『「本が売れない」というけれど』というタイトルの本。出版業界にいる人にとっては、ごくごく当たり前のような内容。わかっているようなことだけども、改めてこの業界のことを眺めてみると、「はたしてこのままでいいのか?」と考えさせられる内容でもある。
出版業界でない一読者からすると、業界のことなんで興味はないはず。しかし、一度知ると、「なんでこんな体質なの?」と疑問に思う人も多い。実際に他業界の人に話をすると「えぇ〜、そんなんで商売なりたつの?」なんて言われることもある。昨日は「出版業界の物流を変えるんだ!」という方のお話を聞いた。
この本のタイトルのように、確かに本は売れなくなっている。では本に興味がないのかというと、そんなことはないと思う。今は昔より娯楽が増えて、それらに興味を奪われたのだ。文字を読むことがなくなることはない。本からゲーム、ネット、電子媒体など移行しているのである。
本はとっても面白い。自分の経験から言っても、1冊の本で人生が変わることだってある。出版業界の人は、本を出すだけ、売るだけではなく、本の面白さをもっともっと伝えていくべきだと思う。目の前の売上だけを追い求めるのではなく、「本ってこんなに楽しいんだよ、読んでいるとこんなにいいことあるんだよ」と伝えていくべきである。
そして、自社だけの利益を考えるのではなく、横のつながりを深くして一緒に歩んでいくべきでもある。出版社・書店と一緒になってやっていく。出版社も自社だけではなく同じような本を出しているところ、時にはまったく違うジャンルでもいいだろう。目線を変えれば、違う本と一緒に売ることだってできる。
「売れない、売れない」と嘆くのではなく、「どうやったら本のよさを伝えられるだろうか?」と考えていくと、まだまだ本は売れる。
この本を読んで、そんなことを考えました。