水産の書籍紹介

空飛ぶ漁師カワウとヒトとの上手な付き合い方―被害の真相とその解決策を探る― ベルソーブックス042

坪井 潤一 著

カワウを悪者にする水産資源管理はもうやめよう! 元来、カワウは″水に潜って魚を食べる鳥″。魚や鳥の暮らす水辺環境をヒトの都合だけで管理してはならない。カワウの生態や取り巻く環境を理解すれば、やるべきことは見えてくる。 著者が試行錯誤を重ねてきた対策方法やカワウから教わったことが満載の本書を読んで、できることから始めよう! 【はじめに】より  筆者とカワウとの出会いは、母校北海道大学水産学部での講義だった。小城春雄先生が静かな語り口で説明する。 「最近、本州の河川ではカワウという鳥が急激に増えていて、水産被害や森林枯死が深……

応用微細藻類学−食料からエネルギーまで−

倉橋みどり・小柳津広志 編著

微細藻類利用の第一線を余すところなく解き明かす 「微細藻類」とはどのような生物を指すのであろうか。 いまからおよそ27億年前に、光合成能力を持った細菌が地球上に出現したと考えられている。その細菌が、真核生物に共生するようになり(一次共生)、やがて細胞内で葉緑体という光合成装置として取り込まれた。さらに、その光合成装置を細胞内に持つようになった真核光合成生物が、別の真核生物に共生する現象が活発に起こった(二次共生)。大雑把に表現すれば、このような進化上のイベントの結果として現れた光合成能を持つ生物のうち、陸上植物と大型海藻を除いたものが……

それゆけ、水産高校!−驚きの学校生活と被災の記録−

平居高志 著

水産にかかわった事のない普通の国語教師が、新たに着任した水産高校での生活を写真と文章で綴ったも内容。もともとは、自身が着任当時(平成22年)からスタートした、ブログ「水産高校だより」がベースになっている。独特な授業内容や施設、純朴な生徒や熱意ある教員との接触など、水産高校のもつ魅力が描かれている。題材は、著者の好奇心のままに選ばれているものの、観察と記述には自身の興味と学校や生徒への愛着が素直に描かれている。本書を読めば、あまり知られていない水産高校の魅力を知ることができる。付録として「東日本大震災 被災の記録」を掲載している。 【……

どんな魚がうまいか ベルソーブックス040

坂口 守彦 著

魚によっては旬や鮮度などによって、うまさが大きくかかわる。本書では「どの魚がうまいか」(どの種類の魚がうまいか)ではなく「どんな魚がうまいか」であることに注目して、そのうまさを解説している。また、今後、魚とうまくつきあうための「未利用資源の有効利用」についても簡単に触れている。 【はじめに】 私たちの食をつなぐ日々の料理は別として、レストランや料亭などで食べる特別な料理は日本料理であれ、中国料理、フランス料理であれ、そこにはある種の芸術性があるといわれる。人々が時々そのような料理を提供する場所に足を踏み入れるのは、ちょうど美術……

魚は減ってない!−暮らしの中にもっと魚を−

横山信一 著

東日本大震災を契機に、一部の例外地域を除き日本漁業が衰退していく原因を掘り下げ、巷に流布している誤った理解を正そうと、参議院議員であり水産学博士でもある著者の主張とこれまでの活動を記した1冊。 【目次】 1.復興対策で迫られる水産政策の見直し 2.資源の枯渇が漁業の衰退を招いたのか? 3.自由貿易が漁業を衰退させた! 4.燃油高騰による追い打ち 5.求められる魚価対策 6.思いがけない制度だった漁業所得補償 7.世界に誇れる資源管理型漁業 8.日本のTAC制度はOECDの想定外? 9.漁業権への民間資本参入は活……

ナマコ学−生物・産業・文化−

高橋 明義・奥村 誠一 共編

50年ぶりにまとめられたナマコ研究の成果! ○ナマコの生物的な謎の解明に個体と分子レベルの観点から挑む ○旺盛な中国の需要をターゲットにした生産・養殖技術、流通・消費の動向を紹介する。 ○古来より漢方の素材として、民族の文化として書物に記されているナマコを探る。 【序文】より 本書では生物・産業・文化の3点から『ナマコ』を論じた。平成21年9月に盛岡で開かれた日本水産学会水産増殖懇話会のテーマ「ナマコ増養殖の現状と将来?持続可能な生産方法の確立を目指して」を基底として企画されたナマコの専門書である。『生物』では読者対象と……

捕鯨の文化人類学

岸上伸啓 著

クジラは食料資源か聖獣か。日本と世界各地の捕鯨や捕鯨文化の歴史と現状を、19人のスペシャリストがさまざまな視点から比較検討する。 【はじめに】より  クジラは日本人にとって食料資源であり、産業資源であった。正確には、現在でもそうである。しかし、日本では商業捕鯨モラトリアム(一時中止)が始まった1988年以降、国内における鯨肉など鯨産物の流通量が低下し、価格も上昇したため、消費量が激減した。さらに、捕鯨を担う砲手や解体者の数も減り、その存続が危ぶまれている。現在では、イルカやクジラは、水族館や近海での鑑賞の対象になりつつある。わ……

さけ・ますふ化場−15年間の体験記−

田中哲彦 著

さけ・ますふ化事業黎明期の貴重な体験をまとめた書! 戦後日本の水産業を支えてきたさけ・ますふ化放流事業。第一線の現場で試行錯誤してきた著者による、ふ化場全盛期の貴重な体験記録。 【プロローグ】より 私がさけ・ますふ化場に入った昭和38年(1963年)は、北海道でサケ・マスのふ化放流事業が本格的に始まった年(明治21年)から数えて75年目に当たっていた。また、国が法律に基づいて自らふ化放流事業を行うことになった昭和27年から10年が過ぎた年であった。この長い歴史に加え、国が実施した新体制も整い、また、高度経済成長を背景とした予算措置の……

東日本大震災とこれからの水産業

白須敏朗 著

復興支援を考える参考書に。 東北の水産業に未曽有の被害をもたらした東日本大震災。その発生から現在に至るまでの経緯と復興の道筋を振り返り、これからのあるべき姿を考える。 【目次】 序章 東日本大震災の発生  (1)東日本大震災対策本部の立ち上げ  (2)三陸地方を襲った大地震 第一章 水産業を直撃した大震災  1 三陸の水産業の重要性とその再生・復興の必要性  2 東日本大震災に対する支援  (1)水産庁・水産業界による支援の動き  (2)大日本水産会による緊急の政策要請  (3)大日本水産会による義援金 ……

改訂 生鮮水産物の流通と産地戦略

濱田英嗣 著

硬直している生鮮水産物流通機構に、風穴をあける。 はたして、その取り組みは成功しているのだろうか?生産者、販売者側の独りよがりになってはいないだろうか? 産直、SCM、地域ブランドの取り組みなど、生鮮水産物の流通の変化と産地戦略の実態を探り、今後の生き残り戦略を提案する。 【改訂版発行にあたって】 本書は2011年に出版されたので、7年が経過している。本書の執筆にあたり,生鮮水産物流通の実情を広く紹介したいということよりも,流通経済論・商業論・マーケティング論の知見を生鮮水産物流通にあてはめ,工業製品や農産物とも違う生鮮水……
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