気象・海洋の書籍紹介

雪と雷の世界−雨冠の気象の科学2− 気象ブックス028

菊地勝弘 著

気象学の専門家が、私たちにとって身近な気象現象である雪と雷について一般向けに語った本。雲、霧、雨、雪、雷などといった気象現象は,専門的には雲物理学という学問分野に含まれるものですが、著者はこれを一般向けにも分かりやすいように「雨冠の気象学」と呼んでいます。本書を読めば一見全く異なる現象のように見える雪と雷も、実は深いつながりがあることが分かってきます。  雪の話では、結晶の観察から、雪の博士・中谷宇吉郎の人工雪の実験、降雪と交通事故災害、北海道や日本海沿岸、北極・南極といった極地での降雪現象の観測を中心にまとめられています。さらに、……

南極・北極の気象と気候 気象ブックス027

山内 恭 著

海氷域の急減など激しい温暖化の脅威にさらされている北極、オゾンホールの発達する南極、地球温暖化の結果、北極・南極の氷が融けて海面水位が上昇するのではないかと心配されている。地球規模の気候変化の中で、極域がどのように振る舞うのかは、たいへん注目されるところである。地球規模変化が極域には増幅して現れるといわれているとともに、極域は地球規模の気候をかたちづくる要因をもっている。また、極域には過去の地球環境が記録されている。  一方、極域にはさまざまな特異な気象現象があり、気候を特徴づけている。地球の極であるが故の力学的問題、放射場の影響、……

ココが知りたい地球温暖化 気象ブックス026

国立環境研究所地球環境研究センター 編著

テレビや新聞の報道、あるいはインターネットなど、さまざまなメディアで地球温暖化が話題になっています。書店の店頭で見かける温暖化関連の書籍の数も、いまやかなりの数に上っています。  それらの中には「進行する温暖化の危機」といったものがあるかと思えば、「温暖化はウソである」といった調子のものもあります。新しい説が唱えられるたびに、情報が錯綜し、何が本当なのかわからないというのが,大方の人の感想でしょう。温暖化のことを、見聞きする機会は多いものの、正確に理解できているかというと、そうでもないというのが実際のところのようです。  本書は、……

日本海の気象と降雪 気象ブックス025

二宮洸三 著

本書は、元気象庁長官である著者が、これまでの研究・経験をもとに、日本海の降雪という現象を多くの人に理解してもらおうと執筆したものです。 冬季季節風、日本海上の気団変質から雪と人との関わり、気象予報と降雪の関係、温暖化が降雪にもたらす影響まで、日本海の降雪にまつわる全体像がわかりやすくまとめられています。さらに、降雪という現象を理解するために必要な気象学の基礎の説明にも多くのページが割かれており、気象に関する知識を多くの人に広めようという著者の思いが込められています。読み進めることで気象という科学の全体像を理解していくことができるで……

地球温暖化と農業 気象ブックス024

清野 豁

本書は、農水省の研究部門で活躍した農業気象のトップともいえる著者が、地球温暖化のメカニズムや農業へのメリット・デメリット、米・野菜・果物など各種作物への影響など、温暖化と農業の関係を最新のデータに基づきわかりやすく解明しています。そして、世界的に見た飢餓人口問題なども交え50年後、100年後を見据えた予測と今後の適応策を提言しています。  生育や品質、収穫量など、作物によって受ける影響は異なるものの、これだけ状況が変わってくるのかと驚きを感じます。現状を把握し、温暖化を上手に利用し、適応していくことが、今後の農業を支える術となるでし……

健康と気象 気象ブックス023

福岡義隆 著

春に花粉症、夏に熱射病と年間を通して様々な疾患が生活に関係しています。そうはいっても気象と健康医学に関する知識は意外と知られていません。テレビの天気予報で健康を守る対策法を紹介していますが、限られた時間で細かな部分までは伝えられていません。  本書は、そのような健康医学と気象とのかかわりを研究する生気象学について、その第一人者の著者が最新の研究をもって細かく解説したものです。四季を通じた健康歳時記では、季節を代表する疾患が発病する条件や予防法などを記しています。他にも健康と衣食住との関係を歴史を辿りながら述べたり、先人の天候に関する……

天気予報いまむかし 気象ブックス022

股野宏志 著

本書は天気予報の背景にある学問分野の紹介、観測・通信・予報技術の進歩、さらに近年の天気予報の自由化と気象予報士の登場まで、変わり行く天気予報を文化・学問・技術の3つの視点から述べています。  一般向けに天気予報を体系的にまとめたものとして類書はなく貴重な資料といえるでしょう。巻末に天気予報関係の年表が収録されているのもうれしいポイントです。著者は気象庁OBで、数値予報の実現など、長年にわたり予報畑で勤務してきた経験を持っています。 天気予報の歴史書として、気象予報士はもとより、天気予報を利用するすべての人に読んでもらいたい一冊です……

昆虫と気象 気象ブックス011

桐谷圭治 著

日常の気象から地球温暖化まで、昆虫の大発生、害虫管理、昆虫媒介病などに及ぼす影響を新しい切り口で解明した最先端の書。 【まえがき】より 本書の表題はおそらく近代の応用昆虫学でも最も古くてかつ新しい問題である。後に英国のバッタ対策センター(ALRC)の初代所長に任命されたB・P・ウバロフ博士が『昆虫と気候』という本を世に出したのが1931年で、その当時すでに少なくとも1300もの関連の論文が世界で公刊されていた。ウバロフはそれを総括することによって、害虫の発生を予知し、これを駆除することに役立てたいと述べている。日本でもこの流……

富士山測候所物語 気象ブックス012

志崎大策 著

明治時代以降、過酷な自然環境で続けられている富士山頂での気象観測。命をかけた人々の熱意と富士山測候所の全歴史を熱く伝える物語。 【まえがき】より  標高三七七六?、日本一高い山といえば富士山、この山頂に測候所があるのは誰でもご存じのことと思う。富士山頂では天気の良い日に関東の平野から房総、相模灘、伊豆半島、さらに御前崎の西方まで見えることもまれではない。雲を下に見るのは普通のことである。雷の中に入ることはあるが、雷を下に聞くことはあまりない。遠くに聞くときはある。雨と雪は横から風と共に吹き上がってくる。八月に雪が降る。気象は激……

台風と闘った観測船 気象ブックス013

饒村 曜 著

日本の台風災害の軽減に多大な貢献をした定点観測船の活躍を中心に描く。苛酷な環境下の興味深いエピソードや貴重な資料を交えて綴る。 【まえがき】より 一九一二年(明治四五年)四月一〇日に北西大西洋で起こったタイタニック号の海難は、一四九〇名が亡くなったことが強調して語られている。しかし、全員が死亡していたかもしれないところを、積んでいた最新機器の無線通信機によって、七一一名が救助されている。このため、無線通信機を積む船が増え、船で観測したデータをすばやく気象台等に送り、逆に気象台等から危険な状態にあう可能性があるかどうかの情報をす……
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