新 百万人の天気教室(2訂版)


978-4-425-51353-6
著者名:白木正規 著
ISBN:978-4-425-51353-6
発行年月日:2022/5/28
サイズ/頁数:A5判 312頁
在庫状況:在庫有り
価格¥3,630円(税込)
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「天気」とはどういったものなのか、「気象予報」とはどのようなものか、
その基本をわかりやすく説明。数式をなるべく使わないように解説しているので、
特に初学者の方にオススメです。
これ1冊で天気の基礎がよくわかる!
天気が判断できる!

3部構成で気象のABCを段階的に解説。複雑な天気現象を基礎から応用までわかりやすく解説しています。

気象を学ぶための入門書として、わかりやすいと評価されて、長年にわたって版を重ねてきた本の新版。旧版と比較すると、基本的な目次構成は同じであるが内容は一新されています。
解説に数式をほとんど使わないというのが本書の特徴であり、基礎的な気象要素に関する説明には数式を用いています。数式はできるだけ本文中ではなく脚注やコラムにまとめ、この部分は飛ばして読んでもいいような配慮しています。
本書をひととおり読めば、天気の基礎が理解でき、かなり天気の判断ができるようになります。気象予報士試験を目指すなら、熟読すれば合格ラインの知識が得られます。天気のことを勉強する人に、最初に読む本としておすすめしたい1冊です。



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【2訂版の発行にあたって】

初版の前書にあたる「百万人の天気教室」を新たに書き直した「新百万人の天気教室」はその後,気象庁の業務の変更部分を訂正し,2019年に「改訂版」として発行した。その後も天気現象の研究や予報技術の改善により,最近の気象庁の業務内容と発表情報には著しい発展が見られる。読者には最新の内容に改訂した本書を読んでいただきたく,2 訂版を発行する運びとなった。全体については,これまでよりさらに分かり易い表記・表現に修正し,気象庁の業務に関しては,主として観測業務全般,数値予報全般,気象情報と防災情報の作成・発表に関する主要な部分を改訂した。
本書を引き続き多くの方々に読んでいただき,天気知識の理解を深めることや気象予報士試験の準備に役立つことを心より願ってやまない。

2022年4月
著者しるす

【はじめに】

社会や人々の生活は、天気に大きく左右されている。特に、激しい天気現象が発生したときには、人々の生命にかかわることも多い。最近は、テレビや新聞、インターネット、携帯電話などの天気情報が充実し、私たちの生活に密着し、天気は身近なものとなってきた。しかしながら、天気現象は複雑で、とらえにくい面がある。それは、天気が気圧、風、気温、雲などのさまざまな要素で表され、これらの要素が互いにからみあっているためである。それでも天気の要素の性質から初めて、天気を構成する現象のしくみへと、順序立てて勉強すれば、思いのほか天気は理解しやすいものである。この本は、天気に関心のある一般の人々や、気象予報士という国家資格を得ようとしている人々を対象に、天気の判断に役立つ知識を、基礎から応用へと、読みやすく、わかりやすく解説している。
 この本をひととおり読んでいただければ、天気の基礎が理解できるとともに、かなり天気の判断ができるようになると思う。紙面が限られているので、十分に解説できなかったことがらも多いが、これまで天気について勉強する機会がなかった人が、最初に読み始める本として、わかりやすい説明に心がけた。
 前書「百万人の天気教室」も、このような目的で多くの入門者に読んでいただき、わかりやすい本と多くのご意見をお寄せいただいた。気象学の進歩や技術の向上によって、気象業務が大幅に変化した部分を新たに書き改め、前書で説明が不十分とのご指摘があった部分を追加して、ここに「新 百万人の天気教室」を発刊することにした。気象予報士試験に挑戦される方には、試験の出題範囲のすべてにわたって解説してはいないが、この本を熟読すれば、合格ラインの知識が得られると思う。また、本書の知識が土台となって、もう一段レベルの高い参考書が容易に読み進められ、効率的な学習ができるものと確信している。次の段階として巻末にあげた参考書の中から自分にあうものを選んで、さらに深く勉強されることをおすすめする。
 この本は前書と同じく、数式はなるべく用いないで解説することを基本としているが、数式として理解することが大事な項目については、あえて数式を示し、本書のレベルを超える数式については結果のみを示して、式の意味を説明した。
 この本は内容は、前書「百万人の天気教室」と同じく大きく3部に分けてあるが、いずれもわかりやすさは保ちつつ内容を充実した。第1部では、天気を理解するうえで、最小限に必要な天気の要素の性質について、観測を含めて解説する。第1部は、第2部を読むうえの基礎である。第2部では、天気を構成する前線や低気圧など、いろいろな現象の発生のしくみ、構造、天気との関係について述べる。これらは、天気図を用いたり、予報を聞いたりして、天気を判断するときの基礎知識である。第3部では、天気図とその見方を述べ、気象庁から発表される予報や警報のあらましについて述べる。主に天気の判断に必要な材料についてであり、実際に天気の判断に必要な知識は第1部や第2部で述べている。第3部を読んでいて、不明なことがらが出てきたときには、索引を活用し、前に戻ってそのことがらを確認し、知識を確かなものにしてほしい。

