本が好きになるかどうかは、小さい頃から本に触れているかどうかにかかっている!?

  • 2015.10.06 

現在、息子が通っている図書室のボランティアとして、本の整理や修復、読み聞かせなどを手伝っている。1年生から3年生まで毎週、授業が始まる前に読み聞かせがある。お母さんをメインにお父さんも参加できる人は出勤前に手伝う人もいる。今朝は初めて読み聞かせをしてきた。

そもそも手伝おうと思ったのは出版社で働いている身でもあるし、小さい頃から多くの子に本の楽しさを伝えていきたいという思いからである。どんな本を読んだら楽しんでくれるだろうか、どんな風に読もうか、いろいろと考えて臨んだ。

教室に入ると、子供たちは嬉しそうな顔をして待っている。「今日はどんな本を読んでくれるんだろうか?」と。こっとも身が引き締まる。持ち時間は10分ほど。今回読んだのは「給食番長」という大きな本。舞台は1年2組ということもあり、息子と同じ設定。

1年2組の給食嫌いな番長が暴れまわるが、最後は給食を作ってくれるおばちゃんたちの思いを汲み、しっかりと食べる子になるというストーリー(ザックリしすぎ?)。僕は早口なので、ゆっくりと間を取りながら、子供たちの反応を見ながら読むように気をつけた。明るいところでは子供たちは笑い、暗い部分では息を飲む感じがとれ、真剣に聞いている様子が読みながら伝わってきた。

読み終えて「楽しかった!」「また、読んで!」という声が聞けて、ホッと一安心。読んでいるこっちも、楽しい気持ちになれた。このまま、この子たちが大人になっても本を楽しいと思ってくれると、とても嬉しい。しかし、この子たちが大きくなる頃には、いまよりも違う娯楽があるのだろう。そうなると、本を選択するということが、ますます減ってくるのではないだろうか?

僕はいつの時代になっても、紙の本から学ぶことは多いと思っている。電子書籍でもなく、スマホでもなく、パソコンでもなく、自分の手で紙に触れて、ページをめくることから学び得る感覚を味わってもらいたい。ワクワクしながら読み進めること。そういったことを、このボランティアを通じて伝えていきたい。

本が売れない、と言われて何年経つのだろうか? 斜陽産業、マイナス成長、良いことを聞かない業界である。この先も暗い話ばかり。しかし、紙というものはなくならないし、本から得られることはたくさんある。いまは、本以外に楽しいことがあるから、そっちに目が行っているのであろう。

だったら、本を通して得られる楽しみを伝えていくのが、我々出版業界の使命ではないだろうか? いろいろな活動を通じて、本の楽しさをみんなが伝えていけば、言うほど将来は暗くならないのではないだろうか? この業界を目指す若い人たちにも、そんな思いをもって来てほしい。

初めて読み聞かせをしてみて、本の持つ力はまだまだ大きいなと感じました。