本の注文、売上集計に重要だった二つ折りの紙

本に挟まっている、二つ折りの紙。気になっている方はいるでしょうか?

成山堂書店という専門書をつくっている会社の三代目(専務)の小川啓人です。
海に関すること(船、海洋、水産)、気象、飛行機、鉄道などの物流の専門書から、
深海魚、釣り、海の生き物などの趣味的な本までを発行しています。

本に挟まっている紙はなんだ?

本を作る際に、挟み込む二つ折りの紙。今まではそうそう見る機会はなかったと思います。見ていても、気に留めなかったはず。スリップとか短冊とか、僕らは言っています。ほとんどの本に挟まっているもの。しかし、本屋さんで本を購入すると、レジでこれを引き抜きます。だから、存在は知っていたとしても、まじまじと見る機会がなかったということなんです。

最近ではネット書店で買う方も多いと思います。その際には、このスリップは抜かれずにそのまま入っているのですが、不要なので捨てちゃう方も多いと思います。栞代わりに使う方もいますね。僕もその一人です。

スリップの使いみち

では、このスリップ、何に使うのでしょうか? その昔はこれで売上の管理をし、それを出版社ごとにまとめて送り、「1冊いくら」というように報奨金をもらっていたそうです。今でもやっているところがあるとかないとか。

そしてもう一つ、本の注文に使っていました。

「補充注文カード」と当社では書いていて、これを取次店さんに渡して、当社へやってくるんです。そして、本を納品する。そんな使い方がされていました。しかし今は多くの本屋さんにインターネット環境が整っているので、Webから発注できたり、売れたら自動的に発注がいくような仕組みを取り入れているところも増えてきたので、これで発注するところは少なくなってきていますね。

スリップの有無で本を判別

また、別の役割もあります。それは「中古本と区別する」ということ。本屋さんでは売れ残った本は返品できるというルールがあります。新しい本と入れ替えたり、棚を整理し、不要な本は取次店さんを通して、当社に戻ってきます。その際に、このスリップが入ってないものは中古本とみなされ、返品を受け付けないという出版社もあります。

このように、スリップにはいろいろな役割があるわけです。しかし時代の流れとともに、その役割を終える出版社も出てきています。このスリップ、本の数だけ作らなければなりません。一点あたりで見ると大した金額ではないものの、たくさんの本を作っている出版社にとっては、塵も積もれば山となるなるように、それなりのコストがかかります。しかも、「もういらないね」という本屋さんもある中で、このスリップを入れるメリットも少なくなってきているのも事実。そういう理由で入れないとことも出てきています。

開くとこんな感じです。

特にアマゾンのように全てをデータ管理している会社から見れば、不要ですからね。とは言え、すべてなくすわけにもいかないのも事実。これで管理している本屋さんは、まだまだありますからね。

ということで、今日は本に挟まっている二つ折りの「スリップ」について書いてみました。本屋さんに行った際には気に留めてみてください。レジに行く前に本の中を見ると、挟まっていますので。