コラム

2022年3月20日  

心強い海の案内役!『魚探とソナーとGPSとレーダーと舶用電子機器の極意』

心強い海の案内役!『魚探とソナーとGPSとレーダーと舶用電子機器の極意』
何年も会っていない知人のSNSを久し振りに覗いてみたら、小型船舶操縦士の免許を取得して楽しそうに海に出ている様子がわかりました。その人は釣り好きが高じたタイプで、自分で船を操縦して沖に出てみたくなったようです。
船の免許を取る動機はいくつかありますが、どんな目的であっても、船を操縦するときにもっとも重要なのは、自船の現在位置と進行方向を知ることです。そして、前方や周辺海域に障害物がないかを常に確認しながら、安全に操船しなければなりません。
今日では、安全な操船のための航海用電子機器が船に搭載されています。これに加えて、プレジャーボートや漁船では、釣行や効率操業のための漁労用電子機器も使用されています。陸上より環境が変わりやすく危険な洋上における安全で効率的な航行のためには、これらの機器をよく知り、使いこなすことが必要です。
今回ご紹介する『魚探とソナーとGPSとレーダーと舶用電子機器の極意』は、自らも釣りを愛する舶用電子機器の専門家が、長年の経験をもとにこれらの電子機器をジャンル別に全117講座で徹底解説します。豊富な写真と著者本人による図解で、舶用電子機器の今を語り尽くします。

この記事の著者

スタッフM:読書が好きなことはもちろん、読んだ本を要約することも趣味の一つ。趣味が講じて、コラムの担当に。

『魚探とソナーとGPSとレーダーと舶用電子機器の極意』はこんな方におすすめ!

  • ボート・漁船のオーナー
  • 船釣り愛好者
  • 船が好きな人

『魚探とソナーとGPSとレーダーと舶用電子機器の極意』から抜粋して5つご紹介

『魚探とソナーとGPSとレーダーと舶用電子機器の極意』から、いくつか抜粋してご紹介します。パート5まではそれぞれの電子機器の特徴や使い方、シーン別のデータの読み方のコツ、機種ごとの特徴などがぎっしり解説されています。その後のパート6では電子機器が実際に航行や調査に役立ったエピソード、パート7では著者が実際に乗った船の電子機器紹介が載っていますので、知識がつくとともに臨場感も楽しめます。

魚探の原理はやまびこと同じ

山上から叫ぶと、少し遅れてこだまが返ってきます。このような音波の反射原理を応用したのが魚探です。やまびこの返ってくる時間がやや遅れるのは、声(音波)が空気中を伝わる速度が遅いからです。また、発声する方向が異なると、やまびこ音が小さくなったり、聞こえなかったりすることもあります。

超音波にも音波同様指向特性があり、しかも顕著です。指向性が高いと、探知したい方向へ集中して超音波を発射できます。それによって魚群のいる方向を特定でき、魚群反応の絞り込みが可能になります。また、機器に使用する部品も小さくて済みます。

魚探では、超音波を船底から海中に向けて発射します。超音波が海中を進んでいく途中、魚群やプランクトン層に当たると反射し、その一部分は船底まで返ってきます。この反射波をとらえることで、魚群の存在、プランクトン層の確認、海底の深度などを知ることができるのです。

超音波を発射してから反射波が返ってくるまでの所要時間を正確に測ることで、魚群までの距離、すなわち水深を知ることができます。また反射信号の大きさを測ることで魚群の密集状況などがわかります。

現用魚探では海中からの反射信号のレベルを捉えることによって、カラー液晶画面上に色分けして表示する仕組みになっています。

魚探に使用される超音波には、様々な周波数があります。低い周波数は遠距離へ届くので深い場所を探知するために使われ、高周波は探知角度が細く狭くなるので、分解能力に優れています。高周波は詳細な探知に向いています。
今では、魚のサイズまでわかる魚群探知機が出ているそうですよ。

