく、それらによって発生する津波の影響も受けます。約22000名の犠牲者を出した1896年の明治三陸地震津波、未だ傷跡の残る2011年の東日本大震災での津波をはじめ、日本は大きな津波に襲われてきました。
体験したことのない人は、津波の被害は沿岸部に限られていると思ってしまいがちです。しかし、津波はいち早く河口などから河川や運河・水路に沿って内陸奥深くまで遡って、河川の周辺を襲うのです。東日本大震災では、河口から約50kmの場所でも河川の逆流が記録されています。
今回ご紹介する『逆流する津波』は、津波の基本を解説したのち、この「河川津波」に着目して、発生メカニズムや被害について解説します。また、津波の観測と予測や、防災・減災・避難方法も後半で取り扱います。
災害の本を書いた著者の多くが「災害を記憶に留め、意識することが防災につながる」と述べています。東日本大震災の被災地東北を拠点に研究を続ける著者も、数々の事例を引きながらあとがきでそのように記しています。本書が防災意識を高める助けになれば幸いです。 川から内陸部を襲う『逆流する津波』のつづきを読む
2022年1月19日

1月15日、トンガの海底火山が大規模な噴火を起こしました。津波、インフラの崩壊等の甚大な被害が伝わってきています。しかし全貌は未だ掴みきれておらず、現地の方々の安否が気遣われています。また、昨年は日本でも小笠原諸島で海底火山が噴火し、大量の軽石が各地に漂着する原因となりました。現在東京国立博物館で行われている「ポンペイ展」でも、ヴェスヴィオ火山噴火の爪痕を展示物に見ることができます。
このような恐ろしい災害をもたらす火山は、地球のどんなメカニズムによって生まれ、噴火するのでしょう?日本をはじめとする環太平洋地域の国々は、海洋プレートが大陸プレートを巻き込みながら沈み込んでいる位置にあります。この条件において、火山ができるのです。日本は4つのプレートの境目に位置しますので、火山と地震とはずっと付き合い続けなければなりません。火山とともに暮らしていくには、適切な避難方法や、被害を減らす方法を知っておく必要があります。
今回ご紹介する『火山』は、防災コンサルタントの著者が、火山の発生メカニズムと噴火の仕組みをやさしく解説します。災害国ならではの、火山との付き合い方を学んでいきましょう。
地球の生きている証?怒れる山『火山』のつづきを読む
2022年1月14日

地球温暖化に影響しそうな人間活動として、何を思い浮かべますか?昔は「大気汚染」といえば工場から出ている煙や自動車から出ている排気ガスのイメージでした。現在でも、温室効果ガスの9割以上を占めるCO₂は、主にエネルギー部門や産業部門、運輸部門から排出されています。そのうち自動車等の運輸部門は、約18%を占めます。
今回ご紹介する『運輸部門の気候変動対策』は、日本が掲げた「2050年までに温室効果ガス排出量を80%以上削減する」という目標を実現するため、運輸部門において何ができるか、世界と日本の現状を確認しつつ検討しています。一部の国では、ガソリン車・ディーゼル車の新規販売を将来的に禁止する方針が発表されていますが、電気自動車の有効な促進策や効果的な使い方はどのようなものでしょうか?
また後半では少し範囲を広げ、公共交通と居住地、ライフスタイルと自動車利用の関係なども検証し、気候変動に対して運輸無紋がとるべき指針を探ります。 EVは救世主となるか?『運輸部門の気候変動対策』のつづきを読む
2022年1月12日

ここ数年は旅に出ることもなかなか難しい社会状況で、旅行産業は苦戦しています。しかし、「落ち着いたらここへ行きたい」と、思いを募らせている人は多いでしょう。旅の思い出の中で、印象に残っていることは何でしょう。美しい景色やおいしい料理?旅先で受けたサービスによって、旅全体の印象がよくなったことはありますか?
今回ご紹介する『人が活躍するツーリズム産業の価値共創』では、観光の現場における「ひと」に注目します。宿やお店、交通機関で旅客に接するのは従業員ですから、従業員の質が旅客の満足度に影響するのは当然です。しかし産業構造の変化、とりわけ今回のコロナ禍によって、旅行産業の現場は一変しました。
観光の現場で「ひと」が果たす役割はこのまま消えていってしまうのでしょうか?お客を迎える従業員と地元の人々、快適なサービスを求める顧客、改革を志す経営陣や施設運営者、観光に関わるすべての人々が協力して価値を作り出すことができれば、この先も楽しい思い出と利益の両立が可能なのではないでしょうか。 「楽しい」旅は誰がつくる?『人が活躍するツーリズム産業の価値共創』のつづきを読む
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