気象・海洋の書籍紹介
高潮の研究−その実例とメカニズム−
宮崎正衛 著
台風来襲時に大きな被害をもたらしてきた高潮。その予測は困難な点も多く、現在もなお脅威である。本書は日本沿岸・世界各地で発生した主な高潮を取り上げ、基礎から理論・予報手段まで解説する。
【内容】
台風に伴って発生することの多い高潮は、潮汐や台風の動きによっては予想を超えた被害をもたらすこともあり、依然として脅威な自然災害のひとつです。
本書は高潮の定義や基礎を実例とともにわかりやすく解説し、高潮の理論、予報・シミュレーション手段について概説したものです。実例として取り上げている高潮は過去100年に起きた顕著なもので、日本では約20例、……
偏西風の気象学 気象ブックス016
田中 博 著
本書は、日本の気候に大きな影響を及ぼす偏西風をテーマに、その背景に潜む大気大循環の全体像や、異常気象発生のメカニズムを解き明かしたものです。著者は筑波大学での教養課程の講義と、専門の研究の経験を活かして、偏西風研究の最先端をわかりやすく紹介しています。
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【はじめに】
偏西風とは、地球を取り巻くように恒常的に吹き続ける西風のことである。世界の大都市の多くは温帯気候にあり、温和で四季の移り変わりが明瞭な地域にある。この温帯で恒常的に吹く風は偏西風である。温帯は、夏には温暖な亜熱帯気団に覆われ、冬には冷涼な寒帯気団……
雲の世界−THE WORLD OF THE CLOUDS−
山田圭一 写真・解説/菊地勝弘 監修・総説
季節や気象条件によって変化する多種多様な表情を地上・空撮・衛星写真等、様々な角度から260枚もの写真に収めた1冊。
目次
1.雲の世界は千差万別
はじめに
雲の発生
雲の分類-十種雲級-
雲を規定するパラメーター
雲形と雲粒の形状
雲と気候変動
2.雲の分類
巻雲
巻積雲
巻層雲
高積雲
高層雲
乱層雲
層積雲
層雲
積雲
積乱雲
3.雲の組み合わせ
積雲と層積雲
巻雲と積雲
積雲と高層雲
巻雲と積雲
高層雲,層積雲と積雲
巻雲……
気象のことば 科学のこころ 気象ブックス017
廣田 勇 著
気象学を含む自然科学を人類文化の一形態としてとらえ、その歴史と考え方を古今東西の言葉を手がかりに考察したユニークな科学随筆集。
【まえがき】より
なにごとによらず、自分の目で物事を見つめそれについて様々な思いを巡らせるのは本当に楽しいことである。或いはいろいろな本を読んだり他人の話を聞いたりして、自分が今までに知らなかった世界に触れるのも知的好奇心を大いに満足させてくれる。そしてさらに、このように時間をかけて貯えてきた数多くの知識や経験を、もう一度自分の好みに合った方法で組み立て直してみると、そこにはこころ豊かな新しい世界が……
波浪学のABC
磯?一郎 著
波浪による海難や特徴的な具体例を多く取り上げ、波の性質や発達過程等をやさしく解説。波浪の概要がわかり、沿岸事故防止にも役立つ一冊。
【内容】
海運・漁業・レジャーなど,われわれは様々なかたちで海を利用しているが,いずれの場合も波浪の影響を無視して活動することはできない。波浪は,場所・季節・天候などによって大きく変化し,その特徴をよく把握しておかなければ思わぬ被害をこうむることがあります。
本書は,波浪による海難や特徴的な具体例を多く取り上げ,波の性質や発達過程などについて数式をほとんど用いずにわかりやすく解説したものである。約30の……
気象の遠近法−グローバル循環の見かた− 気象ブックス001
廣田 勇 著
日々の天気を運んでくる地球をめぐる大きな風。その美しい姿の奥にひそむ大自然の摂理。日常見なれた天気天候をグローバルな視点に立った遠近法で見なおす楽しみを、プロ野球や文学美術などの身近なたとえ話から始めてやさしく語りかける新しい気象観。
【目次】
序 章 遠近法の楽しみ
一 野球の見かた
二 パースペクティヴということ
三 さまざまな気象の見かた
四 気象の遠近法
第一章 大気のグローバル循環
一 グローバルということ
二 グローバル循環
三 大航海時代
四 ハレーの風系図
五 ハレー……
黄砂の科学 気象ブックス018
甲斐憲次 著
毎年のように黄砂が頻発し話題となっています。これは中国内陸部のタクラマカン砂漠や黄土高原などから舞い上がった砂ぼこりが、上空の風に乗って日本に飛来するものです。黄砂の移動の様子は、衛星写真などからも把握され、関心を呼んでいます。
日本では車や洗濯物が汚れる程度の被害ですが、発生源に近い中国や韓国では雪のように降り積もり、交通、農業、健康などへの被害が甚大で、黄砂は気象災害としてとらえられているといいます。
黄砂の発生には中国内陸部の砂漠化が深く関わっているとのことです。また,本書によると,近年の黄砂被害の大規模化は過放牧,過耕……
海洋物理学概論 【4訂版】
関根義彦 著
潮流・温海洋波動から潮流、海流、海洋大循環まで様々な現象を流体力学、熱力学等の分野より解説。大気と海洋の相互作用をふまえて詳説する。
【まえがき】より
海洋は大きなスケールで見ると地球表面の約7割を被う極めて薄い膜です。しかし、地球に比べてはるかに小さい人間にとっては広く深い大海原であり、台風時には高潮がみられ、地震の発生に伴い津波も生じます。反面、海や魚や海藻などの貴重な食糧をもたらし、また陸地と比較して気候を温和にするありがたい面もあります。さらに、地球上の生物が太陽からのX線や紫外線などを通さない海中で発生したことも特筆され……
宇宙と地球環境 気象ブックス002
石田 恵一 著
天文学者が見た地球環境成り立ちの歴史。気象・気候を素材に、地球とは何か、宇宙とは何かを説く。地球の誕生から気象学の確立まで。
【目次】
第一章 気象と気候
一 気候帯
二 大気の循環
三 歴史時代の気候変動
四 縄文時代
五 氷河時代の発見
六 地質時代の気候
第二章 地球の大気
一 二酸化炭素の増加
二 水蒸気が鍵
三 地球温暖化と「事実」
四 生物の発生と資源枯渇
五 酸素と生物
六 まさかより、もしもの備え
第三章 年代測定
一 元素の年齢
二 地球の誕……
風と風車のはなし−古くて新しいクリーンエネルギー− 気象ブックス019
牛山 泉 著
世界にはさまざまな風が吹いています。ハリケーンもあり、台風もあります。心地よく肌を撫でてゆく春風もあれば、一瞬にして地上の全てを巻き上げる突風もあります。毎日の気象情報では気温、降水量の他に「風力・風向き」が予報されています。
風は気温や降水量に比べれば日々の生活にそれほど深い関わりはないように見えます。ところが、本書によると、風は私たちの生活に無縁なものではなくなります。日本には「○○風」とか「○○おろし」のように風に地域独特の名前が付いていたり、「風情がある」とか「風雅を好む」などのような風に関する言葉や、風に関する地名が多く……



