紙つなげ! 彼らが本の紙を造っている

  • 2015.10.21 

あの日のことは一生忘れることはないだろう。ゆっくり揺れはじめてからの激しい揺れ。大声を出して社員を避難させたことを覚えている。なかなか動かない年上の人にも「早く逃げろ!」と叫んだことも。会社から遠くに見える黒煙。何が起こったのかわからない状態。会長を自宅に送り、そこで見たテレビの前で立ち尽くしたこと。会社へ戻る道はどこも渋滞。通常15分ほどで行けるところが、2時間以上。帰れない社員と共に一夜を過ごすが、度々続く揺れでろくに眠れず。

あれから4年以上が経ち、この本を手にする。われわれ出版業界にとって紙をつくる大事な工場の一つ、日本製紙石巻工場。津波による甚大なる被害。被災から復興までの一部始終を収録した内容。読むのを止めることができず、一気に読んでしまう。その場にいたわけではないが、その臨場感は相当なものである。

そしてこの本を読んで、恥ずかしながら日本製紙のすごさ、紙を届ける想いというものを初めて知る。出版業界にとって、こんなにも大きな役割を果たしている会社ということも。

僕は仕事を通じて何を届けているのだろうか? 熱い想いをもって仕事に取り組んでいるのだろうか? 誇りをもっているのだろうか? 生きるとは? いろいろなことを考えさせられる一冊であった。

いま、この瞬間を大事にしているだろうか? おもいっきり生きているだろうか? 後悔しない人生、いま生きていることに感謝し、いまを大事にしていきたいと思う。