ロープ・ワークを極める!シーマンの必読書

  • 2020.12.17 

書店の棚を見ると、実用書や登山の棚にロープ・ワークに関する本が増えてきているのがわかります。色々なジャンルでロープ・ワークの便利さが伝えられ、新しい層にも浸透してきているのでしょう。編み方や材料による性質の違いを正しく覚え、結び方を体で覚えれば、日常生活での結束作業やDIY、登山や船という危険を伴う環境、災害や救助といったもしもの時にもロープは非常に強い味方です。

「世の中がどのように機械化・自動化・電子化しても、物を繋いだり縛ったりする作業は決してなくならない」本書『大きな図で見るやさしい実用ロープ・ワーク』の前書きで、著者はこのように語っています。

それでは、この便利なロープ・ワークを学ぶのに、本書がどのように役立つかご説明しましょう。

【ロープの基本から応用まで1冊で学べる!】

この1冊を最初から最後まで読み通し、手で覚えるまで繰り返し練習することで、船上や様々なシーンでのロープ・ワークを身に着けることができます。第1章でロープの種類と特徴、取り扱い方から強度と力学、基本的結びまで、基本が一通り学べます。ロープの特徴については材質と編み方の二つの項目を設け、それぞれ実物写真と拡大イラストで解説。どのようなシーンで用いるべきか、強みと弱みは何か、などの解説がついています。

「使ってはいけないロープの見分け方」をはじめとした現場で覚えておくべき知識が、短い言葉と明確な図でわかりやすく解説されています。

続いて、2章ではロープの基本的な結び方が、3章では接合と橋の処理が図で説明されていきます。紹介される結び方は全部で170種余り。4章ではシーン別ロープの利用法について解説します。船で使う係留索はもちろん、飾り結びの項もありますよ。最終章では、ワイヤー・ロープについて解説しています。金属でできているために他のロープとは扱いが異なるワイヤー・ロープについて、安全な扱い方を知ることができます。

【色変え、横からの図、矢印はもちろん、上から見た図も完備!指先が迷わない!】

実用書は、『横に置いて使えるか』が勝負です。実施に見ながら手を動かして学べるように、本書は様々な工夫をしています。

・ロープの色を変え、視認性を高める!
・結び順を番号で示し、番号ごとに注意点を明記
・「ここをこうするとこう変化する」のがわかる途中経過解説
・「こっちの紐はここをこの方向に回っている」のがはっきりわかる上から見た図

これを横に置いておけば、頭と手の両方で理解しながら結びを覚えていけるのです。

【海で生きてきた著者の知識満載のコラム】

著者は1973年から2020年まで、海と海で働く人々の教育に関わってきた大ベテランです。ロープ・ワークの道具についてのこだわりや、この場面ではこの結びが便利だという豆知識をお裾分けしてくれます。ひとつの現場に長く関わってきたプロ中のプロならではの知識も知ることができますよ。

ロープの結び方が大きく発達したのは、帆船時代のことであるといわれています。 本書で紹介された多彩な結びが古来シーマンたちの間で連綿と伝わってきたように、これから先船に乗る人々にも伝わっていくことを願ってご紹介しました。