航空安全とパイロットの危機管理(改訂増補版) 交通ブックス311


978-4-425-77802-7
著者名:小林宏之 著
ISBN:978-4-425-77802-7
発行年月日:2021/11/28
サイズ/頁数:四六判 268頁
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航空業界に限らず、危機管理担当者必読の一冊

ハイテク機の導入により、航空事故原因は機材の不具合や規程類の不備より、人的要素、“ヒューマンファクター”が60~80%に達していることが判明した。
このようなことから、運航乗務員に対するCRMというリソースマネジメントの教育・訓練が導入されているが、同時にパイロット個人の危機管理意識や取り組みが必要であることは言うまでもない。
本書は、数多の危機と対峙しながらも安全運航をまっとうし、“グレート・キャプテン”とよばれた元機長による危機管理の鉄則や実践について余すところなく著されたものである。
改訂増補版では、新たに現場での安全確保の取り組みを紹介した。またコロナ後の航空界の課題と展望を示した。

【改定増補版によせて】 2016年12月に初版が発行されて以来、航空関係、危機管理に関心を持つ多くの読者の皆様に読んで頂き、安全運航、危機管理の参考になったならば幸甚である。今回の改訂版では、新しい情報をもとに大幅な改定をして、章立ても見直した。第7 章では、航空の現場で働くすべての方にとって、日常での業務で安全で質の高い仕事を遂行するためのマネジメントのループを採り入れた。第9章では、コロナ後の航空界の課題と展望について述べている。また挿入図とコラムも増やし、読みやすさを目指した。

【目次】
序章 機長の役割、機長の責任

第1章 航空界における「安全」について考える  1.1 航空界における安全への取り組みの歴史
 1.2 ICAOとわが国の最近の取り組み
 1.3 「安全」を具体的にどう捉えるか
 1.4 航空業界で働く者として安全と他のテーマをどう捉えるか

第2章 安全を支える四本の柱と安全文化  2.1 安全を支えるものは
 2.2 安全文化とは
 2.3 安全文化の主な要素
 2.4 報告の文化
 2.5 謙虚と自律の文化
 2.6 学習の文化
 2.7 柔軟な文化
 2.8 「間」の文化
 2.9 安全を支える四本の柱

第3章 安全確保のためのリスクマネジメント  3.1 安全はリスクマネジメントで許容範囲に維持
 3.2 リスクマネジメントと危機管理の概念の歴史
 3.3 リスクとは
 3.4 リスクアセスメント
 3.5 リスクアセスメントのプロセス
 3.6 リスクコミュニケーション
 3.7 リスクマネジメントの実際
 3.8 リスクマネジメントに関わる両輪のスキル

第4章 ヒューマンエラー対策  4.1 安全対策はヒューマンエラー対策が鍵を握る
 4.2 ヒューマンエラーとは
 4.3 具体的なヒューマンエラーと対策

第5章 危機管理の原理原則10か条  5.0 新型コロナから学ぶ危機管理の教訓
 5.1 危機管理・リスクマネジメントの基礎は健康管理
 5.2 危機管理は重要度の選定が大切
 5.3 危機管理は目的と手段の峻別を
 5.4 危機管理とリーダーシップ
 5.5 危機管理と意志決定
 5.6 危機管理の心構え
 5.7 危機管理の鉄則
 5.8 未然防止の要諦
 5.9 危機管理と情報
 5.10 危機管理とコミュニケーション

第6章 航空界のプロとして  6.1 安全意識はリスク意識・プロ意識・重要度の把握から
 6.2 能力の向上という「報酬」
 6.3 航空界で働くプロに求められるテーマ
 6.4 才能と天職について
 6.5 高度一万メートルから見た地球に教えられたこと

第7章 航空の現場における安全確保  7.1 日常業務における安全確保
 7.2 目の前で起こる事象に対する安全確保の意志決定と行動のループ
 7.3 日常の現場における安全確保の意志決定と行動のループ
 7.4 Observe 能力を向上させる
 7.5 Orient 能力を向上させる
 7.6 Decide 能力を向上させる
 7.7 Act(行動力・実行力)を向上させる

第8章 リーダーとしての機長に求められる条件  8.1 自己コントロール(Self-Management)
 8.2 健康管理能力
 8.3 機長として持続する強い目的意識
 8.4 機長のリーダーシップ
 8.5 機長の意志決定力
 8.6 安全確保のための操縦席におけるマネジメント
 8.7 コミュニケーション力
 8.8 機長のアナウンス力
 8.9 人間力
 8.10 明るく元気であること

