抗癌作用、肌の美白・抗肥満効果等がある有用物質を作る微生物が海に残っている。そのヒントを詰め込んだ本書を読んでいざ宝探しへ!
◆目次◆
1. 海洋のサンプリング
沿岸のサンプリング/外洋のサンプリング/採水器/採泥器
2. 海洋微生物の分離と培養
海洋細菌と海洋放線菌の分離培地/船上での微生物の分離操作/海洋微生物のコロニー
3. 海洋微生物の特徴
低温微生物/好塩微生物/海水濃度と酵素の生産/海水中に存在する主な元素の組成/耐圧、好圧微生物
4. 海洋細菌を用いた応用研究
海洋細菌の生産する抗菌物質/海洋細菌の生産する酵素を用いた魚醤油の作製/海洋細菌の生産するプロテアーゼインヒビター/海洋細菌の生産するキチナーゼインヒビター/海洋細菌の生産する抗癌物質ビスカベリン/海洋環境から分離した細菌の生産する新規種子発芽阻害物質Bacilosarcin A/海洋細菌からのEDTA分解菌の探索と環境浄化
5. 海洋放線菌を用いた応用研究
放線菌ってどんな微生物?放線菌の特性/海洋放線菌の生産するアミラーゼインヒビター/海洋放線菌の利用
6. 海洋糸状菌を用いた応用研究
海洋糸状菌ってどんな微生物?/海洋糸状菌の生産する抗生物質/海洋糸状菌の生産するチロシナーゼインヒビター
収録コラム
海洋深層水についての豆知識/海底堆積物からの放線菌の選択分離/アルビン号の沈没事故からわかったこと/ストレプトマイシンの抗菌活性/培養の方法/美白剤/化粧品と医薬部外品(薬用化粧品)
【著者からの言葉】
微生物の中には結核菌、破傷風菌のような病原菌が存在することや黴菌(バイキン)という言葉から不潔、危険、病気になるという悪いイメージをお持ちの方も多いのではないでしょうか?
しかし、そのような「悪者」は全体の1%にも満たず、残りの99%以上は全く人間活動に無関係かむしろ欠かすことのできない、「正義の味方」です。これらの微生物のお陰で私たちはお酒、味噌および醤油や抗生物質を生産できるため、体の大きさに似合わない「小さな巨人」であることを忘れないでください。
本書で紹介したように海洋微生物の研究は、サンプルを採るために簡単に外洋や深海に行けないため、陸上微生物に比べるとはるかに立ち遅れています。しかし、地球全表面積の約7割を占める広大な海は、鉛直的にも大きな広がりを持ち、有用微生物の宝庫です。
先人の名言に「微生物は期待を裏切らない!」「新しいことをやるには微生物から始めよ!」というものがありますが、筆者はこれらの言葉を信じて今後も海洋の各所から様々な有用微生物の宝探しを続けて行きたいと考えています。
本書をお読みにいただいた方の中で一人でも多くの方に、海に棲む微生物の大きな能力に興味を持っていただければ幸甚です。ぜひとも私たちと一緒に宝探しに出かけましょう。
◆担当編集者のことば◆
この本を担当するまで、こんなにも可能性のある分野が海に残っているとは知りませんでした。
肌の美白・抗肥満効果、抗癌作用などへの応用研究といった私たちの生活に役立つ物質を生み出す微生物が、海の底にはまだまだ眠っているのです。
抗肥満薬なんて、最近お腹周りが気になっている私にとっては夢の薬です。ぜひとも早く市販されて欲しいものです。
宝探しをライフワークにできる職業なんて、そんなに数多くあるわけではありません。しかも、それが多くの人から感謝されるのです。
本書が、その宝の地図や宝箱を開ける鍵になるかも知れません。ぜひともご一読を!
第一編集チーム
内藤孝治
◆こちらも併せてどうぞ◆
ベルソーブックス031 海洋微生物と共生