【目次】

第1部 天気の要素
第1章 大気圏の構造
 1.1 大気の成分
 1.2 大気成分の地球史的変化
 1.3 大気圏の温度分布
 1.4 オゾン層
 1.5 気圧と密度

第2章 気圧と風  2.1 静力学の式
 2.2 層厚
  [コラム1] 自然対数関数と微分・積分
 2.3 気圧の海面更正
 2.4 地上天気図
 2.5 上層天気図
 2.6 風向と風速
 2.7 気圧傾度力
 2.8 気圧傾度力の原因
 2.9 コリオリ力
  [コラム2] コリオリ力の大きさ
 2.10 地衡風
 2.11 傾度風と旋衡風
 2.12 温度風
 2.13 水平温度移流
 2.14 地表付近の風
 2.15 ボイス・バロットの法則
 2.16 大気境界層
 2.17 大気の乱流
 2.18 風の回転と渦度
 2.19 絶対渦度と保存則
 2.20 上昇・下降流と収束・発散

第3章 放射と熱  3.1 放射
 3.2 放射の物理法則
 3.3 太陽放射
 3.4 地表面で受ける太陽放射
 3.5 太陽放射の散乱
 3.6 放射の吸収
 3.7 太陽放射の反射
 3.8 有効放射温度
 3.9 地球の放射収支
 3.10 地上気温の日変化
 3.11 温室効果
  [コラム3] 温室効果モデル

第4章 水蒸気と雲  4.1 水と潜熱
 4.2 水蒸気量
 4.3 過飽和と水の表面張力
 4.4 エーロゾルと凝結核
 4.5 雲粒と氷晶
 4.6 熱力学の式と断熱変化
  [コラム4] 仕事とエネルギー
 4.7 乾燥断熱減率と温位
 4.8 湿潤断熱減率と相当温位
 4.9 大気の浮力
 4.10 大気の安定・不安定
 4.11 対流
 4.12 積雲対流
 4.13 エマグラムと安定指数
 4.14 雲の分類
 4.15 霧
 4.16 雨滴の大きさ
 4.17 水滴の落下速度
 4.18 暖かい雨
 4.19 冷たい雨
 4.20 雲や雨による光学現象

第5章 気象観測  5.1 地上気象観測
 5.2 気圧の観測
 5.3 風の観測
 5.4 ビューフォート風力階級
 5.5 日射の観測
 5.6 気温の観測
 5.7 温度計の目盛り
 5.8 湿度の観測
 5.9 雲の観測
 5.10 視程の観測
 5.11 降水の観測
 5.12 雷の観測
 5.13 天気の観測
 5.14 海上の気象観測
 5.15 自動観測システム
 5.16 気象レーダー観測
 5.17 解析雨量図
 5.18 気象ドップラーレーダー観測
 5.19 上層気象観測
 5.20 ウィンドプロファイラ観測
 5.21 航空機観測
 5.22 気象衛星観測

第2部 天気の構成
第6章 大気大循環
 6.1 大気現象のスケール
 6.2 大気大循環
 6.3 大気大循環の地上風
 6.4 大循環が生じる原因
 6.5 大気子午面循環
 6.6 子午面内の熱輸送
 6.7 子午面内の水蒸気輸送と潜熱輸送
 6.8 海陸分布の影響
 6.9 ジェット気流の蛇行
 6.10 亜熱帯ジェット気流の成因
  [コラム5] 角運動量と角運動量保存則

