企画の段階から販促は始まっている

本の企画を考えるとき、「どんな本を出そうか?」「どんな本が役に立つか?」「どんな本がおもしろそうか?」と企画立案者は考えていく。日頃から、そのアンテナは高く伸ばし、情報に敏感になっておく必要もある。「成山堂書店から出す本として、相応しいものはどんなものだろうか?」と。

いざ、企画を立てるのだが、それと同じく大事なことは、販促案も考えること。編集者は本をつくることが仕事ではあるが、本をつくることだけが仕事でもない。「どうやって知ってもらうか?」を一緒に考えていかなければならない。だって、どんなに良い本をつくったとしても、それを知ってもらわないと意味がないから。そして、売ることは営業任せにしてはいけない。その本のことをよく知っているのは著者と担当編集者だから。

知り尽くしているからこそ、どんな人に読んでもらいたいかがわかる。当社では編集者は営業マンでもあるんです。書店へ本の案内しに行くのは営業マンだけでも、意欲ある編集者は自ら書店へ足を運ぶこともあります。編集者が営業する先は、著者なんです。

専門書という性格上、どこの本屋さんにも置いてもらえるわけではない。誰もが買うわけでもない。ターゲットはある程度絞られてきます。企画の段階で、著者と相談しながら、「どんなところが販促先になるか」を聞くわけです。そうすると「○○っていうところは買ってくれるんじゃないかな」とか「△△はコネがあるから聞いてみよう」など、著者周辺の販促先情報を得ることができるんです。

これは、編集者が聞き出さないと答えてくれないし、著者自身も意外と気づかなかったりするところなんです。「本は本屋さんで売るんでしょ?」と多くの人は思っているから。聞き出すことで、「あっ、そっか。そういう方法もあるんだね」と気づくわけです。

そしてその周知方法として、本ごとに案内のチラシをつくります。そしてそれを配ったり、送ったりして、「本を出しますよ」とお知らせするんです。

本ができてからの販促はもちろんのこと、本ができる前、企画を考えていく時点から、はじまっているんです。そうしないと、専門書を知ってもらうこと、販売していくことは難しいですから。編集者の販促と営業マンの販促が合わさってはじめて、専門書は知ってもらうことができるんです。