著者名: | 塩見英治・堀雅通・島川崇・小島克己 編著 |
ISBN: | 978-4-425-92881-1 |
発行年月日: | 2017/6/28 |
サイズ/頁数: | A5判 304頁 |
在庫状況: | 在庫有り |
価格 | ¥3,080円(税込) |
観光の基本的要素である交通(陸・海・空)について、ビジネス、サービスの視点で解説、新たな観光のスタイル、観光需要を増やすためのマーケティングや人材育成、まちづくりといった業界の理論と実務、現状と展望も紹介する。観光は21世紀の重要な成長産業として、その重要性はますます高まっている。本書は、一冊で観光とそれに関わる交通の概略を学ぶことができる観光テキストとなっている。
【はじめに】より
「観光交通ビジネス」で学びを深めようとしている皆さんへ
2001年に発足した小泉純一郎政権以来、わが国は一貫して、観光を次の成長戦略の柱のひとつとして重要視してきました。訪日外国人観光客も2016年には2400万人を超え、それに伴って彼らの消費も飛躍的に増加していることから、観光産業の重要性はますます高まっていると断言できます。現在、これを上回る大きな目標を立てています。一方で、インターネットやモバイルデバイスの普及で観光産業のビジネスモデルも大きく変化が起こっています。このように急激に日本の観光産業を取り巻く環境は激変しているにもかかわらず、わが国の既存の観光業や交通機関のビジネスモデルの変革はあまり進んでいるとは言えません。さらに、ここ数年、観光産業・交通機関の現場において、人材不足、人手不足が指摘され始めました。 この教科書を手にした皆さんは、少なからずとも観光産業や交通機関に興味を持っているものと思います。私たちは大学で観光学を教えていますが、観光業や交通機関を志望する学生は観光学部・学科系はもちろん、経済・経営学部系や語学・国際系等その他の学部の学生にもちゃんと存在するのに、なぜ業界では人材不足・人手不足が叫ばれているのか、そこにミスマッチが起こっていることが不思議に思っていました。それは、学生の皆さんがただ何となく観光や交通に興味があるレベルにとどまっていて、業界の現状をちゃんと理解して、今後この業界がさらに発展するためのアイデアを提案することができる域まで達していないからではないでしょうか。そして、その根本的な原因は、この業界のことをちゃんと教えられていない大学側にあるのではないかと私たちは思います。その意味において、この「観光交通ビジネス」は、それぞれの分野のエキスパートの先生方が集結して、この業界の理論と実務、そして現状と展望を丹念に書きあげました。初学者の皆さんにもとっつきやすいものになるように、「噛んでふくめる」解説をするよう、執筆者の先生方は全員心がけて書きました。この教科書一冊で、この業界の概略が分かるような構成になっています。ありそうでなかったこのような教科書で、きっとみなさんもこの業界にさらに興味がわき学修を【効果的に進められるのではないかと期待しています。
読者の皆さんがこの業界で働く喜びを感じて、そして、この教科書を使って業界で必要となる知識を習得し、この業界の一員となってくれることを心から期待しています。
平成29年5月
編者一同
【目次】
第1章 観光の発展と交通機関
1-1 観光発展の背景と新たな課題
1-2 観光交通の特徴
1-3 交通機関の特性と選択
1-4 公共交通の利便性の確保
1-5 需要分析の必要性
1-6 観光交通の社会経済的意義
1-7 観光交通の研究課題
第2章 観光交通サービスの特性と観光交通ビジネスの展開
2-1 はじめに
2-2 交通ビジネスと観光ビジネス
2-3 交通サービスと観光サービス
2-4 観光交通ビジネスの展開
2-5 地域経済と観光交通
2-6 まとめ
第3章 観光政策の変遷と観光交通ビジネス
3-1 はじめに
3-2 わが国の観光の現状
3-3 わが国の観光政策とその変遷