第7章 気団と前線  7.1 気団
 7.2 日本付近の気団
 7.3 前線
 7.4 運動から見た前線

第8章 温帯低気圧  8.1 低気圧
 8.2 温帯低気圧の発生
 8.3 温帯低気圧の構造
 8.4 温帯低気圧の閉塞
 8.5 気象衛星から見た温帯低気圧の雲
 8.6 偏西風波動と温帯低気圧の関係
 8.7 傾圧不安定波
 8.8 温帯低気圧の経路
 8.9 切離低気圧
 8.10 寒気内小低気圧
 8.11 熱的低気圧と地形性低気圧

第9章 高気圧  9.1 高気圧
 9.2 温暖高気圧
 9.3 寒冷高気圧
 9.4 移動性高気圧
 9.5 ブロッキング高気圧

第10章 台風  10.1 熱帯低気圧の分類
 10.2 熱帯低気圧の発生条件
 10.3 熱帯低気圧の発生のしくみ
 10.4 台風の構造
 10.5 台風の発達と衰弱
 10.6 台風の経路

第11章 局地気象  11.1 局地気象と局地風
 11.2 海陸風
 11.3 山谷風
 11.4 フェーン
 11.5 ボラ
 11.6 山岳波
 11.7 ヒートアイランド現象

第12章 雷雨  12.1 積雲対流と上昇流
 12.2 積乱雲の構造
 12.3 ダウンバーストとガストフロント
 12.4 雷の発生
 12.5 巨大細胞型雷雨
 12.6 多細胞型雷雨
 12.7 中規模対流系
 12.8 竜巻

第3部 天気の判断
第13章 天気図
 13.1 天気図の放送
 13.2 国際気象通報式
 13.3 ラジオ気象通報
 13.4 天気図の見かた
 13.5 ファクシミリ天気図
 13.6 予想天気図
 13.7 アンサンブル数値予報
 13.8 天気予報ガイダンス

第14章 四季の天気図  14.1 気圧配置型
 14.2 西高東低型(冬型)
 14.3 南岸低気圧型
 14.4 日本海低気圧型
 14.5 二つ玉低気圧型
 14.6 移動性高気圧型
 14.7 帯状高気圧型
 14.8 梅雨型
 14.9 南高北低型(夏型)
 14.10 台風型
 14.11 北高型(北東気流型)

第15章 予報・警報  15.1 天気予報の種類
 15.2 短期予報
 15.3 天気分布予報と地域時系列予報
 15.4 週間天気予報と2 週間気温予報
 15.5 季節予報
  [コラム6] コスト/ロス・モデル
 15.6 警報・注意報
 15.7 気象情報
 15.8 降水短時間予報と降水ナウキャスト
 15.9 防災気象情報と警戒レベル
 15.10 海上予報・警報
 15.11 観天望気と気象観測による天気判断



この書籍の解説

夏の気象予報士試験の申し込みが始まりました。合格率が5%程度という非常に難しい試験ですが、初めて受験しようという方、数度目のチャレンジの方、テキストはどのようなものをお使いでしょうか。
気象は地球環境とともに急速に移り変わり、短期的な変化と長期的な変化が重なり合って現れるものです。気象予報士やスーパーコンピュータでも、長期予測は難しい面もあります。試験についても、いわゆる「試験向け対策」では、とても太刀打ちできるものではありません。「気象とはどんなものか」という基礎の基礎からしっかり理解してこそ、合格が見えてきます。
今回ご紹介する『新 百万人の天気教室(2訂版)』は、当社のおすすめするロングセラーです。試験対策テキストとしてはもちろん、気象の基礎を学ぼうという初学者の方にも最適です。
最初に大気、気圧、熱、水蒸気等の天気の理解に必要な要素を知り、続いて大気循環、前線、温帯低気圧等の気象現象の発生原理と構造を解説します。基礎を作り上げてから、いよいよ天気予報の技術を学びます。この本を傍らに多くの天気図を書き、読みこなし、カンを磨いていきましょう。
天気予報の技術を身につければ、日々の空も違って見えてきます。本書を入口として、読者の皆さまの試験合格の道と「空を見る目」が開かれましたら幸いです。

この記事の著者

スタッフM:読書が好きなことはもちろん、読んだ本を要約することも趣味の一つ。趣味が講じて、コラムの担当に。

『新 百万人の天気教室(2訂版)』はこんな方におすすめ!

