企画のGOサインが出たら原稿執筆依頼

編集者が企画を考え、会社からの決裁が出たら、著者へ原稿執筆の依頼をします。企画を考えている段階から、目ぼしい執筆者を探し、「○○という本を書いてもらいたいので、こういう企画を考えています」というようなことを、事前にお伝えしておきます。せっかくGOサインが出たのに、そこから著者探しをしていては時間がかかるし、書いてもらえないこともありますからね。

ここで注意しなければならないのは、構想段階だということを伝えること。企画内容によっては、会社からOKが出ないこともありますから。なので候補者となる方には、相談という感じでお話をしていきます。当社の場合だと、長年培ってきた人脈があるので、そういった方にご紹介いただくことが多いです。そのほうが、話もスムーズにいきやすいですし。とはいえ、その人脈からは繋がらない方は、自分たちで探します。

どのような内容にしていくかは、お互いに考えていきます。大枠は編集者が考え、そこに著者が付け加えます。まずは「目次」の案をつくると書いてもらいやすくなります。

大枠が決まってからが編集者として大事な仕事のスタート。それは「いかに早く書いてもらうか」ということ。筆の早い人、遅い人。いろいろな方がいます。当社の著者の方々は執筆業が本業ではない人が多いので、本業の合間に書いてもらうことがほとんど。早ければ半年、長いと数年ということもよくあります。なので、タイミングを見計らって、「どうですか?」と連絡を入れたり、時には会って打ち合わせをしたりと、早期に原稿ができあがるために、あれこれと手を打っていきます。

そして原稿が上がってきたら、読み込み作業のスタート。著者は書くプロ。編集者は読みやすくするプロ。編集者は読者の視点に立って、読みやすく、理解しやすい内容に料理をしていきます。ここで大事なことは、内容までは手を加えないこと。内容に関しては著者のほうがわかっていますので、お任せします。ただ、読み込んでいく中で「あれ?」と思うことは、どんどん質問します。そのためにも、編集者は幅広い知識や教養が必要です。当社で発行しているジャンルの知識はもちろん、それ以外にもたくさんのことを知っておくと、「あれ?これって?」っていう気づきにもつながりますので。

この著者からいただいた最初の原稿の段階できちんとまとめておくと、後々の作業がとても楽になります。印刷所に渡す前で、ある程度まとめておくことが、とっても大事なんです。

今ではほとんどがデジタルデータでいただきますが、たま〜に原稿用紙で書かれる方もいますね。それはそれで、味があっていいんですけどね。