コラム

各界の専門家が発信するお役立ちコラム

2022年2月16日

そろそろ花粉症の季節がやってきますね。日本人の3人に1人が何らかのアレルギーを持つといわれています。花粉症の他によくみられるものにはハウスダスト、犬や猫等の動物の毛などがあります。食物では、卵や牛乳、大豆、ソバ、小麦粉などが有名です。症状の酷い場合は命に関わることもあり、アレルギーのある人や周りの人は食べ物に注意しなければなりません。
当社の発行物に関わる水産分野にも、アレルギーを起こす食品があります。エビやカニなどの甲殻類が代表的ですが、魚もアレルギーの原因となります。日本は伝統的に魚を多く食べてきましたが、魚貝類によるアレルギーの研究が本格化したのは1990年代に入ってからのことでした。
今回ご紹介する『魚貝類とアレルギー』では、これまでの研究の成果を紹介し、魚貝類によるアレルギー全般を理解できるようやさしく解説します。
サバを食べたらじんましんが出た、というのは、実は厳密にいうとアレルギーではありません(仮性アレルギーと呼ばれています)。魚や貝を食べて「あたる」こととアレルギーとの違いが、本書を読んでいただければメカニズムからご理解いただけると思います。
この成分がアレルギーの原因だった?『魚貝類とアレルギー』のつづきを読む
2022年2月9日

水族館のペンギンコーナーや海獣コーナーで水槽の横やチューブ状になった部分から彼らの泳ぐ姿を見ていると、地上でのユーモラスな姿とはまったく違う飛ぶような泳ぎに目を奪われます。こんな速度で追いかけられたら、餌となる魚たちはひとたまりもないでしょう。それにしても、随分長い間潜っているのになかなか息継ぎに出ていかないな。どのくらい息を止めていられるのだろう?そんな風に思ったことはないでしょうか。
昔はそれを調べるために水面で延々と待つ必要がありましたが、現代はそうではありません。人間の目の届かない場所での動物の生態を調べる方法が発達しているからです。動物に小型のセンサー類取り付けて様々なデータを取り、それを分析することで、動物の生態を知る調査方法を。「バイオロギング」といいます。文字通り、生きた動物の行動ログを取るのです。
今回ご紹介する『バイオロギング』では、この方法が生まれて発展した経緯から、そこでわかったことの一部をご紹介します。水中や空中にいる動物の自然の行動を阻害することなく、精度の高い情報を効率的に得るための工夫は、デジタル革命の恩恵を受けて発展しました。私たちが携帯端末のお陰で迷子になりにくくなったのと同じ技術で、動物の秘密の生活が明らかにされてきたのです。 動物目線で生態を追う!『バイオロギング』のつづきを読む
2022年2月4日

オーロラは、私たちが地球上で目にすることのできる自然現象の中でも最も神秘的なものかもしれません。オーロラを見ることを目的とした旅行商品も色々あります。実は北海道でも、稀にオーロラを見ることができます。昨年11月にもオーロラ出現か?と話題になりました。
オーロラの源は太陽から噴き出すプラズマです。このプラズマと地球を取り巻く磁気圏、そして地球の大気が影響しあって、あの神秘的な現象が生まれるのです。地球の大気と磁場は、地球に住む生物を有害な宇宙線から守ってくれる防護壁でもありますが、その働きがまさにオーロラを生み出す仕組みでもあるのです。
今回ご紹介する『オーロラの謎』では、オーロラの仕組みや種類の説明とともに、地球を取り巻く磁気圏と磁力の流れを解き明かすための観測「共役点観測」について詳しく解説しています。南極と北極で同時にオーロラを調べ、オーロラの共通点や相違点を比較することで、普段は見えない地球の周りの磁力の流れと、それに影響を与える様々な要素が明らかになってきます。
極地の空を彩る光のカーテンは、巨大な太陽からやってくる強いエネルギーを、惑星である地球がどのように受け流し、取り込んで(利用して)いるかを、肉眼で垣間見られる貴重な現場でもあるのです。 地球を守る磁場のベール『オーロラの謎』のつづきを読む
2022年2月2日

フグ、お好きですか?盛りつけも美しく歯応えが最高なふぐ刺し、淡白な中にもしっかりとした味わいのあるふぐちり。一瞬ぎょっとしてしまいますが、卵巣のぬか漬け(石川県の名産です。ぜひお試しを!)もお酒に合います。まさに今が旬の、冬の味覚です。食べるのはそれほどではなくても、水族館などで見るおちょぼ口の姿にはなかなか愛嬌があります。
フグは毒のある魚としても有名ですが、近年天然物は減っていて、養殖が盛んです。実は養殖ものが増えるにつれて、フグの特徴である「毒」についても異変が起こってきました。養殖のフグは、一般的には毒をもたないのです。
養殖下で毒を失ってしまうということは、どういうことなのでしょうか。フグはどこからどのようにあの強力な毒を得ているのでしょう?
今回ご紹介する『フグはフグ毒をつくらない』は、フグ毒の源を追い、なぜフグが毒を持つのかを解明しようと試みます。フグにとって毒は武器や防具なのかもしれませんが、フグをなんとかして食べたい人間の食欲と探究心は、この毒の鎧をどこまで剥がせるのでしょうか。 毒はどこからやってくる?『フグはフグ毒をつくらない』のつづきを読む
2022年1月28日

クロダイは知名度が高く、水産業においても重要視されています。“捕る漁業から育てる漁業へ”という合言葉で進められてきた栽培漁業の対象としても有力な魚ですが、入荷量が多いため、価格は安めです。こうした背景から、私たちは普段、クロダイをそうと意識せずに食べているかもしれません。
しかし釣りの世界では、クロダイは熱狂的なファンがいるほど愛されている魚です。クロダイは大きく育ち、沿岸域でよく釣れて、しかも賢く駆け引きも楽しめるという、釣りにはもってこいの相手なのです。
今回ご紹介する『クロダイの生物学とチヌの釣魚学』は、釣りを通してクロダイに魅せられ、水産学の道を選んだ生粋のクロダイファンの著者が、趣味の釣りとライフワークの研究を結びつけ、クロダイの魅力と知識を伝えようという思いで書いた本です。釣り人の間で囁かれるあの噂は本当か?研究ではこういう可能性が出てきたが、フィールドではその可能性はどのように現れているのか?「生物学」と「釣魚学」の両面から鮮やかに描き出されるクロダイの世界を覗いてみましょう。 釣りから見える、研究で知る!『クロダイの生物学とチヌの釣魚学』のつづきを読む
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