読了『問題発見力を鍛える』

問題って、本人が問題と思っていないと問題にはならない。自分には問題だけど、他人にはまったく問題と考えていないということは多い。その逆も同じく。この本を読んでいて思ったのは、「世の中で起こっていることすべてに疑問を投げかけてみる」ということかな。よく面接でこんなことを聞く。

働いてもいいし、働かなくてもいい。
その選択肢がある中で、なぜ働くのか?

就職活動をしてもしなくてもいい。
では、なぜ就職活動をしているのか?

と。。。

みなさん、こんにちは。
成山堂書店という専門書をつくっている会社の三代目(専務)の小川啓人です。
海に関すること(船、海洋、水産)、気象、飛行機、鉄道などの物流の専門書から、
深海魚、釣り、海の生き物などの趣味的な本までを発行しています。

能動的に動いていくことが求められる時代

日本が戦後から復興し、高度経済成長時代はとにかくがむしゃらに働くことで未来をつくることができた。上から「これやれ!」と言われれば、そのとおりにやれば、明るい未来が待っていた。しかし今はどうだろうか? たくさんの情報がテレビ、ラジオ、パソコン、スマホからやってくる。特にインターネットに乗っかってやってくる情報量といったら、頭がパンクするくらいの量である。答えを導き出すことは簡単になった時代。AI技術の発展により、問題を解くだけならコンピューターのほうが上である。では、我々人間に必要なことは、埋もれている問題を発見すること。

今までやっていたことを否定してまでも、問題を掘り起こすことで新たな発見が生まれる。しかし、人は今までやってきたことを否定することを苦手とするし、今までのやり方ののほうが楽だから変えようとしない。そこも問題なのである。今はそれでいいかもしれないけど、変化が激しい現代において本当にそれでいいのだろうか? 変わっていかないと置いていかれるだけ。少しずつでもいいから、問題を見つけ、変わっていこう。

「なぜ?」と疑ってみよう

「これやっておいて」と言われたとき、「はい、わかりました」と言い取り掛かる。その際に、「なぜ、この仕事をやるのだろうか?」「この仕事の意味はなんだろうか?」など考えてみると、違うやり方が見つかるかもしれない。もっとよいやり方だったり、効率的なやりかただったり、何かしら見つかる。仕事だけでない。普段の生活からも、当たり前だと思っていることに「なぜ?」と疑問を投げかけ、その答えを出してみる。そうやって訓練をしていくと、より良い仕事のやり方が生まれるはずである。

まずは自覚することから

「無知の知」という言葉がある。無知なのはしょうがない。人は知らないことがいっぱいあるから。問題なのは、知らないことを知ったふりをしていることや、知らないということに気付いていないこと。やっかいなのは「知ったかぶり」かな。知らないということを素直に認めて、自分で調べるなり「知らないので教えてもらえませんか?」と聞くこと。

しかし面倒なのは、「自分は正しい」と正義を振りかざす人。例えば会議。ただ人を集め、資料を作らせても、実際の場ではその資料を読み上げるだけ。なんの意見もなく、時間が過ぎていく。しかし、やっている本人は「やることに意味がある」と大マジメ。それが無駄な時間を過ごしていると微塵にも思っていないわけである。そういったことを、けっこうたくさんある。「昔からやっているから」というのが多いだろう。

そんなのぶち壊してしまえと思うけど、本人に自覚がないのだから言っても揉めるだけ。気付かせることは相当難しい。そこに対して、人は人を変えようとするけど、それは絶対に無理なこと。だからそういう人がいたら、諭すことなく「そういう人なんだ」と思うしかない。正義をぶつければぶつけるほどトラブルになるから。

この本を読んでいて、問題意識が高い人は納得するだろうけど、そうでない人はそもそも読まないのだろう。なので、問題意識が高い人が読んだら、他人へ配慮してあげるといい。自分の問題意識の高さを押し付けるのではなく、「こういうこともあるんだよ」と優しく教えてあげよう。