東アジアの港湾と貿易


978-4-425-93231-3
著者名:男澤智治・合田浩之 編著
ISBN:978-4-425-93231-3
発行年月日:2024/1/28
サイズ/頁数:A5判 234頁
在庫状況:在庫有り
価格¥3,300円(税込)
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世界の港湾別コンテナ貨物取扱量は上位20位の港湾のうち14港が東アジア諸国の港湾であり、世界経済・貿易における東アジア港湾の存在感の拡大している。本書では、東アジアの10の国と地域のコンテナ港湾に焦点を置き、その概要をまとめたものである。

【はしがき】 本書は、日本港湾経済学会創立60周年を記念して作製された第一号である。2021年、研究叢書をシリーズでまとめることが会員総会で決定し、その後、さまざまな企画案が出されるなかで、『東アジアの港湾と貿易』が真っ先に取り組まれた。
東アジアに視点を置いたのは、近年のコンテナ物流を統計的にみると中国の台頭にはじまり取扱量上位の港湾や国・地域が東アジアに集中しているためである。今回は、東アジア10 カ国(日本、中国、韓国、台湾、ベトナム、シンガポール、マレーシア、タイ、フィリピン、インドネシア)の港湾について知見を持っておられる会員諸氏に執筆をお願いした。
本書は東アジア諸国の港湾と日本との貿易状況を示したものであり、初めて国際貿易や国際物流に携わる方、若手港湾研究者など多くの皆さんに読んで頂けるようわかり易く解説した。
本書の構成を示しておけば、大略次の通りである。
本書は12 章構成であり、第1章は本書の導入部分となっている。東アジア経済が世界経済で大きなインパクトを与えていること、そのなかでコンテナ物流も急成長している点を指摘している。
第2章以降は、東アジアの国別に論じている。各章とも論点は、「日本と各国との貿易状況」「各国コンテナ港湾政策」「各国の港湾現状」「コロナ禍の影響」「今後の展望」である。
第2章は、わが国の港湾を取り上げ、コンテナ港湾の動向や港湾政策の変遷、神戸港と名古屋港の事例を紹介している。第3章は、中国の港湾を事例に日中間の貿易状況や中国を5つの港湾群に分け概要を述べている。香港港についても本章で言及している。第4章は、2013 年に習近平国家主席が提唱した「一帯一路」構想にもとづき整備が進められた中国と欧州を結ぶ貨物鉄道輸送「中欧班列」の発展について述べている。第5章は、韓国の港湾を事例に日韓間の貿易概要、韓国港湾政策など、さらには􄽂山港、仁川港など主要コンテナ港湾の概要について述べている。第6章は、台湾の港湾を事例に日台間の貿易概要、章は、ベトナムの港湾を事例に日越間の貿易状況、港湾戦略と運営管理、取扱の現状を述べている。第8章は、シンガポールの港湾を事例に日本とシンガポールの荷動き状況やシンガポール港の取扱量、港湾運営企業であるPSA の概要について述べている。第9章は、マレーシアの港湾を事例に日本とマレーシアの荷動き状況、シンガポールとの競合・補完といった視点で述べている。第10章は、タイの港湾を事例に経済発展の状況や主要コンテナ港湾の概要、内陸デポであるラッカバンICD などを紹介している。第11 章は、フィリピンの港湾を事例に日本とフィリピンのコンテナ荷動き状況、主要コンテナ港湾の取扱量について述べている。また、フィリピンは世界的な船員供給国でありその点についても触れている。第12 章は、インドネシアの港湾を事例に日本とインドネシアの貿易状況、インドネシア航路の変遷、主要港の取扱量や港湾整備の概要について述べている。読者の忌憚のない批評がいただければ幸いである。
最後になったが、本書の刊行を快くお引き受け下さりました成山堂書店の小川啓人社長、編集グループの板垣洋介氏、村岡直樹氏に、執筆者を代表して心からお礼を申し上げたい。

