『本の力 − われら、いま何をなすべきか −』

  • 2015.01.30 

『本の力』、いいタイトルである。本には力があると思う。そういう自分も本によって人生が変わることもあったり、本から得たことは本当に多い。本書の中で、

読書は忘れた頃に知恵となる

と書いてある。正にその通りだと思う。知識を得よう得ようと思うと読書に集中できない。僕は何か一つでも得られることがあれば、それでよいと思っている。それよりも、読書を楽しむことを優先したい。たくさんの本を読んでいれば、いつか役に立つときがくる。知らず知らずのうちに、本を読むことで知識は得られていく。潜在意識の中に入っていくのだろう。

長く出版業界にいたからこそ、そして現場にいたからこそ見えてくる高井氏の視点で、業界内の問題や将来のことについて厳しく書いている。出版社だけが、書店だけが、取次だけが、ではなく三位一体となって本気取り組んでいかないと、お先真っ暗である。

古い体質が残り、また特殊な慣習がある業界だが、各社が本気で読者のことを考えていけば、必ずよくなると思う。そこへどう舵を切るかがポイントなのだろう。そして何より、「そうだよな」と感じたのが、

人を育てることは、企業としての義務だと思います。企業の成長には社員の成長が不可欠です。企業の存続と発展の条件は人を育てることにあるといっても過言ではないでしょう。

ということ。本をつくる、本を売る、本を運ぶ、何をするにしても人が必要。ただいればいいというわけではなく、自ら動き、考えられる人。そういった人を育てていくことが業界の将来、もっというと日本の将来には大切なことなのである。

一に人、二に人、三に人。人は大事な資源なのです。