新訂 港運がわかる本


978-4-425-39226-1
著者名:天田乙丙・恩田登志夫 共著
ISBN:978-4-425-39226-1
発行年月日:2020/8/28
サイズ/頁数:A5判 256頁
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価格¥4,180円(税込)
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港湾運送のことが、この1冊でよくわかります。

陸と海の接点で貨物を動かす港湾運送の成り立ちから最新の情報までをまとめた解説書。平成6年初版の内容を全面改訂。特に港湾労働と職業訓練に関する記述を充実させました。

【はしがき】 港湾職業能力開発短期大学校横浜校に勤務していた時期,『港運がわかる本』を授業準備に活用していたため,天田先生の著書を担当する話を伺った際,身が引き締まる思いだった。天田先生の記述した内容は,変更箇所がない限り残すことを前提にして,新たに港湾労働に関する章を加筆したことが,今回の改訂版の特徴である。港湾労働を新たに追加した理由は三つある。一つは,港湾労働法に関する記述を大幅に取り入れたことである。編集者から港湾業界から改訂版の要望が強いと伺い,港湾実務者を対象とするのであれば,港湾三法の一つである港湾労働法に触れなければならないと考えたからである。二つめは,港湾労働に従事する「人」の職業訓練について触れたことである。国の港湾政策であるPORT2030では,AIやIOTの技術を取り込み,港湾の姿が様変わりすることが想定される。港湾荷役の効率的オペレーションを考えると,職業訓練はますます重要性を増すものと考えたからである。三つめは,港湾労働に関する研究者が少なくなり,将来の研究者のためにも,現在の港湾労働の現状を少しでも文献として残す必要があると考えたからである。昨今の大学の授業科目では,港運論,海運論等がなくなり,国際物流論や貿易論に置き換えられている。したがって,港湾を専門とする研究者が少なくなり,将来的には,どのようになるのか危機感を抱いている。国の重要なインフラである港湾は,将来にわたり継続する課題を含有しているはずである。
最後に,第3編第4章には,あえて職業訓練の概要をできる限り詳述した。それは,港湾政策の成果を高めるには,国・地方公共団体が施策する港湾政策と港湾労働の関わりは避けて通れないからである。国が運営する港湾職業訓練施設を上手に活用すべきである。

2020年7月
恩田登志夫


【目次】
第1編 港湾と本線の仕組み
第1章 港湾施設と出入港手続き
 第1節 港湾施設(公共埠頭と私設埠頭)
 第2節 港の関所と出入港手続き
  1 税関(Customhouse)
  2 検疫所(Quarantine)
  3 出入国管理事務所(Immigration Office)
 第3節 バース(船席)指定と出入港手続き並びに手配
  1 港湾局(Harbor Bureau)
  2 港長(海上保安庁保安部長兼務)(Harbor Master)
  3 その他

第2章 本船の仕組み  第1節 チィオッサー(一等航海士)は本船の窓口(乗組員の巻)
 第2節 吃水(キッスイ:Draft)を測る
 第3節 いろいろある船舶のトン数
  1 総トン数(Gross Tonnage:G/T)
  2 総トン数(Net Tonnage:N/T)または登録トン数(Registered Tonnage)
  3  排水トン数(Displacement Tonnage)
  4 載貨重量トン数(Deadweight Tonnage:D/W)
  5 載貨容積トン数(Measurement Tonnage:Cubic CapacityまたはSpace Tonnage)
 第4節 オモテ(艏:Bow)とトモ(艉:Stern)(船体各部の名称)
 第5節 ケンカ巻きとジャック・ナイフ(揚貨方式のいろいろ)
  1 デリックを固定する方式
  2 デリックをスイングする方式
  3 クレーン(Crane)

第2編 港湾運送と港湾運送事業法
第1章 海上運送契約を開始または終結する港湾運送
  第1節 外国貿易決済の仕組みと建値条件(FOB,CIF価格等)
第2節 海上運送契約の開始または終結
 第3節 運賃条件と元請の選定:B/T(Berth Terms)とFIO(Free In and Out)
第2章 港湾運送の体系  第1節 港湾運送体系のあらまし
 第2節 在来型の港湾運送体系と貨物の受渡し
  1 在来型運送体系
  2 在来船貨物の受渡し
 第3節 革新型(コンテナ船等)の港湾運送体系と貨物の受渡し
  1 革新運送の体系
  2 革新荷役形態のいろいろ
  3 コンテナ船貨物の受渡形態
 第4節 港湾運送荷役業務の請負体制:元請と下請の法的意義

第3章 港湾運送事業法と港湾運送の変遷  第1節 港湾運送事業法の制定
  1 戦時下(第二次世界大戦)の港湾運送事業
  2 港湾運送事業法の制定
  3 事業法の内容
 第2節 港運秩序の混乱と港湾運送事業面免許制の確立
  1 港運秩序の混乱
  2 事業免許性の確立
  3 事業法改正の要点
 第3節 異常船混みと事業の集約,近代化
  1 異常船混みと3・3答申
  2 事業法の改正と行政指導
 第4節 革新荷役の進展に伴う行政管理庁勧告と事業法の改正
  1 行政管理庁勧告
  2 事業法(含省令)の改正
 第5節 規制緩和と港湾運送事業法の改正(免許制から許可制へ)
  1 コンテナ化の進展と事前協議制度の確立
  2 規制緩和時代の到来
  3 港湾運送事業法の改正
  4 平成17年の港湾運送事業法の改正

