読了『現代語訳 論語と算盤』

約500社という名だたる企業の立ち上げに携わり、今の日本を作り上げた一人と言われる、渋沢栄一。大河ドラマ「晴天を衝け」を見て、より興味が湧いた。

100年以上前に出版されたこの本。内容は渋沢栄一の講演内容をまとめたものだそう。しかし、読んでみると現代でも通じる内容ばかり。技術は進歩したとはいえ、人の心は変わらない。

「つまらない仕事だ」と軽蔑して、力を入れないのもまたダメだ。およそどんなに些細な仕事でも、それは大きな仕事の小さな一部なのだ。

「こんな仕事、俺がやることじゃない」と不満を漏らす人への言葉。こういうこと、今でも聞くなと思った。そんな自分も、かつてはそうだった。大きな仕事をやりたくて、小さな仕事を馬鹿にしていた若い頃。しかし、その小さなことを一生懸命できなくて、大きな成果を手にすることはできない。それを当時の上司は教えてくれた。必死になって、目の前の仕事をやっていくうちに、徐々に成果が出て、大きな結果につながった。

まずは目の前の仕事を精一杯やっていく。どんな仕事でも心を込めて取り組んでいく。そうやって、次の仕事がやってくる。一足飛びにはできなということを、改めて感じた一文だった。

歴史から学ぶとは、まさにこのこと。読み進めながら、気づけば多くのページに折り目がついている。そして、何度も読み返したくなる本であった。