著者名: | 仁科 武雄 著 |
ISBN: | 978-4-425-51402-1 |
発行年月日: | 2020/12/18 |
サイズ/頁数: | B5判 232頁 |
在庫状況: | 在庫有り |
価格 | ¥3,300円(税込) |
現役パイロットが解説する航空気象。
航空気象はパイロットにとって必須の分野。
最初からつまずかないために、要点を絞ってわかりやすく解説。
気象に関する基礎知識から飛行の現場で使うMETARやTAFなどの学習まで、効率よく学べる一冊。
【改訂にあたって】
本書の初版は2016年に刊行されましたが、この度改訂版の刊行が行われることにまず感謝の意を表したいと思います。改訂版では変更があった箇所の修正や必要と思われる部分の追加等を行いました。主な変更箇所は次のようになります。
・自動観測によるMETAR の通報が行われている空港
・TAF を通報している空港
・管制塔が通報する風
・積乱雲の発達、成熟、衰弱
・雷の種類
・雷雨の種類
ここ数年、ゲリラ豪雨という言葉がよく取り上げられているので、積乱雲、雷、雷雨についての記述を増やしました。気象庁の予報用語ではゲリラ豪雨という言葉は使われず、局地的大雨や集中豪雨といった言葉が使われています。雷雨には、気団性雷雨と巨大雷雨があります。巨大雷雨にはマルチセル型雷雨とスーパーセル型雷雨があり、それらのメカニズムを解説した図も追加しました。
本書にはKindle版(電子書籍)もあるので、お手元のスマートフォンやタブレットに入れていただくことで、手軽に取り出すことが可能になります。さっと書き込みをしながら勉強する場合は、紙の本が便利かと思います。
本書が最大限に活用されて、皆さまの目標が実現されることを切に願っています。
2020年11月
仁科 武雄
【本書の活用方法(巻頭インタビューより)】
気象は幅広く奥深い学問なので、専門書の中には初心者にとって難解と思われるものもあります。そこで、本書は航空気象にスムーズに入っていくために、基本的な内容に焦点を当て、できるだけ分かりやすい表現をするように心掛けました。本書で気象の概要を学べば、さらに高度な内容へもステップアップしやすいと考えています。また、要点を簡潔にまとめているので、フライト準備中に確認したい項目が出てきたとき、疑問点を目次や索引から簡単に調べることもできます。そして、練習問題は知識の定着や学科試験対策に役立つと思います。本書をいつもそばに置いて、知識の定着や疑問点の解消に役立ててほしいと願っています。
・パイロットを目指す人へ
パイロットになるためには、多くのことを学ばなければなりません。すべてを学んでいくためには、やはり毎日のコツコツとした勉強の積み重ねが重要だと思います。また、人間は忘れやすい生き物なので、忘れないようにする工夫も大切になってくることでしょう。また、机上の勉強以外にも、自分を向上させる工夫が必要かもしれません。そのためには、普段からいろいろな活動をしたり、さまざまな場所に行ったり、多くの人に会うようにして自分を刺激し続けてみるといいのではないでしょうか。
【目次】
序章 天気へのいざない
第1章 気象の基礎
1-1 大気
1-1-1 大気の構造
対流圏
対流圏界面
成層圏
オゾン層
中間圏
熱圏
電離層
外気圏
1-1-2 国際標準大気
1-1-3 大気の循環
1-1-4 気団
オホーツク気団
シベリア気団
揚子江気団
小笠原気団
赤道気団
1-1-5 大気の性質に関する関係式
静力学平衡
ボイルの法則
シャルルの法則
ボイル・シャルルの法則
気体の状態方程式
1-2 温度
1-2-1 温度の単位
摂氏温度(℃)と華氏温度(゚F)
絶対温度(K)
1-2-2 空気塊
1-2-3 水平方向の気温変化
1-2-4 垂直方向の気温変化
断熱膨張・断熱圧縮
気温減率
乾燥断熱減率・湿潤断熱減率
フェーン現象
1-2-5 逆転層
接地逆転層
前線性逆転層
沈降性逆転層
1-2-6 温位
コラム 飛行機からの景色
1-2-7 相当温位
1-3 気圧
1-3-1 1気圧とは何か
1-3-2 低気圧
温帯低気圧
寒冷低気圧
切離低気圧
ボイス・バロットの法則
気圧の谷
1-3-3 高気圧
温暖高気圧
寒冷高気圧
移動性高気圧
切離高気圧
気圧の尾根
1-4 雲
1-4-1 雲の分類(10種雲形)
上層雲(巻雲・巻積雲・巻層雲)
中層雲(高積雲・高層雲・乱層雲)
下層雲(層積雲・層雲)
対流雲(積雲・積乱雲)
1-4-2 雲による飛行への影響
揺れ
視界の遮断
着氷
被雷
1-4-3 雲の発生理由を知る
コラム 雲に入ったときの揺れ
1-4-4 状態変化
凝結
凝固
昇華(水蒸気から氷)
融解
蒸発(気化)
昇華(氷から水蒸気)
1-4-5 潜熱
1-4-6 飽和水蒸気量
1-4-7 相対湿度
1-4-8 水蒸気圧
1-4-9 凝結核
1-4-10 対流
1-4-11 上昇気流の原因
低気圧の中心に集まった空気の上昇
前線面での上昇
日射による上昇
上層での空気の発散
上層での寒気移流
風による上昇
1-4-12 霧
放射霧
移流霧
上昇霧
蒸気霧
前線霧
1-4-13 着氷
クリアアイス
ライムアイス
ミックスアイス
フロスト
1-4-14 キャブレターアイシング
1-4-15 雨・雪・雷
1-5 大気の状態
1-5-1 空気密度
1-5-2 大気の安定度
安定・不安定・中立
絶対安定・絶対不安定・条件付不安定
