本の楽しさを伝えるのが僕の使命なのかもしれない

  • 2018.11.02 

本を読んでますか?

みなさん、こんにちは。
成山堂書店という専門書をつくっている会社の三代目(専務)の小川啓人です。
海に関すること(船、海洋、水産)、気象、飛行機、鉄道などの物流の専門書から、
深海魚、釣り、海の生き物などの趣味的な本までを発行しています。

勉強会の仲間で三重県桑名市でバイク屋さんを経営している今西さんが、このようなブログを書いていました。

 ホントは誰もバイクに興味ないのかも知れない。

彼はブログで、「バイクの楽しさをもっともっと伝えていきたい」って書いています。仕事で使う人は別にして、趣味でバイクに乗っている人は、究極なことを言うと「無くても困らない」のかもしれない。いろいろな理由で手放す人もいる。

まして、今は車離れ、バイク離れ? も影響してか、宣伝してもなかなか売れないという事実もあるみたい。

これを読んでいて、僕のいる出版業界も同じじゃないかと思ったのです。

出版業界が全盛期だった1996年。作れば売れていた。宣伝すると、もっと売れていた。新聞広告出すと、電話がじゃんじゃん鳴っていたそうです。うちのような専門書出版社でもですよ。

でも、そこを境に、どんどん右肩さがり。直近で言うと、2017年の業界の市場規模は、1996年の約半分。半分ですよ!? ビックリします。今までと同じように宣伝したって売れないし。本屋さんに置いても売れない。もっというと、本屋さんは仕入れることを躊躇する。売れないと在庫の山になるし、返品しようにも、いろいろと制約があって、簡単には返せない。

※出版業界は「委託販売制度」というルールがあって、注文した本が売れなければ、出版社に返品できるんです。

本を買う人たちに目を向けると、昔は読書が娯楽の一つだった。今はどうでしょう? スマホがあれば、パソコンがあれば、なんでも調べることができますよね? 僕らの得意とする専門書ですら、パソコンやネットに奪われつつあります。

バイクと同じかどうかわからないけど、本だって、無くても困らない。本に載っている情報で、大抵のことはネットで調べられるから。

でも、なぜ、僕らは本を出し続けているのか? それは「必要としている人がいるから」なのです。だって買ってくれる人はまだまだいるんですもん。広告はやらなくなったけど、SNSで発信すると「そんな本があったんだ〜。欲しい」って言ってくれる人がいて、買ってくれるんですもん。

ただ単に知られていないだけ。本を必要としなくなったんじゃなくて、本以外にやらなきゃいけないことが増えただけ。それはスマホが便利すぎて、24時間いつでもアクセスできるから、いつでも手にしているから、ついついそっちを見ちゃうんです。

少しだけ、本への興味を惹くことができれば、本を読む人は増えるはず。そして、僕ら出版業界の人たちが率先して本を読み、自社の本じゃなくてもいいから、「本は楽しいよ」っていうことを、もっともっと伝えていくべきなんです。

そんなこと言っている僕も、つい最近までは読書量がガクンと減り、スマホばかりでした。でもまた本を読み始めてみると、やっぱり楽しいんですよね。特に小説を読んでいると、次へ次へと読み進めたくなる。先を読みたいから、なんとか時間をつくる。ワクワクドキドキが止まらないわけです。

「次はどうなるんだろう?」っていう体験って、日常的にそうそうできないような気がするんです。それを簡単にできるのが、本なのかなって思うんです。

本を普段から読まない人からすると、「そんな無駄な時間を」って思うかもしれないけど、それは食わず嫌いだからかも。もしくは、おもしろい本に出会ってないからかも。

そういう人にこそ、たまには本屋さんに足を運んで、目的なくてもいいので、ふらっと立ち寄って、気になるタイトル、気になる見た目でもいいので、本を手にとって欲しいなって思います。

誰かと待ち合わせのとき、少し早めに着いて、近くに本屋さんがあったら、時間に少し余裕ができたら、たまにはスマホに目を落とすのではなく、本屋さんに入ってみて欲しいなって思います。

僕は大学3年生の時に、ある1冊の本で人生が変わりました。それから、節目節目で本に助けられてきています。過去に読んだ本でも読み返すと、その時々で感じることは違います。

そんな体験を多くの人にしてもらいたい。また、それを伝えるのが僕の役目でもあるんです。

今西さんのブログを読んで、そんなことを感じたので、書き留めておきました。