読了『水曜日の手紙』

読めばきっと手紙を書きたくなる、そんな一冊

宮城県に実在する、「水曜日郵便局」。ここに手紙を送ると、その手紙が水曜日郵便局に送った他の誰かに届く(現在は閉局とのこと)。手紙の内容は多種多様。自分のことを書いたり、誰かに宛ててみたり。

その手紙が見知らぬ誰かに届き、またその逆もある。水曜日郵便局を通じて、見知らぬ誰かの日常を垣間見たり、繋がれたりする不思議な郵便局。その手紙で元気をもらえたり、人生がかわることだってあるかもしれない。

実在する郵便局を舞台に、それぞれの登場人物の思いが揺れ動く様子を描く内容。

日常ってこんなもんだと諦めながらも、友人の生活を羨む主婦。かつてはパン屋を営みたいと思っていたけど、現実の生活からそんなことは無理と諦めながらも、その友人から教えてもらった水曜日郵便局に手紙を出すことで、殻に閉じ込めていた自分の夢への一歩を踏み出す。

その手紙のきっかけとなった、絵本作家を目指す青年。また、その青年も主婦が書いた空想の手紙を受け取り、奮起させられ、モヤモヤしていた気持ちを払拭し、絵本を出版する目標への一歩を踏み出す。

人にはそれぞれの人生があり、それを生きるのは自分次第。でも、何かをきっかけに変わることだってある。一歩を踏み出せることがある。それが友人の言葉かもしれないし、一冊の本かもしれない。この本の中にあるような、見知らぬ人からの手紙かもしれない。

たった一度の人生。いちいち深刻に考えず、人生遊びだと思って楽しくやっていく。そして自分の心に耳を傾け、その感情に素直に生きていく。そうやって、人生を楽しむ方法を教えてくれた。

大切なのは、どの道を選ぶかよりも、むしろ選んだ道を自分たちがどう感じ、どう生きるか。それと、誰と一緒にその道を歩むのか、

最近の僕は選んだ道をどう生きるかよりも、どの道を選ぶかということばかりを考えていた。そして、選んだ道を後悔ばかりしていた。そんなことより、選んだことを変えることはできないんだから、それをどう楽しむか、どう生きるかを考えて進んでいったほうが、人生は充実する。そうやって生きていこうと、改めて考えさせてくれた。

あれこれ悩んだって、考えてたって、前には進まない。いま、目の前に与えられたことを一生懸命やっていこう。