本の種類「上製・並製・刷り表紙」

本を買う際に、本の形を気にしたことはありますか?

こんにちは。
成山堂書店という専門書をつくっている会社の三代目(専務)の小川啓人です。
船や魚、お天気、飛行機、鉄道などなどのちょっと難しい本から、とっても難しい本までを発行しています。

本には種類があって、上製本、並製本、刷り表紙本とあるんです。当社は専門書を発行している出版社なので上製本が多いです。

では、上製本とはどんな本か? まずはこちらをご覧ください。

港湾知識のABC 12訂版

当社を代表する「The 専門書」です。港湾関係の仕事や学校の教科書として、長く愛用されています。カバーをとって開いてみると、

こんな感じです。これが上製本です。どんなのかと言うと、開いているところが板ボール紙になっていて、本文を守る役割をしています。まわりを丈夫にすることで、本が傷みにくく長く使ってもらえるようになっています。

専門書の場合、「読んで終わり」ではなく、何度も何度も中身を見返すことが多いです。それも長年。しっかりした外見にすることで、ヘビーユースにも耐えられるようになっています。

また、専門書は値段が高いものが多いため、それなりの見た目や重厚感を出すためにも上製本とすることも多いです。

続いて、並製本。

クジラ・イルカの疑問50

こちらは最近よく発行している「みんなが知りたいシリーズ」。

先程の上製本とは違い、外側は厚紙のようなものになっています。並製にする本の特徴としては、手軽に読めるもの、値段の低いものが多いですね。サッと手にして、パッと読める。そんな感じでしょうか。ビジネス書や小説、新書などに多いですね。

そして、最後に刷り表紙本。

海技士試験の過去問です

上二つはカバーがあるのに対して、これはカバーが無くて表紙にそのままタイトルや著者名を印刷しています。これの特徴は、問題集や法令など、その年や、数年で役目を終えるような本が多いです。短い期間が勝負なので、値段を抑えるためにも、そういった本は刷り表紙にすることが多いですね。

と、それぞれ特徴を挙げてみました。専門書でスタートした当社で、上製本も多かったのですが、最近ではその数も減少傾向にあります。

僕が学生だった頃は上製本の教科書が多かったのですが、今では並製本もどんどん増えてきています。教科書をつくりたいという先生からも、「上製本より並製本のほうが学生にとっては使いやすい」との要望が増えています。そして、上製本をつくる会社も減ってきているという現実もあります。

当社としては著者の要望に沿って本づくりをしていますが、本の内容などを考えながら、上製本にするのか、並製本にするのかを検討します。

使う側からすると、並製本の方が使いやすいのかもしれませんね。ただ、長く使うことを考えると、上製本の方が痛みは少ないです。

机に座って勉強や調べ物をするなら上製本、どこでも気楽に読むなら並製本。という感じでしょうか?

本屋さんに行って本を選ぶ際、このような出来上がるまでの背景を知り、本上製、並製を気にしてみると、本選びが一つ楽しくなるかもしれませんょ。

ただ、上記に挙げた方法は当社の基準です。

本離れって言われますけど、多くの方に本の楽しさが伝われば嬉しいです。