ソナーの登場

魚探は自艇直下の魚群や海底状況などを探知しますが、ソナーは自艇の前方や左右方向、斜め方向など、探知したい方向を自在に切り替えて操作できる探魚機器です。

ソナー はもともと軍事用として開発されたもので、パッシブソナーとアクティブソナーがあります。前者は受信専用のソナーで、超音波や音波の発信源を探るためのものです。後者は自ら超音波を発射し、その反射波を捉えることで魚群や沈船などを探すものです。漁船やプレジャーボートで使われるソナーは後者の機器です。

今日活用されているソナーは、2つに大別できます。1つは、大中漁船などで活用されているスキャニングソナー、他の1つは小型漁船やプレジャーボートで使われているサーチライトソナーです。

前者は自船を中心に 360°方向の魚群を瞬時に探知表示できるという高度な電子技術が活用されていますが、装置は大掛かりなものです。後者は小型軽量の機器なので小型漁船やプレジャーボートに搭載できますが、細いビームで探知するためビームをサーチライトのように回転させなければならず、自船の周辺の魚群分布を探るのに少し時間がかかります。

基本的にソナーは水平方向を探知し、魚探は垂直方向を探知します。魚探だけでは魚群を探すのに時間がかかるので、一般的には、漁場に近づいたときソナーで全体的な状況を把握し、漁獲する群れが決まったら魚探を使って詳細を確認するといった使い方をします。

私(担当M)は「ソナー」というと潜水艦映画でよく出てくるヘッドホンをして画面を睨んでいる乗組員を想像するのですが、漁で使うものもやっていることは同じで、超音波を発射して跳ね返ってくる様子で周囲を調べているのですね。漁師さんは船の真下を調べる魚探と船の周りを調べるソナーをうまく使い分けて、大漁を目指しています。

船のGPS活用メリット

現在市販されている船舶用 GPSには、様々な機能が組み込まれています。基本機能について整理してみましょう。

1.自船位置を「緯度・経度」で表示する
これは GPS 航法の基本となる部分です。表示するのは緯度「000度 00.000分」、経度「000度 00.000分」です。

2.何もしなくてよい
通常、電源を入れるだけです。電源スイッチをオンにすると自動的に衛星電波をとらえ、自動的に測位しながら自船位置表示を開始します。

3.独自の魚礁図編集ができる
魚探やソナーで発見したポイント、瀬、沈船位置などは、GPS 航法装置にその場で記憶できます。

4.今日の操業位置を決める
GPSでよく使用するのが目的地航法です。これは行き先への方位と距離を即座に計算表示する機能です。このとき地図画面上には行き先番号が現れるとともに、自船位置から行き先までのコースを自動的に設定します。

5.高精度で測位する
その精度は公称 10m以下です。

6.船速・方位を検出する
GPSでは船速と方位を検出表示できます。これもかなりの高精度です。

7.人を助けるMOBキーが付いている
万一の落水事故が発生した場合、即座に MOBキーを押すことで落水地点までの距離と方位を連続して表示できます。

8.アラームで知らせる
GPSには各種警報機能が付いており、到着、コースずれなど設定した海域に入ったり、逆にはみ出したりしたときに警報アラームで知らせてくれます。

9.ルート航法ができる
長距離や大きな島周りの走行ではルート航法が使えます。変針点がいくつかある場合はルート航法でセットしておけます。

10.自航跡を表示する
自航跡は、画面上にラインとなって残ります。色分けや船種分けも可能です。

11.オモテを上にコースアップ
通常画面上部は北となりますが、オモテを上に表示することもできます。入港時に便利です。

12.進路棒が役立つ
自船位置マークから画面端に伸びる直線が進路棒です。舵取りの目安等に使えます。

スマートフォンや車で当たり前に使われているGPSは、船においてもあらゆる船舶で使用されています。元々は軍事用だったGPSが民間用に使われるようになったのは、船舶での活用が主体だったそうです。使える人工衛星の数が少なかった頃は、1日に1時間程度しか測位できなかったということです。

レーダーって?

