愛がなければ人は動かぬ『小説 上杉鷹山』

  • 2019.06.05 

歴史から学ぶことは多い。偉人からも学ぶことは多い。瀕死の状態の米沢藩を立て直した「上杉鷹山」知る人ぞ知るだけど、歴史好きじゃないとその名は知られていないようです。

成山堂書店という専門書をつくっている会社の三代目(専務)の小川啓人です。
海に関すること(船、海洋、水産)、気象、飛行機、鉄道などの物流の専門書から、
深海魚、釣り、海の生き物などの趣味的な本までを発行しています。

知り合いの経営者から教わった歴史人物

上杉謙信は誰でも知っているけど、上杉鷹山を知っている人はいるだろうか? その名前を聞いた時「誰だい、その人は?」という反応だった。戦国時代の武将ならまだしも、時代は江戸時代。上杉謙信に関する書籍は数多くあるけども、上杉鷹山については数えるほど。しかも数冊。その功績を知る人は少ない。大きなことをやってきたのに、知られていない。でも、この人は知っていたそうです。J.F.ケネディ。

「日本人で尊敬する人は誰ですか?」という質問に「ウエスギヨウザン」と答えたことは有名。しかし、その場にいたインタビューアーでさえ、「誰だ?ウエスギヨウザンって」っていう状況だったとか。調べてみると、ものすごいことをやってのけた人だと後から知るそうです。

トップ自ら動くこと

本書の内容は読んでもらうことにして、窮地の米沢藩を立て直すには、今までのやり方をかえていかなければならない。根本から改革しなくてはならないと考えた上杉鷹山は改革に着手。簡単にはいかないけど、民に改革を押し付けるのではなく、自らも率先してやること。例えば着るもの、食べるもの。「節約しろ!」と言ってもトップがそうしていなければ、民は動かない。一般庶民と変わらぬ格好、食事をして一緒に改革に取り組みました。

伝え続けること

一度言っただけでは改革の内容は伝わらない。何度も何度も話をしていく。それも、自分の側近だけではなく、城を降り、一般庶民たちとも話をして、自分の改革のことを知ってもらう。時間はかかるけど焦らずやっていく。その繰り返し、積み重ねが米沢藩の窮地を救ったのだと思います。

そこには愛があるのか?

上杉鷹山が大切にしていたのは「愛情」。どんなにいい改革でも、絵に描いた餅のようでは変わらない。愛を持って改革を進め、愛のあるトップになる。そのためには、自分の周りにいる人たち、民を心の底から愛すること。それなくして、この改革は実らなかったんだと思います。

現代に当てはめたとしても、それは同じ。口でいくらいいことを言っても、心がそうでなければ、すぐにバレてしまう。「あぁ〜、この人は口だけなんだ」って。心の中は良くも悪くも伝わります。本当に愛を持って接すれば人は理解してくれる。愛のある心、愛のある言葉。

そういったことをこの本から学びました。トップにいる人はもちろん、そうでなくても、上杉鷹山の愛に触れることで、人として大切なことを学ぶことができる一冊です。