海と海洋建築−21世紀はどこに住むのか−


978-4-425-56061-5
著者名:前田久明・近藤健雄・増田光一 編著
ISBN:978-4-425-56061-5
発行年月日:2006/4/28
サイズ/頁数:A5判 282頁
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価格¥5,060円(税込)
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海洋建築を知るための海洋、港湾、建築の基礎を網羅したテキスト。持続的発展、環境保全などを踏まえた海洋開発の入門テキスト!

【まえがき】より  本書は、海洋建築に初めて接する大学1年生に、海洋建築はどのようなものかを知ってもらうことを念頭においてまとめたものです。また他分野の技術者で、海洋建築の概要を知りたい方にも参考となるよう心掛けました。執筆者は、新進気鋭の海洋建築の若手研究者です。
 内容は、「海洋建築から見た海洋」について、次いで「海洋建築から見た建築」について、最後に「海洋建築の造り方」の3部から構成され、わかり易さをモットーに解説したものです。内容については、重要事項を押さえ、質の高いものとするように心掛けました。また文章は、極力数式を避け、平易にして理解し易いものを心掛けました。より深く勉強したい読者のために、参考文献を充実させました。また海洋情報ネットワークの足がかりとするために、海洋関連機関の一覧とそのホームページURLの一覧を巻末に掲載しました。キーワードは文中で太字とし、かつ索引としてまとめ、対応する英語を併記し、海外文献引用の際の便宜を図りました。
 海洋建築を知るために、必要最小限の項目は全12章に取り入れたつもりです。読み易さを念頭において各章20頁以内にまとめました。本書を教科書として使う場合には、各章を1回の講義に割り当てることも可能ですし、第1部、第2部、第3部をそれぞれ独立した講義に割り当てることも可能です。いずれにしましても、海洋建築を学ぶ方は、全12章を通読されることをお勧めします。海洋について、建築についての最新の情報や考え方を取り入れるように努めました。また、苦労話や参考になる失敗事例も取り入れるように努めました。
 本書が、海洋建築を志す読者の羅針盤となることを切に願っています。
 本書を、海洋建築の生みの親、加藤渉先生にささげます。

2006年 春
前田久明、近藤健雄、増田光一

【目次】
第1章 新しい海洋建築
 1.1「海洋建築」の発足
 1.2「建築」をめぐる新しい動き
 1.3海洋開発の歴史と現状
  1.3.1海洋開発の歴史
  1.3.2海洋空間利用
  1.3.3海洋石油・ガス
  1.3.4港湾・海上輸送
  1.3.5水産
  1.3.6海を知る
  1.3.7創造的失敗
 1.4海洋をめぐる新しい動き
 1.5海洋をめぐる国際情勢
 1.6海洋建築をめぐる社会的背景
 1.7海洋開発の将来展望
  1.7.1新しい「海洋感」
  1.7.2将来展望
  1.7.3超長期将来展望
 1.8新しい海洋建築

第1部 海洋建築から見た海洋
第2章 海とは
 2.1生命を育む海
  2.1.1海の誕生
  2.1.2太古における海の環境
  2.1.3海の自然特性
 2.2海は心のふるさと
  2.2.1日本人は海の民
  2.2.2和歌に詠まれる心象風景としての海
  2.2.3浮世絵に描かれる景観要素としての海
 2.3畏敬の対象としての海
  2.3.1祭祀の場としての海
  2.3.2癒しの空間としての海
 2.4海の持続的発展
  2.4.1海の利用の変遷
  2.4.2海の資質と資源
 2.5高齢社会から見た海洋性レクリエーションと海
 2.6今後の海浜空間の法整備
  2.6.1海浜空間に対応した様々な施策事例

