読了『人を生かす』

人を変えようと思ったって変わるものではない。力によってねじ伏せることはできるかもしれないけど、それは変えることではない。従ったように見えるかもしれないけど、心の中は何一つ変わっていない。

みなさん、こんにちは。
成山堂書店という専門書をつくっている会社の三代目(専務)の小川啓人です。
海に関すること(船、海洋、水産)、気象、飛行機、鉄道などの物流の専門書から、
深海魚、釣り、海の生き物などの趣味的な本までを発行しています。

誰もが知っている、京セラの創業者、稲盛和夫氏。JALを再生させたことでも有名ですね。その稲盛氏が人の育て方や経営者自身の能力の高め方を解説。自身の経験を元に、経営塾の塾生からの質問に答えていく。僕と同じような後継者からの質問が多く、とても勉強になる。

丁寧に説明をすることで理解が深まる

社員に仕事をしてもらうとき。特に初めてやる仕事の場合は、その仕事にはどういう意味があって、なぜそれをしなければならないのかを丁寧に説明すること。「これやって」とだけ言うのと「それはね、○○という意味があるんだよ」と説明するのでは、その仕事をやる社員のモチベーションはかなり変わってくると思う。例えばコピー一つ取る仕事だって、「コピーとっといて」とだけ言われても、やる気は上がらない。しかし「この資料は大事なプレゼンのために配るもので、この仕事が取れるかどうかで会社の将来が変わるかもしれない。だから丁寧にコピーをとることで見た目の印象も違ってくる」などと言われると、丁寧にコピーをとってホッチキス留めキレイになるかもしれない。

そうやって、一つひとつの仕事の意味を説明する。そのためにも、経営者自ら現場の仕事を覚えること。机上の空論だけでは説得力がない。知っているからこそ、なぜそれをやらなければならないのかを説明ができる。小さな会社の経営者はとことん現場を知ることが大事。どれだけ経験を積んだって現場感覚を忘れてはならない。

最後は人間性

どんなに勉強ができても、どんなに能力があっても、人間性に欠ける人は採用してはならない。人間性が良ければ、多少仕事にムラがあっても、最後までしっかりとやってくれるし裏切らない。仕事ができても文句ばかり言う人は採用してはいけない。文句を言う癖がある人は際限なく言うし、陰口を叩く。

そのためにも、経営者自身の人間性を高めなければならない。仕事を一生懸命していくのは当たり前で、その上で勉強もする。それこそ寝る間も惜しんでやらなければならないときもある。だからこそ、若いときに無理は買ってでもしていくべきだと思う。現場しか知らない、勉強ばかりしている。どっちだけでもダメ。バランスよくやっていくことで人間性が高まっていく。

惚れさせるくらいの人間性を持つことができれば人はついてくる。自分の周りを見てみると、そんなリーダーシップを持っている人がいる。その人を観察していると、知識が豊富であったり、話がおもしろ、相手の話をよく聞いてくれるなど、人間味に溢れている。経営者もそうなるべく努力が必要なのである。