読了『癒やし屋キリコの約束

最近、よく耳にする「純喫茶」。行ったことはないけど、なんとなく想像はつくかな。今回の本は、その純喫茶が舞台のミステリー?風な小説。「えぇ~!!あなたが!!」と思う結末。そして、今回もちょくちょく出てくる過去作品の場面。森沢さんの小説の好きなところは、これまでに読んだ一部分が出てくるところ。おもしろい仕掛けを毎回用意しているのが、楽しみ。

この小説、純喫茶のオーナーである「霧子」の言葉に、感銘を受けることが多かった。以下、抜粋。

「幸せってね、なるものじゃなくて、気づくものなの」

「才能ってのはね、成功するまで絶対に止めないって、自分自身を説得し続ける能力のことを言うのよ」

「そもそも人生には、生きる意味なんて何ひとつないんだよ。何もないまっさらなところでいろんな経験をしてさ、その経験にたいして、自分なりに意味付けをして、それを味わうのが人生じゃん」

「人間っつーのはさぁ、他人に《ありがとう》って言われるために生まれてきてんの。だからぁ~、人の役に立って、喜んでもらえたときは、その人の使命が果たせてるってわけ。使命が果たせたときに、人は自動的に幸せになっちゃうわけ」

「人ってさ、長所で尊敬され、短所で愛されるんだよ。だから、どっちも大事なんだよ」

「世界が退屈なら、お前が変わればいい、未来なんてさ、ほら、一秒先から変えられるから」

物語もおもしろかったけど、とても学びの多い一冊でした。