第3章 海洋建築を取り巻く世界
 3.1はじめに
  3.1.1日本における海の価値
  3.1.2国際社会から見た環境問題と海
 3.2人類の生存を支える海の資源
  3.2.1水産資源
  3.2.2海底資源
  3.2.3海水資源
  3.2.4エネルギー資源
 3.3沿岸域の総合的な管理
  3.3.1総合的な管理の必要性
  3.3.2沿岸域を管理する仕組みとその現状
 3.4新しい海洋秩序
  3.4.1海の総合的な管理 -オーシャン・ガバナンス
  3.4.2海洋における新しい秩序 -国連海洋法条約
 3.5おわりに

第4章 海洋建築を取り巻く環境
 4.1環境と環境工学
 4.2室内環境
  4.2.1快適さ
  4.2.2室内気候
  4.2.3室内空気汚染
 4.3自然環境
  4.3.1大気汚染
  4.3.2水質汚染
  4.3.3自然界の流れ〜風・波・潮流・海流〜
 4.4海洋環境
  4.4.1赤潮と富栄養化
  4.4.2トピックス(赤潮を食べる原生動物・発見)
  4.4.3青潮と貧酸素水
 4.5環境基準
 4.6環境再生
  4.6.1藻場造成
  4.6.2浄化工法
  4.6.3トピックス
 4.7環境影響評価と地球環境問題
  4.7.1環境影響評価
  4.7.2iso14000
  4.7.3地球環境問題

第2部 海洋建築から見た建築
第5章 海洋建築とは
 5.1海洋建築とはどんなもの
  5.1.1人は海から生まれ,海に居住する
  5.1.2人は水に依存して生きる
  5.1.3水と地球環境
  5.1.4海洋空間でのリスク管理
  5.1.5未来に向けた自然と人間との共生
 5.2海洋という新しいパラダイムへ
  5.2.1陸から海へ
  5.2.2地球環境への貢献
  5.2.3持続可能な海洋の創出
 5.3海洋建築工学の誕生
  5.3.1人文社会科学である建築学
  5.3.2自然科学である土木学
  5.3.3地球物理と海洋生態系
  5.3.4海洋をめぐる造船工学
  5.3.5学際的な海洋建築工学の誕生
 5.4海洋建築の果たす役割と展望
  5.4.1多様な循環システムの構築
  5.4.2技術・文化の快適空間の創出
  5.4.3倫理と法の遵守による環境政策

第6章 海洋建築の一生
 6.1ライフサイクルエンジニアリング
  6.1.1ライフサイクルコスト
  6.1.2ライフサイクルアセスメント
 6.2ライフサイクルアセスメントの手法
  6.2.1目標と範囲の設定
  6.2.2インベントリ分析
  6.2.3影響評価
  6.2.4解釈
 6.3海洋建築物を例にしたライフサイクルアセスメントの流れ
  6.3.1沖合浮体式波力装置「マイティーホエール」
  6.3.2ライフサイクルアセスメントの目標と範囲
  6.3.3ライフサイクルインベントリ分析
  6.3.4ライフサイクル影響評価
  6.3.5発電方式の環境影響評価(co2排出量)
  6.3.6ライフサイクルエンジニアリングの視点
 6.4海洋建築物設計とライフサイクルエンジニアリング

第7章 長持ちする海洋建築
 7.1はじめに
 7.2維持管理と防災
  7.2.1災害・損傷に学ぶ
  7.2.2海洋建築物の防災
  7.2.3海洋建築物の維持管理方法
 7.3自立する海洋建築物
  7.3.1海との関わり
  7.3.2海洋建築物とリサイクル

