ヒューマンファクター ~安全な社会づくりをめざして~


978-4-425-98531-9
著者名:日本ヒューマンファクター研究所 編
ISBN:978-4-425-98531-9
発行年月日:2020/10/28
サイズ/頁数:A5判 212頁
在庫状況:予約
価格(本体価格)

2500円(税別)

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安全問題は、いつでもあり続ける永遠の課題です。
安全を確保するには、様々な側面があり、どの側面をとってもその背景には必ず人間が関係していることから、安全におけるヒューマンファクターは不可欠となります。
本書は、人間の特性や疲労とストレス、事故原因の分析、安全における現場力、安全管理について具体例を用いて分かりやすく解説しています。

【はじめに】 ヒューマンファクターというのは、奥も深いが非常に幅広い概念の学問である。日本ヒューマンファクター研究所はヒューマンファクターを実践的学問と捉えて、心理学(認知心理学、行動心理学など)、生理学、医学、哲学、倫理学、人間工学など、およそ人間の営みにかかわる学問すべてを包含した学問と考えている。しかもそれは学んで終わりの学問ではなく、学んだものから人間の行動を社会に役立たせるための実践的な学問であると考えられる。
このような考えからすると、ヒューマンファクターの知見はいろいろな場で使うことができる。単に工場の作業者等によるヒューマンエラーを防ぐために何をしたらよいかというようなことだけではなく、家庭の中の人間関係や教育のあり方、企業の経営に必要な人間の特性に関する知見、職場を活性化したり、スポーツで選手のやる気を引き出す方法など、あらゆる人の営みに効果を与えることのできる学問である。
多くのヒューマンファクターの研究者に今までバイブルのように読まれてきた書籍は、オランダKLM 航空のホーキンズ機長が著した「ヒューマンファクター」と日本ヒューマンファクター研究所の初代所長黒田勲博士の「信じられない事故はなぜ起こる」であろう。この両著は、ヒューマンファクターの基礎を学ぶ者にとって恰好のガイドである。もちろん今もこの二つの著作は、これからヒューマンファクターの勉強を始めようという方たちにはよいガイドブックではあるが、一部内容が新しい理論に変わってきたものがある。
1998年に設立された日本ヒューマンファクター研究所は、2018年11月に剏立20周年を迎え、この20年の研究成果を取りまとめて新しいヒューマンファクターのガイドを発表することとなった。内容的には上記の著作にはない新しい知見が取り入れられているほか、日本ヒューマンファクター研究所独自の研究成果も数多く盛り込まれている。
本書の内容は、大きく分けて二つのカテゴリーに分かれている。
ひとつは「ヒューマンファクターの基礎知識」を記述した部分、もうひとつはその知識に基づいて「社会安全のために」を記述した部分である。日本ヒューマンファクター研究所は、何のためにヒューマンファクターを研究しているのかというと、それは少しでも社会の安全性向上に寄与したいという願いからである。したがって、ヒューマンファクターの基礎知識に加えて、社会安全のために必要な知識も組み込んである。
大まかに言うと、ヒューマンファクターの基礎知識に該当する部分は第1章から第4章まで、第5 章から第10 章までは社会安全のための知見である。ヒューマンファクターの基礎だけを知りたい方は第4章までを、ヒューマンファクターについての知識があり社会安全のための知識を得たい方は第5 章以下をお読みになればその目的を果たすことができるはずである。
本書が多くのヒューマンファクター研究者や実務者の参考になるものと確信し、これからのヒューマンファクター学の発展に寄与することを願ってやまない。
2020年9月
日本ヒューマンファクター研究所   
所長 桑野偕紀

【目次】
第1章 人間の特性と機能
 1.1 人間の特性
 1.2 人間の脳
 1.3 人間の行動

第2章 ヒューマンファクターについて  2.1 ヒューマンファクターとは
 2.2 ヒューマンファクターの変遷
 2.3 ヒューマンファクターの定義
 2.4 ヒューマンファクターのモデル

第3章 ヒューマンエラー  3.1 ヒューマンエラーとは
 3.2 ヒューマンエラーの源
 3.3 エラーはなぜ起きるのか
 3.4 ヒューマンエラーの分類
 3.5 現場に現れるエラー発生要因
 3.6 組織エラー
 3.7 決められた手順からの逸脱

第4章 疲労とストレス  4.1 疲労と睡眠
 4.2 ストレス

第5章 リスクと危機  5.1 リスク
 5.2 リスクの定義
 5.3 リスクマネジメント(Risk Management)
 5.4 危機

第6章 重大な事象やトラブルの分析と対策  6.1 事象の分析と対策
 6.2 VTA
 6.3 なぜなぜ分析
 6.4 M-SHEL 分析と対策
 6.5 根本原因分析
 6.6 J-RCA

第7章 現場力を高める  7.1 CRM(Crew Resource Management)とは
 7.2 産業分野に共通なCRM 的発想法
 7.3 レジリエンスエンジニアリング
 7.4 一人作業について
 7.5 スレット アンド エラー マネジメント
 7.6 コーチング

第8章 安全と品質管理  8.1 安全への希求とヒューマンファクター
 8.2 品質向上とヒューマンファクター

第9章 労働安全  9.1 労働災害の現状
 9.2 世界の動向
 9.3 わが国の労働災害死亡事故
 9.4 労働安全衛生法と労働安全管理体制の構築
 9.5 ISO45001(労働安全衛生マネジメントシステム)

第10章 安全文化  10.1 守りの安全から攻めの安全へ
 10.2 安全文化の成り立ち
 10.3 安全文化を構築するための具体的事項
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