レーダー(RADAR)は、船舶の安全効率航行には欠くことができない航海用電子機器です。自ら電波を発射しその反射波をキャッチすることで、海上の他船やブイ、島など航行上の障害物の存在を知ることができます。

レーダーはマイクロ波を使用します。マイクロ波は波長が短い電波です。指向性が高く、キャッチした物標までの距離と方位を正確に知ることができるという大きな特徴があります。

今日、レーダーは商船や漁船はもちろん、小型プレジャーボートに至るまで、あらゆる船舶に搭載され安全航行に活用されています。かつてはすべてのユニットが大型だったため、レーダーといえば外国航路の大型商船用機器というイメージが強かったものです。しかし小型船向けレーダーが開発されてからは、中型船、小型船にも次々と搭載されるようになりました。

漁船においては安全航行のための航海機器としてはもちろん、漁労機器のひとつとして活用されるようになっています。

たとえば、自船の操業ポイントの保持、他船の侵入監視、他船の位置把握と航行のモニター、えい網コースの把握など、安全で効率的な漁労の支援に用いられています。

また特殊なレーダーとしては、カツオ魚群などに付く海鳥を探知するレーダー(海鳥探知機)も誕生しました。今日、海鳥探知機はカツオ一本釣り漁船では不可欠な装置です。

道東沖など頻繁に濃霧の発生する海域でも、レーダーは不可欠です。
最近のレーダーは小型化され、性能も大幅に向上した上に安価なものも登場しています。現代船舶の必須機器といえるでしょう。

大型船の上の方で大きなアンテナがぐるぐる回っている、というのが船用レーダーのイメージでした。現在ではそのような大型船だけではなく、小型船にも当たり前に搭載されています。小型船に載っているものはレドーム型アンテナが多いので、搭載されていることに気づいていなかったのかもしれません。

AIS(船舶自動識別装置)

船舶が安全に航行するために不可欠な情報は、他船の動静情報です。すでに大型船では安全航行のために AIS という航法システムが導入されています。

従来、他船の動静把握には、目視とレーダー探知による確認作業が行われてきました。しかし、他船が島影などにいる場合は、視認はもちろんレーダー探知すら不可能な場合があります。詳細が分からなければ、的確な避航操船判断が難しくなります。

AIS は、航行中の船舶から各自船に関する情報(呼出符号、船名、船位など)を放送しながら走行するもので、相手船の動静を的確に把握できる運航システムです。衝突回避や、効率的な操船、作業実施に役立ちます。

AISは、船舶に装備する装置と、陸上に設置される設備で構成されています。信号の送受信には150 MHz帯のVHF 電波が使用されています。
陸上施設は通常、海上交通センターなどの管制センターに設置されています。

船舶に設置したAIS 装置からは、自船の無線呼出符号、船名、位置、針路などの個別データが自動的に発信されます。この電波は付近を航行中の他船や、海上交通センターなどで受信されます。

各船上で受信した AIS 信号は、自船のレーダーやECDIS(電子海図情報表示システム)上に表示することができます。AIS信号は、当該船から一定のエリア内 (VHF 電波通達エリア内)であれば受信が可能です。このため、レーダーで探知できない船舶の動静も正確に知ることができるのです。

また、海上交通センターやポートラジオサービスセンターにおいては、出入港や狭水道航行船舶の管制業務を実施していますが、その際もAISが役立っています。

AIS は不審船対策にも効果的です。全船 AIS搭載が実現すれば、無信号で航行している船舶は怪しい船ということになり、不審船や密漁船、密輸船の発見が一段と容易となります。

2002年7月1日から、500GT以上の国際航海貨物船や、20t以上の国際航海旅客船への AIS装置搭載の義務化がスタートしました。AISは現在、すべての国際航海旅客船と総トン数 300トン以上の国際航海船舶に搭載が義務化されています。なお内航船においても装備が義務付けられています。

担当Mは映画好きなので、何でも映画のワンシーンを思い出してしまうのですが、海を舞台にしたアクションものなどではこのAISを使っているのかな?と思われる不審船発見のシーンがよくあります。海には道路はありませんが、様々な管制システムで事故を防いでいるのですね。

『魚探とソナーとGPSとレーダーと舶用電子機器の極意』内容紹介まとめ

自船の位置と進行方向を知り、安全な操船を行うために不可欠な舶用電子機器。また漁船などでは、効率的な漁業支援のために漁労用の電子機器が使われています。こうした舶用電子機器の基本からシーンごとの使い方、機種の特徴等を写真とイラストつきの全117講座で詳しく解説しました。

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