2023年12月
編著者

【目次】 第1章 東アジアの経済と港湾  1‒1 概説
 1‒2 東アジアの経済と貿易
 1‒3 東アジアの港湾
 1‒4 変貌する世界のコンテナ港湾

第2章 日本のコンテナ港湾戦略と主要港の概要  2‒1 概説
 2‒2 神戸港-民間コンテナターミナルオペレーターと港湾運営会社
 2‒3 名古屋港-名古屋港運協会と2つの民間ターミナル:NUCT、TCB
  小括

第3章 中国のコンテナ港湾戦略と主要港の概要  3‒1 概説
 3‒2 日中間の貿易状況
 3‒3 中国におけるコンテナ港湾の整備・運営
 3‒4 中国におけるコンテナ貨物取扱状況
 3‒5 主要港における概要
 3‒6 中国における今後のコンテナ港湾の開発計画

第4章 中欧班列と中国の港湾  4‒1 概説
 4‒2 中欧班列の現況
 4‒3 中欧班列と海運
 4‒4 中欧班列と港湾
 4‒5 港湾と国際陸港
 4‒6 今後の展望

第5章 韓国のコンテナ港湾戦略と主要港の概要  5‒1 概説
 5‒2 日韓間の貿易状況
 5‒3 韓国における港湾の整備•運営
 5‒4 韓国におけるコンテナ貨物の取扱状況
 5‒5 韓国の主要コンテナ港湾の概要(􄽂山港、仁川港、蔚山港、光陽港、平澤・唐津港)
 5―6 新型コロナウイルス感染症への対応
 5―7 今後のコンテナ港湾の開発計画(港湾政策方向・推進戦略)

第6章 台湾のコンテナ港湾戦略と主要港の概要  6‒1 概説(本章の要旨)
 6‒2 日台間の貿易の状況
 6‒3 台湾における国際コンテナ港湾の整備・運営
 6‒4 台湾における国際コンテナ港湾と貨物取扱い状況(2010-2021年)
 6‒5 新型コロナウイルス感染症への対応(2020-2022年)
 6‒6 今後のコンテナ港湾の開発計画

第7章 ベトナムのコンテナ港湾戦略と主要港の概要  7‒1 概説
 7‒2 日越間の貿易状況
 7‒3 コンテナ港湾戦略と運営管理
 7‒4 主要コンテナ港湾の概要
  補論 新型コロナウイルス感染症の影響

第8章 シンガポールのコンテナ港湾戦略と主要港の概要  8‒1 概説
 8‒2 日本とシンガポールのコンテナ荷動き状況
 8‒3 シンガポール港のコンテナ港湾および取扱量
 8‒4 PSA グループ概説
 8‒5 MPA シンガポール海事港湾局の戦略
  補論 新型コロナウイルス感染症の流行(2020-2021 年)の影響

第9章 マレーシアのコンテナ港湾戦略と主要港の概要  9‒1 概要
 9‒2 中継貿易拠点としてのマレーシア
 9‒3 日本とマレーシアの荷動き状況
 9‒4 シンガポールとの競合・補完

第10章 タイのコンテナ港湾戦略と主要港の概要  10‒1 概説
 10‒2 タイの経済概況
 10‒3 タイ経済発展の経緯と現状
 10‒4 タイの主要コンテナ港湾の概要

第11章 フィリピンのコンテナ港湾戦略と主要港の概要  11‒1 概説
 11‒2 日本とフィリピンのコンテナ荷動き状況
 11‒3 フィリピンの主要コンテナ港湾および取扱量
 11‒4 ICTSI社概説
 11‒5 海事国フィリピンの特筆事項
  補論 新型コロナウイルス感染症の影響

第12章 インドネシアのコンテナ港湾戦略と主要港の概要  12‒1 概説
 12‒2 日本とインドネシアの貿易状況
 12‒3 日本とインドネシアの貿易状況
 12‒4 インドネシア主要コンテナ港湾と取扱量
 12‒5 コンテナ港湾のインフラ整備と運営の変遷
 12‒6 インドネシア港湾の特徴とこれからの成長


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