読めば出かけたくなる!「潮干狩り」の極意を伝授! 【第2章:潮干狩りをしている時の疑問】

  • 2021.04.04 

『潮干狩りの疑問77』の内容解説、出かける前の疑問について解説した前回はいわば「準備編」でした。2回目となる今回は、いよいよ潮干狩りをしている時に感じる疑問についてお答えしていきます。アサリのポイントはどこ?どうやって探す?浜辺で見かけたこれは何?以前出かけたときのことを思い出しながら読むのもよいですし、出かける前に読んでおいて、浜辺で貝を掘りながら、あのことか!と思い出すのもおすすめです。

メインターゲットとなるアサリの疑問を中心に、本編Q&Aの内容をかいつまんでまとめながら解説していきます。

【潮干狩りのメインターゲット!アサリを徹底解剖!】

アサリについて知っておけば、大漁も夢ではありません。潮の引いている短い時間で、安全に、食べきれる量を効率よくゲットしましょう!

  • アサリのポイントはどこ?:沖からの波が当たらない、陰になった低い場所。アサリは寂しがり屋なので、「1個見つけたら30個いると思え」です!アサリの水管が出ている穴や、水管の引っ込んだ穴(アサリの目と呼びます)があれば、その下にアサリがいます。この水管に松葉を突っ込むと、アサリが驚いて水管を引っ込めるので、アサリを「釣る」ことができます。
  • 管理潮干狩り場独特のポイントって?:お客さんが多いことが予想される場合など、管理潮干狩り場ではアサリを撒くことがあります。弱った貝はその場で敵に捕食されてしまいますが、元気なものは潜ります。新しい貝殻が残っている砂の下には、撒かれたアサリがいる可能性があります。
  • アサリはどのくらいの深さにいる?:アサリは暖かくなると干潟の浅層に出てきますが、3月頃のまだ寒い時期や、密集しすぎた場合は深い場所に留まっていることがあります。少し深く掘ってみたら、思わぬ大物にあたるかもしれません。
  • おいしいアサリの見分け方:沖合にいるアサリは干潟にいるアサリと違って干上がることがないので、栄養状態がよく、成長速度も速くなります。沖のアサリは横に大きく広がるように育ちます。一方、干潟のアサリは成長が遅く、貝が丸く厚みがボール状に近くなります。沖合のアサリの方が柔らかくて美味しいです。栄養状態が悪くなるのを承知でアサリが干潟に暮らしているのは、タコやヒトデといった天敵を避けるためです。
  • アサリの貝殻の不思議:二枚貝の貝殻は、毎日殻の周囲に炭酸カルシウムを塗りながら段々大きくなっていきます。アサリの模様は遺伝で決まりますが、同じ模様は二つとありません。茹でてしまうと白と茶色になってしまうのですが、青みがかっている等の微妙な色の変化もあります。

【貝の獲り方と持ち帰り方】

貝を見つけたら、元気なものを選んで家まで無事に持ち帰りましょう。持ち帰るまでに貝を弱らせてしまっては、せっかくの美味しい貝が台無しです。

  • クマデの正しい使い方:爪を砂に差し込んで、手前に引いてくるようにしましょう。クマデの先端が貝殻に当たるガリガリという感触があったら、クマデを置いて手で掘るのがよいでしょう。
  • 死んだアサリの見分け方:貝を指で挟んでスライドさせようとすると、生きたアサリは貝殻を閉じるのでスライドできません。死んだ貝を見つけたら、後の人のために殻を外しておきましょう。
  • アサリの持ち帰り方:一番重要なことは水から上げて持ち帰ることです。水につけたままだと、アサリは水管を出して呼吸を行い、弱ってしまいます。クーラーにアサリを入れたら新聞紙で覆い、その上に保冷剤を乗せて持ち帰りましょう。

最後に裏ワザとして、砂浜でバーベキュー等を行っていて、その場でアサリの塩抜きをしたい!という場合などに便利なスピード塩抜き法についてのQ&Aをご紹介します。

Q:素早くアサリの砂を抜く方法がありますか?

A:砂を抜くには、あまり温度が高くない暗い場所が必要です。風通しのよい木陰に海水を入れたバケツを用意し、釣り用の電池式エアポンプをセットします。その上に網ボウルを入れ、アサリを入れます。上を黒い布で覆って暗くし、エアポンプを作動させておけば、1~2時間で砂が抜けるでしょう。

【砂浜で見かけたこれは何?:不思議な生き物の生態】

砂浜に変な穴を見つけた!アサリの貝殻に穴が開いている?アサリ以外には何がいるの?アサリ以外にも、干潟には様々な生物がいます。アサリと同じように私たち人間に食べられるもの、アサリの天敵、ちゃっかりアサリに「間借り」しているもの……潮干狩りを通じて、干潟の生態系を見てみましょう。

Q:変なものを乗せたアサリを見つけましたが

A:イソギンチャクは岩場に貼りついて生活しますが、干潟では貼りつくものを見つけなければ生きることができません。そこでアサリに目をつけたのです。アサリが深く潜っても、イソギンチャクは体を長く伸ばし、砂の上で獲物を捕ることができます。

  • アサリに開いた穴の犯人:殻頂部に穴の開いたアサリの殻を見つけることがあります。この「犯人」は、ツメタガイという巻貝です。体をスカートのように広げてアサリを包み込み、酸を塗りつけながら歯舌と呼ばれるヤスリのような部分を使って、ゆっくり殻に穴を開けます。砂浜で見かける茶碗をひっくり返したような物体は、このツメタガイの卵塊で、「すなぢゃわん」と呼ばれます。
  • 貝の見分け方:アサリとシオフキの見分け方は、アサリの貝殻には放射状の溝があることです。シオフキは完全な砂抜きが難しいので、その場に戻しておきましょう。ハマグリとバカガイは大きさは似ていますが、貝殻の厚さが決定的に違います。ハマグリの殻は非常に丈夫で厚く、持ち比べれば重さの違いも明白です。
  • マテガイの獲り方:マテガイはハンコケースのような形をした二枚貝で、垂直に掘ったまっすぐな穴に棲んでいます。まず砂の表面を削り取り、穴の中に満ちている海水の表面ギリギリまで削ったら、そこに塩を入れるとマテガイがびっくりして飛び出てくるので、狙って捕まえます。
  • アナジャコの獲り方:アナジャコはY字型の巣穴を掘ります。アナジャコを獲る方法は色々ありますが、アナジャコの縄張り意識の強さを利用する方法を紹介します。柔らかい筆を巣穴に入れてアナジャコが押し出そうとするのを待って捕らえるものと、おとりのアナジャコを使ってけんかを仕掛けたところを捕まえるものです。
  • 色々な穴:小さな穴が2つ開いていれば二枚貝の仲間ですが、1つだけの穴には色々な生物が棲んでいます。入口は大きいが先細りの穴はイソギンチャク、無数の砂団子に囲まれた穴はカニです。小さな穴の傍のもりそばのような塊は、タマシキゴカイというゴカイの糞です。

干潟の風景が思い浮かびましたでしょうか?もし今まで行き当たりばったりで掘っていたなら、アサリの生態や見分け方を頭の片隅に置いていれば、これまでよりたくさんアサリを獲れるかもしれません。せっかく獲ったアサリを元気なまま持ち帰ったら、きれいに砂抜きしておいしく食べたいものです。次回はいよいよ、「食卓編」、家に帰ってからの疑問です。パスタにしますか、それともご飯にしましょうか?アサリの上手な保存方法についてもお話しますね。