  • 気象予報士受験を考えている方
  • 気象を学ぼうと考えている方
  • 天気予報に興味のある方

『新 百万人の天気教室(2訂版)』から抜粋して3つご紹介

『新 百万人の天気教室』からいくつか抜粋してご紹介します。本書は基礎知識編→個別の気象現象の発生原理の理解→予報技術を磨く実践編といった進行で作られており、入門者の教科書として最適です。気象予報士試験対策テキストしてだけでなく、初学者の一冊目の本としてもお使いください。

気象観測

気象観測は、たえず変化する大気の状態を知るために、各種の気象要素を測定することです。気象現象の発生の仕組みや構造は、過去の多くの観測結果からわかったものです。天気予報にも、第一に大気の現在の状況を表す観測データが必要です。
気象観測は、現場測定と、電波などにより大気要素を観測する遠隔測定に分けられます。

《地上気象観測》 地上気象観測では、地表面付近の気圧、風向・風速、気温、湿度、雲などの要素を観測し、通報します。通報されたデータは天気図に記入され、天気予報に利用されます。世界気象機関が中心となって、観測方法を国際的に統一しています。
観測時刻は協定世界時を用います。協定世界時の0時を基準とする6時間または3時間おきの観測は、定時観測と呼ばれています。この結果は国際的に交換され、広域の天気図を描くための基礎資料となっています。

世界には約5300か所の地上気象観測所があります。日本国内では約60か所の気象台と、多くの無人気象観測点で地上観測が行われています。海上については気象観測船や各種の調査船のほか、一般の商船や漁船を含む約500の船舶、海洋気象ブイロボットによる約1100の観測地点があります。
これらの観測地点で、気圧、風、日射、気温、湿度、雲、視程、降水、雷等の観測を行っています。

《上層気象観測》 気象現象は高度10km付近までの立体的な構造を持つものが多いため、気象現象の動きを予測するには、地上から上空までの大気の状態を知ることが不可欠です。上層の大気の状態は、測定器を吊るした気球を飛ばして観測します。測定器はラジオゾンデと呼ばれ、センサーと小型無線発振器と電池がセットになったものです。気球が上昇中にセンサーで測定した結果が、地上に電波で送られます。

また、気球の位置の変化から各高度の風向と風速を計測します。パラボラアンテナを用いる方法(レーウィンゾンデ観測)とGPSを用いる方法(GPSゾンデ観測)があります。世界の約700か所の観測所で、協定世界時の0時と12時の1日2回ゾンデ観測を行っていますが、海上では観測点が不足しているため、航空機や気象衛星による観測が利用されています。

気球による観測は、下部成層圏の約30kmの高さまでです。これより高い上部成層圏や中間圏の風や気温は、気象ロケットによって観測されていますが、日本では現在行われていません。
そのほか、より密な観測結果が得られるウィンドプロファイラ観測、航空機による観測があります。

この項目の最後は気象衛星観測について紹介されています。「ひまわり」は現在8号が運用中で、9号が今年中に交代で運用開始予定とされています。ひまわり8号、9号はこれまでのものに比べて観測バンド数が大幅に増えたため、「静止地球環境観測衛星」とも呼ばれるそうです。

高気圧

高気圧は周囲よりも気圧が高いところで、閉じた等圧線で囲まれています。高気圧内の風は北半球では時計回りに、等圧線と約30°の角度で中心から外に向かって吹き出しています。この吹き出す風を補うため、高気圧内は下降流になっています。下降流のところでは雲が消えるので、天気がよくなります。
高気圧は、寒冷高気圧と温暖高気圧の二つに分類されます。これとは別に、一定期間に現れる大きな高気圧、移動性の高気圧、局地的な地形性の高気圧に分類することもできます。
高気圧の種類と特徴は以下の通りです。

1.温暖高気圧 高気圧の上空で収束する空気の量が地上で発散する空気の量を上回ると、気圧の高い状態が保たれ、一定期間続く高気圧が生じます。こうしてできる高気圧は、上空で収束した空気が地上に下降してくるときに断熱圧縮されて昇温するので、上空から地表までが暖かくなっています。このため、温暖高気圧と呼ばれます。
日本付近では夏季の太平洋高気圧が該当します。

