読了『できるリーダーは、「これ」しかやらない』

  • 2020.01.08 

なんでもかんでもできる人がすごいのではない。大事なことは、すべてを自分でやるのではなく、ポイントをおさえて、メンバーに託すことができる人。だって、一人でできることは限界があるからね。

みなさん、こんにちは。
成山堂書店という専門書をつくっている会社の三代目(専務)の小川啓人です。
海に関すること(船、海洋、水産)、気象、飛行機、鉄道などの物流の専門書から、
深海魚、釣り、海の生き物などの趣味的な本までを発行しています。

完璧な人って、どこか近寄りがたい雰囲気があるよね。前職でも、仕事はできる。バリバリこなしてカッコよい。そんな先輩がいた。でも、どこか近寄りがたかった。それよりも、どこか抜けている感じの人のほうが接しやすかった。もちろん、仕事はできる人でしたよ。それと、いつも笑顔の人。こういう人も相談しやすかったな。

「上司はこうでなければいけない!」っていう常識があると、ついついいろんなことを完璧にこなさなくてはいけないと思ってしまう。なんでも知ってて当たり前とか、なんでもできて当たり前とかとか。そうすると、部下に求めるレベルも高くなっていく。最初は追いつこうとするけど、上司はどんどん先へ行ってしまうから、そのうち追いつかなくなり、脱落していく。それじゃ組織として良くないよね。本当にできる人って、旗から見ていると、ボケ〜っとしているんだよね。でも、ポイントはしっかりと押さえていて、ビシッと指摘してくれる。

時代の変化によって、働き方も変わっていっている。バリバリやりたい人が多かった昔と比べると、仕事は仕事と割り切って、昇進も昇給もいらない。人生楽しめるだけのお給料をもらえれば十分と考える人も多くなった。

僕が新卒で入った会社は、みんなギラギラしていて「俺が一番になってやる!」と意気込んでいたかな。僕もその一人。それが当たり前だと思っていたしね。でもあれから20年くらいたった今。それを自分に部下に求めるのは違う。そもそもそういう目的で入ってきたわけじゃないし、うちの会社はベンチャー企業でもない。今までの伝統を引き継ぎながら、一歩一歩前へ進んでいく会社。だから僕も経営者の一人とは言え、今までの伝統を受け継ぎならやっていかないと、昔からいる社員たちがついてこないしね。

この本は、僕のような後継者に読んでもらいたいな。特に外の会社でバリバリやってきた人。「後継者だから自分ががんばらないと!」と意気込んでいる人にね。そういう人は、「自分がやらないと会社がダメになる」って思っているだろうから。でも、会社は一人ではどうにもならない。特に組織となっている場合は。入社直後は仕事や会社のことを覚えるために、バリバリやることは必要。その後は立場も付いてくるから、どんどん社員に任せていくべき。いろいろと勉強をして、社員とその学んだことを共有して、任せる。そしてまた勉強して、新たなアイディアを考えていく。そうやって、組織は成長していくんだと思う。

社員の中でも、自分でどんどんやりたい人、指示を待ち、その通りにやりたい人、それぞれ役割がある。その特性を見ながら、誰にどんな仕事を任せるかを考えるのが上に立つ人の役割。1から10まで全てを上司が教えていったら、それはそれでその上司がいないと回らない組織となってしまう。

本書の中で、

できるリーダーは、
メンバーにやり方を考えさせる。
ダメなリーダーは、
自分のやり方を押し付ける

とあります。

僕もついつい、答えを出そうとしちゃうけど、そうすると社員はいつまでたっても自分で考えようとしなくなる。厳しい球を投げたとしても、それは相手にとって訓練。このとき注意しなきゃいけないのは、投げっぱなしにしないこと。そして、なぜそれを考えるのかを伝えること。僕がいつも意識しているのは「目的はなにか?」ということ。それがなく、ただ考えるのはとても辛い作業。

そうやって、一歩一歩前に進めるように誘導していくのがリーダーの役割。そんなヒントが満載の一冊です。指導をしていく上で迷ったときに読みたい一冊ですね。