3-4 観光政策と観光交通
第4章 航空ビジネスと観光
4-1 国際航空輸送の特性と戦略の基本動向
4-2 国際航空輸送の制度的特性の背景:「シカゴ・バミューダ体制」
4-3 米国規制緩和とオープンスカイの潮流:「シカゴ・バミューダ体制」の変容
4-4 オープンスカイ下の企業戦略:グローバル・アライアンスとLCCの展開
4-5 国際観光と航空の関わり
4-6 日本における航空政策の展開
4-7 日本におけるLCCとアライアンスの展開
4-8 航空と国内観光
4-9 まとめ
第5章 空港ビジネスと観光
5-1 はじめに
5-2 わが国の空港の現状
5-3 空港整備の財源と仕組み
5-4 空港運営と空港民営化
5-5 空港ビジネスと観光
5-6 観光における空港の機能と役割
5-7 空港と観光のこれから
第6章 鉄道ビジネスと観光
6-1 はじめに
6-2 観光における鉄道の役割
6-3 鉄道経営に占める観光の位置
6-4 観光輸送に活路を見い出す鉄道
第7章 その他の交通ビジネスと観光
7-1 はじめに
7-2 貸切バス事業と観光
7-3 タクシー事業・レンタカー事業・クルーズ船・レンタサイクル事業と観光
7-4 まとめ
第8章 旅行会社のグローバル化
8-1 はじめに
8-2 パッケージツアーとともに成長したわが国の海外観光旅行
8-3 海外旅行のビジネスモデルを大きく変革した「AB-ROAD」
8-4 旅行業界のIT化の流れ
8-5 グローバル時代に生き残る旅行会社とは
第9章 地域の活性化・まちづくりと観光・交通
9-1 はじめに
9-2 地域活性化のための観光・まちづくり
9-3 観光まちづくりのポイントと課題
9-4 まとめ
第10章 観光と環境ーエコツーリズムとサステイナブル・ツーリズム
10-1 環境問題への警鐘とエコツーリズムの芽生え
10-2 持続可能な共生社会の構築とサステイナブル・ツーリズム
10-3 グリーンでサステイナブルな産業を目指して
10-4 まとめ
第11章 都市ツーリズムと農村ツーリズム
11-1 都市ツーリズムと農村ツーリズムの概要
11-2 都市ツーリズムのタイプ
11-3 農村ツーリズムのタイプ
11-4 まとめ
第12章 コンテンツツーリズムー観光資源としての鉄道
12-1 はじめに
12-2 コンテンツとは何か
12-3 コンテンツツーリズムの背景と政策
12-4 コンテンツツーリズムとは何か
12-5 コンテンツツーリズムの現代的実践事例
12-6 補論として 観光資源としての鉄道
12-7 まとめ
第13章 観光まちづくりとNPO
13-1 はじめに
13-2 観光まちづくりの史的展開と利害関係者の相互関係
13-3 観光まちづくりにおける地域参加とNPO
第14章 被災地観光ーダークツーリズム
14-1 はじめに
14-2 観光振興のメリット、デメリットとサステイナブル・ツーリズム
14-3 被災地観光の現状
14-4 被災地観光を地域の内発的発展に結びつけるために
第15章 MICEと観光振興
15-1 MICEとは
15-2 MICEの開催状況
15-3 日本のMICE誘致の取り組み
15-4 MICE誘致先進国(海外)の取り組み
15-5 まとめと検討
第16章 おみやげと観光
16-1 はじめに
16-2 おみやげとスーベニア
16-3 日本における観光みやげの歴史と現状
16-4 観光みやげの三要件
16-5 まとめ
第17章 ホテル・宿泊業の構造変化ーマーケティングの観点から
17-1 ホテル・宿泊業の概要
17-2 西洋におけるホテル・宿泊業の歴史
17-3 わが国におけるホテル・宿泊業の歴史
17-4 宿泊業を取り巻く構図
17-5 わが国におけるホテル・宿泊業のブランディングからみる市場対応
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