ショワルター安定指数
1-5-3 エマグラム
等飽和混合比
エマグラムの折れ線の意味
雲底高度の求め方
雲頂高度の求め方
積乱雲の発生しやすさを判断する方法
エマグラムで用いられる略語
エマグラムからショワルター安定指数を導く方法
1-6 風
1-6-1風による離着陸制限と対地速度
1-6-2 気圧傾度力
1-6-3 コリオリの力
1-6-4 地衡風と傾度風
1-6-5 地表付近での摩擦の影響
1-6-6 地球規模の風
極偏東風
貿易風
偏西風
ジェット気流
エルニーニョ現象とラニーニャ現象
1-6-7 海陸風
1-6-8 山風と谷風
1-6-9 晴天乱気流
1-6-10 山岳波
1-6-11 ウェークタービュランス(後方乱気流)
コラム 後方乱気流の恐ろしさ
1-6-12 ダウンバースト
1-6-13 ガストフロント
1-6-14 低層ウィンドシア
1-6-15 シアーライン
1-7 前線
温暖前線
寒冷前線
閉塞前線
停滞前線
1-8 竜巻とじん旋風
1-9 台風
台風の構造
台風の強さと大きさ
台風の動き
可航半円と危険半円
練習問題
第2章 天気図
2-1 実況図
2-1-1 ASAS(アジア地上解析図)
SPAS(速報天気図)
2-1-2 日本で見られる気圧配置
西高東低型
日本海低気圧型
南岸低気圧型
二つ玉低気圧型
移動性高気圧型
帯状高気圧型
南高北低型
北高型
梅雨型
2-1-3 AUPQ78(アジア700hPa、850hPa解析図)
2-1-4 AUPQ35(アジア300hPa、500hPa解析図)
2-1-5レーダーエコー合成図
2-1-6衛星画像
可視画像
赤外画像
水蒸気画像
2-2 予想図
2-2-1 FSAS24(アジア地上24時間予想天気図)
2-2-2 FXFE502(極東500 hPa高度・渦度12・24時間予想図、極東地上気圧/
風/降水量12・24時間予想図)
渦度とは何か
2-2-3 FXFE5782(極東500 hPa気温/ 700hPa湿数12・24時間予想図、極東850hPa
気温・風/ 700hPa上昇流12・24時間予想図)
2-2-4 FXJP854(日本850hPa相当温位・風12・24・36・48時間予想図)
2-2-5 FBJP(悪天予想図)
2-2-6 FXJP106(国内航空路予想断面図)
2-2-7 FEFE19(週間アンサンブル予想)
第3章 空港の気象<
3-1 METAR(定時飛行場実況気象)
地点略号
観測日時
風向風速
卓越視程
雲
RMK(国内記事)
現在天気
雲底とシーリング
滑走路視距離(RVR:Runway Visual Range)
鉛直視程
CAVOK
最低扇形別高度
NSC(Nil Significant Cloud)
WS(Wind Sheer)
3-2 自動観測によるMETAR
3-3 SPECI(特別飛行場実況気象)
3-4 TAF(運航用飛行場予報)
予報発表日時
有効期間
BECMG
TEMPO
NSW
3-5 AMD(修正報)・COR(訂正報)
3-6 TREND(着陸用飛行場予報)
3-7 ATIS(Automatic Terminal Information Service)
3-8 飛行場警報
飛行場強風警報
飛行場暴風警報
飛行場台風警報
飛行場大雨警報
飛行場大雪警報
飛行場高潮警報
3-9 飛行場気象情報
練習問題
第4章 飛行の現場
4-1 プリブリーフィング(PRE-BRIEFING)
出発前の確認
航空法第73条の2
航空法施行規則第164条の14
4-2 気象情報の確認
4-2-1 天気図の準備
過去の状況を示した天気図
未来を予測した天気図
4-2-2 METAR・TAFの準備
4-2-3 概況の説明
4-2-4 出発空港の説明
TAFでのポイント? 風向と風速
TAFでのポイント? 視程と雲の状況
(空港の気象状態がVMCとはどういう意味か、
空港の気象状態がIMCとはどういう意味か、VFRとは何か、
IFRとは何か、スペシャルVFRとは何か、管制圏とは何か、
情報圏とは何か)
TAFでのポイント? 天気現象
4-2-5 飛行経路上の天候の説明
飛行中のVMC
気流や大気の状態
4-2-6 目的地空港の説明
TAFでのポイント? 風向と風速
TAFでのポイント? 視程と雲の状況
TAFでのポイント? 天気現象
4-2-7 代替空港の説明
4-2-8 まとめ
4-3 実際の運航
4-3-1 外部点検〜地上走行前
巡航高度変更の検討
QNH
4-3-2 地上走行(タクシー)
コラム パイロット泣かせのタクシーウェイ
4-3-3 離陸〜上昇
4-3-4 巡航
QNE
雲の回避
着氷域と乱気流域の回避
目的地空港の気象状況の確認
4-3-5 降下〜着陸
コラム 納得できる着陸を求めて
第5章 パイロットの世界と資格
5-1 パイロットの世界
エアライン
ジェネラルアビエーション
官公庁(パイロット)
5-2 パイロットに必要な資格
定期運送用操縦士
事業用操縦士
自家用操縦士
准定期運送用操縦士
限定事項
特定操縦技能審査
計器飛行証明
操縦教育証明
航空身体検査証明
航空無線通信士・航空特殊無線技士
航空英語能力証明
5-3 パイロットとして必要なライセンスの具体例
コラム ライセンスなしで飛行機を操縦する方法
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