第4章 港湾運送事業法と事業の概要  第1節 港湾運送事業法の要点
  1 事業法の範疇と事業の種類(第2~3条,第22条の2)
  2 事業の許可及び届出等(第4~6条,第22条の2)
  3 運賃及び料金(第9~10条,第12条,第22条の2,第22条の4)
  4 港湾運送約款(第11~12条)
  5 名義利用の禁止等(第14~15条)
  6 下請の制限(第16条)
  7 複数人等の禁止行為(第16条の2)
  8 港湾運送事業財団の設定,組成(第23~28条)
  9 報告徴収等(第33条)
 第2節 一般港湾運送事業
  1 船社元請:船社元請ステベ(ランディング/シッピング・エゼント)―港湾運送の中核
  2 荷主元請:一貫元請ステベまたは海運貨物取扱業者(乙仲)
 第3節 港湾荷役事業等荷役・運送専業業種
  1 港湾荷役事業(船内荷役)(Stevedoring)
  2 港湾荷役事業(沿岸荷役)(Longshoring)
  3 はしけ運送事業(Lightering)
  4 いかだ運送事業(Refting)
 第4節 検数,検量,鑑定事業
  1 検数事業(TallyingまたはChecking)
  2 検定事業(鑑定(Surveying),検量(Measuring,Weighing事業)
 第5節 港湾運送関連事業(Releated Jobs to Harbour Transportation Business)
  1 船舶整備事業(Cargo Securing,Hold Cleaning,Coopering)
  2 船舶警備事業(ワッチマン業務:Watchman Service)

第5章 港湾運送料金  第1節 港湾運送料金のあらまし
 第2節 港湾運送料金の種類と内容
  1 在来荷役料金(許可制の下での一般料金)
  2 革新荷役料金(許可制の下での特殊料金)
 第3節 港湾福利分担金等特別拠出金

第6章 港湾運送事業者の法的地位と事故対策  第1節 一般港湾運送事業者(元請)の法的地位
 第2節 一般港湾運送契約と港湾運送約款(港湾運送の特異性)
 第3節 事故対策
 第4節 第三者損害賠償責任保険(ステべ保険)

第3編 港湾労働の現状と課題
第1章 港湾労働の歴史的特異性
 第1節 労働集約型産業―重要性増す港湾労働問題
 第2節 港湾運送需要の波動性の変容
 第3節 事業者の規模が小さく数が多い
 第4節 港湾労働災害の現状

第2章 港湾労働の現状  第1節 常用労働者数
 第2節 港湾労働者の年齢構成と勤続年数
 第3節 定年制度と退職金制度
 第4節 月間労働時間と所定外労働時間
 第5節 交代制勤務
 第6節 年間休日数と週休2日制度
 第7節 教育訓練制度

第3章 港湾労働法の概要  第1節 港湾労働法の目的
 第2節 港湾労働法の用語定義
 第3節 港湾雇用安定等計画
 第4節 港湾労働者の雇用の届出
 第5節 日雇労働者の雇用
 第6節 港湾労働者派遣事業
 第7節 港湾労働者雇用安定センター

第4章 港湾労働における職業訓練の概要  第1節 港湾技能研修センターによる職業訓練
 第2節 港湾職業能力開発短期大学校

付録  付録1 入出港届
 付録2 岸壁,けい船浮標使用願
 付録3 Shipping Order
 付録4 Mate’s Receipt
 付録5 標準船荷証券((一社)日本海運集会所発行)
 付録6 Delivery Order
 付録7 Cargo Boat Note
 付録8 Tally Sheet
 付録9 Equipment Receipt
 付録10 Dock Receipt
 付録11 Container Load Plan
 付録12 コンテナ貨物搬入票
 付録13-1,2,3港湾運送事業許可基準
 付録14-1 港湾運送料金体系図
 付録14-2 港湾荷役料金構成一覧表
 付録14‐3 港湾荷役料金表(モデル)
 付録14-4 原価計算総括表
 付録14‐5(A)在来荷役に係る各種拠出金の額
 付録14‐5(B)革新荷役に係る各種拠出金の拠出単価及び単価算出方法
 付録14‐6 料金変更命令のフロー
 付録14-7 緊急監査のフロー
 付録15 港湾労働者の雇用と生活保障制度に関する協定書
 付録16 港湾労働者の雇用と生活保障制度に関する協定書実施細目確認書
 付録17 港湾労働組合組織
 付録18 外貿埠頭公団のコンテナ・ターミナル運営に関する確認書
 付録19 港湾運送事業法
 付録20 港湾運送約款例
 付録21 国際海上物品運送法(抄)


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カテゴリー:海運・港湾 
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