2.寒冷高気圧 上空に空気の収束がなく、地表付近に特に冷たい空気が溜まり、その重さで高気圧ができる場合があります。地表面の放射冷却などで大気の下層が冷やされてできる高気圧です。下層が寒冷なので、寒冷高気圧と呼びます。
冬のシベリア高気圧は、一定期間続く大きな寒冷高気圧の一つです。

3.移動性高気圧 移動性高気圧は、二つの温帯低気圧の間にあり、低気圧とともに移動していく高気圧です。日本付近を通る移動性高気圧は、シベリア高気圧の南東部がちぎれて移動性になるものが多いので、移動性高気圧は寒冷高気圧の一つです。しかし移動中に下層から暖められ、上空では下降流のため断熱昇温するので、温暖高気圧に変わることが多くなっています。

4.ブロッキング高気圧 切離高気圧は、偏西風波動が発達してできる高気圧です。下層から上層まで周囲より温度が高い温暖高気圧の一つです。切離高気圧ができると、地上の移動性高気圧や温帯低気圧は進行速度が遅くなったり、切離高気圧を避けてその北側や南側を通ったりするようになります。このため切離高気圧は、ブロッキング高気圧とも呼ばれます。
この高気圧は、2週間~1か月近く持続することがあります。

日本付近では、梅雨の時期や秋雨の時期に現れるオホーツク海高気圧がブロッキング高気圧にあたります。オホーツク海高気圧と太平洋高気圧の間に、梅雨前線や秋雨前線が生じるのです。

天気図の放送

天気図を作成するには、世界中で同時に観測した結果を短時間のうちに予報中枢に集める必要があります。世界中の気象台や船舶では、協定世界時の0時から3時間または6時間ごとに地上気象観測を行い、0時と12時に上層気象観測を行っています。

観測結果は各国の中枢に集められ、世界の地域センターに送られます。気象庁予報部は日本の気象予報中枢であり、アジア極東地区の地域センターでもあります。地域センターに集められた世界中のデータは、速やかに各国へ配布されます。

中枢では集めたデータを天気図に記入し、等圧線 または等高線、前線などを描きます。 このような作業を、天気図解析または総観解析といいます。天気図解析の基礎データには、数値予報の6時間予報値が用いられています。

上層天気図については、太平洋など観測点の少ない洋上の上層観測地点の資料だけでは十分な解析ができないため、航空機や気象衛星の観測資料も集めて解析を行います。
中枢では集めた観測データと解析結果を、地方の気象台や船舶・航空などの利用者、民間で気象業務を行う人や一般の利用者にも有線・無線通信で通報しています。

1.気象無線模写通報(模写通報) JMHというコールサインの無線ファクシミリ放送。受信装置を用意すれば誰でも受信できる。東アジア、北西太平洋と周辺地域の各種の天気図類が放送される。

2.気象庁のインターネットホームページ(https://www.jma.go.jp/jma/) 気象・海洋・地震火山などに関する気象庁が作成した情報が掲載されている。ここからJMHで通報されている天気図も得られる。

3.ラジオ気象通報 NHKのラジオ第2放送で放送される。このほか新聞やテレビでは、ラジオ気象通報より限定的で簡単な地上天気図が利用できる。この天気図は、速報天気図と呼ばれる。

4.気象業務支援センターを経由した配信 気象業務支援センターは、国内で気象業務を行う民間気象事業者。報道機関などの利用者向けに、気象庁が提供する気象データの分岐配信を委託されている。気象庁が作成したほとんどのデータがオンライン等で入手できるが、契約と手数料等の支払いが必要。

昔は大きな書店の気象コーナーに行くと、NHKラジオを聴いて天気図を作成するための『ラジオ天気図用紙』が置いてあったものですが、見かけなくなってしまいました。有志が作った用紙データのダウンロードができるところもあるようですから、利用させてもらうとよいかと思います。

『新 百万人の天気教室(2訂版)』内容紹介まとめ

天気の基礎から、個別の気象現象の理解へ進み、その知識を利用して天気予報に挑みます。気象予報士試験対策テキストだけでなく、入門書としても使えるテキストです。

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カテゴリー:気象・海洋 タグ:気象 気象予報士 
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