第9章 コロナ後の航空界の課題と展望  9.1 新型コロナの航空界に与えた影響
 9.2 新型コロナと航空界の雇用の影響
 9.3 航空界の今後の課題
 9.4 航空界の今後の展望
 9.5 コロナ禍の前に問題となっていたパイロット不足はどうなるか

コラム  1 北極の極上通過フライト
 2 飛行機の機内にショットガンとノコギリを搭載していた!
 3 大韓航空機撃墜事件後の航法
 4 123便について
 5 ぜひ読んでいただきたい『航空法』の本
 6 成田空港開港日に着陸
 7 幻のSST第1期生
 8 ヒヤリ・ハットについて
 9 これまで出会った尊敬する機長
 10 家族に遺書を残したフライト
 11 英語も千差万別ある
 12 人間が傲慢なことをしなければ地球には回復力がある
 13 自己コントロールと自分との約束
 14 疲労が要因の可能性の航空機事故
 15 「ハドソン川の奇跡」に学ぶリーダーのコロナ対応
 16 ハイテク機の安全性について
 17 国際政治情勢の影響を受ける国際線のフライト
 18 講演での学生とのエピソード
 19 パイロットコースの学生とのエピソード

「交通ブックス」の刊行にあたって 私たちの生活の中で交通は、大昔から人や物の移動手段として、重要な地位を占めてきました。交通の発達の歴史が即人類の発達の歴史であるともいえます。交通の発達によって人々の交流が深まり、産業が飛躍的に発展し、文化が地球規模で花開くようになっています。
交通は長い歴史を持っていますが、特にこの二百年の間に著しく発達し、新しい交通手段も次々に登場しています。今や私たちの生活にとって、電気や水道が不可欠であるのと同様に、鉄道やバス、船舶、航空機といった交通機関は、必要欠くべからざるものになっています。
公益財団法人交通研究協会では、このように私たちの生活と深い関わりを持つ交通について少しでも理解を深めていただくために、陸海空のあらゆる分野からテーマを選び、「交通ブックス」として、さしあたり全100巻のシリーズを、(株)成山堂書店を発売元として刊行することにしました。
このシリーズは、高校生や大学生や一般の人に、歴史、文学、技術などの領域を問わず、さまざまな交通に関する知識や情報をわかりやすく提供することを目指しています。このため、専門家だけでなく、広くアマチュアの方までを含めて、それぞれのテーマについて最も適任と思われる方々に執筆をお願いしました。テーマによっては少し専門的な内容のものもありますが、出来るだけかみくだいた表現をとり、豊富に写真や図を入れましたので、予備知識のない人にも興味を持っていただけるものと思います。
本シリーズによって、ひとりでも多くの人が交通のことについて理解を深めてくだされば幸いです。

公益財団法人交通研究協会
理事長 加藤書久

【著者略歴】 小林宏之(こばやしひろゆき)
1946年、愛知県新城市生まれ。1968年、日本航空株式会社に入社。
以来42年間、一度も病欠などでスケジュールの変更なく飛び続ける。
乗務した路線は、日本航空が運航した全ての国際路線と主な国内線。
総飛行時間18500時間。
社内略歴として、飛行技術室長、運航乗員訓練部副部長、運航安全推進室長、
運航本部副本部長、広報担当役員付広報部長を歴任。
その他、首相特別便機長、湾岸危機時の邦人救出機機長など。
2008年には、「高度一万メートルからみた地球環境」というテーマで、
新聞、テレビ、ラジオ、雑誌などのメディアに出演。
2010年3月退社時のラストフライトはマスコミの話題となり、新聞・テレビなどで特集が組まれる。
日航退社後は、危機管理・リスクマネジメントの講師として活躍する傍ら、
航空評論家としても活躍中。
公益社団法人日本航空機操縦士協会副会長(2010〜2014年)、
国土交通省交通政策審議会の航空部会の各委員会委員(現在に至る)を務める。
医療機関、原子力関係の各機関、様々な企業・団体での講演の依頼が殺到。
最近では、テレビ・ラジオなどの出演も多数。
著書に『機長の集中術』『機長の健康管理』(CCC メディアハウス)、
『JAL 最後のサムライ機長』(ポプラ社)、『グレートフライトJAL で飛んだ42年』(講談社)がある。
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