第8章 安心して住める海洋建築
 8.1はじめに
 8.2人の感情や感覚は無視できない
  8.2.1「ものづくり」には快適さや安心が求められる
  8.2.2安心・安全
  8.2.3安全ならば安心か?
  8.2.4異なる‘知’による安全の認知
  8.2.5必要なのは安心させる努力
 8.3合理的に安全を考える
  8.3.1安全工学と信頼性工学
  8.3.2安全を合理的に扱う
  8.3.3安全学と安全知
 8.4最低限の安全を確保するための設計基準
 8.5ルールベースの設計からゴールセッティングへ
 8.6保険による安全の担保
 8.7水質環境の悪化や自然災害
  8.7.1海域汚染は安全性や快適性を脅かす
  8.7.2海洋建築物を襲う自然の猛威
 8.8「防災」だけでなく真剣に「減災」を考える
 8.9ハインリッヒの法則に学ぶ
 8.10安全を合理的に扱う手段
  8.10.1「リスク」という考え方
  8.10.2安全の基準
  8.10.3統計学と確率
  8.10.4決定論と確率論
  8.10.5不確かである以上は予期せぬことが起こり得る
  8.10.6事故・災害・失敗に関するデータベース(db)
 8.11リスク評価・管理による安全管理
  8.11.1リスク評価の標準規定
  8.11.2リスクの評価と管理
  8.11.3モラルハザードとヒューマンエラー
 8.12会話による安心の提供と獲得
  8.12.1住民参加と合意形成
  8.12.2リスク・コミュニケーション
  8.12.3説明責任と自己責任
  8.13安全で安心な海洋建築を創出するために必要なこと

第3部 海洋建築物の造り方
第9章 海洋建築を設計しよう
 9.1設計
  9.1.1建築物の建設の流れ
  9.1.2設計の流れ
 9.2設計の条件
  9.2.1建築計画条件
  9.2.2社会環境条件
  9.2.3自然環境条件
 9.3構造の計画と設計
  9.3.1構造形式の選択
  9.3.2設計手法
  9.3.3設計用荷重
  9.3.4環境荷重の要因
  9.3.5環境荷重の確率的な設定
  9.3.6環境荷重の算定
  9.3.7建築物の性能評価
 9.4建築物の構造設計の流れ
  9.4.1浮体式建築物
  9.4.2重量式建築物
  9.4.3杭式建築物

第10章 海洋建築の造り方
 10.1海洋建築物の概要
  10.1.1構造形式と施工実績水深
  10.1.2施工の基本方針
 10.2施工をめぐる周辺環境
  10.2.1社会環境
  10.2.2自然環境
  10.2.3施工条件の重要性
 10.3施工を楽にする技術
  10.3.1作業船
  10.3.2施工の高度化技術
 10.4海洋建築物の建設方法
  10.4.1鋼製浮体式建築物
  10.4.2コンクリート製浮体式建築物
  10.4.3重力式建築物
  10.4.4ジャケット式建築物
 10.5環境影響の要因と防止
  10.5.1地域・海域への影響
  10.5.2自然への影響
 10.6工事監理の重要性

第11章 海洋建築に用いる材料
 11.1海洋建築に用いられる材料
 11.2鉄筋コンクリート構造の材料
  11.2.1鉄筋コンクリートの特徴
  11.2.2鉄筋コンクリート構造の材料
  11.2.3建築物に要求される耐久性能
  11.2.4劣化対策
 11.3鋼材料
  11.3.1鋼材料の特徴
  11.3.2鋼材料の腐食
  11.3.3腐食対策
 11.4新しい材料
  11.4.1ハイパフォーマンスコンクリート
  11.4.2環境対策に用いるコンクリート
  11.4.3アルミニウム合金
 11.5建設材料と環境問題
  11.5.1コンクリートの環境影響
  11.5.2資源廃材としての利用
  11.5.3廃棄物利用

第12章 海洋建築の土台
 12.1海洋建築物と地盤,基礎構造
 12.2海洋建築物の基礎構造
 12.3地盤の基本的性質
  12.3.1土の粒径と呼び名
  12.3.2間隙比と含水比
  12.3.3地質年代と主要な地層
  12.3.4圧密と有効応力
  12.3.5地盤調査とn値
  12.3.6液状化
 12.4地盤改良
  12.4.1圧密を促進させる方法
  12.4.2地盤を固化させる工法
 12.5基礎や地盤に関連した事例
 12.5関西国際空港
  12.5.2ベネチア
  12.5.3ピサの斜塔



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