内航海運概論


978-4-425-31351-8
著者名:畑本郁彦・古莊雅生 共著
ISBN:978-4-425-31351-8
発行年月日:2021/1/28
サイズ/頁数:A5判 272頁
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国内貨物輸送活動量の4割以上を占める重要な輸送手段「内航海運」。その一方で、船員の高齢化や内航船の老朽化、内航海運業の特殊な業界構造など多くの課題を抱えている。本書は、内航海運業の概要、現状、仕組み、課題と展望、今後の方策まで、実務経験豊富な著者が自身の経験と多くのデータを元に詳しくわかりやすく解説した入門書です。

【はしがき】 一般に「ないこうかいうん」と聞いて思い浮かぶのは、どんな漢字であろうか。「ないこう」とパソコンに入力すれば、上位には「内向」という漢字が出てくるだろう。また、「かいうん」と入力すれば、「開運」がでてくるのであろう。このように「内航海運(ないこうかいうん)」とは、日常的にほぼ変換する機会のない、聞き慣れない言葉なのである。それを一発で変換できるのは、海事関係者ぐらいであろう。そして、その「かいじ」ですら、イメージできる人は多くないであろう。
私の父は、伯父が船主であり船長であった小さな内航船(総トン数199トンクラス)の機関長だった。幼いころはよくその船に泊りに行っていたが、大人になるにつれ、その機会も減っていった。父はほとんど家に帰ることもなく、その仕事内容も分からなかった。ただ、父が「船乗り」である、という認識しかなく、それが「内航海運」という業種であるということを知るのは、まだ先のことである。
中学を卒業後、商船高等専門学校へ進学した。その理由は、船乗りになるためではなく、短大卒の学歴がつくことと、就職に有利であるというこの2 点であった。船の推進力を担う機関科を選択し、卒業後は結局外航海運の船員となった。しかし、このときもまだ「内航海運」が何かを知らなかった。
その後、船員を一旦辞めたのちに、内航海運の業務に携わる機会があり、2012(平成24)年からは神戸大学大学院にて内航船の安全管理体制構築に関する研究を進めた。また、同時に内航船員として再び船での経験も積むことができた。そこで得た内航海運に関するさまざまな情報や経験は、幼かった私が知り得なかった内航海運の実情や課題を浮き彫りにした。
本書は、神戸大学大学院 古莊雅生教授指導のもと完成させた博士学位論文
『内航船の安全管理体制構築に関する研究』を書籍化したものである。書籍化に当たり、できる限り内航海運全体について理解できるよう多くの写真や図を加え、大幅な加筆・手直しを行った。また、新型コロナウイルスの影響により出版時期が遅れたため、今年9 月及び10 月に取りまとめられた船員の働き方改革等や今後の内航海運の方向性についても内容に加えることとなった。
本書が、内航海運を理解するための参考書となれば幸いである。

2021年1月
筆者代表 畑本郁彦

【目次】
第1章 内航海運とは
 1.1 内航海運は国内海上貨物輸送
 1.2 内航海運の分類
 1.3 内航海運の役割
 1.4 内航船の大きさ
 1.5 内航海運に使用される内航船
 1.6 内航船が運ぶ貨物の種類
 1.7 環境にやさしい内航海運
 1.8 経済性・効率性の高い内航海運
 1.9 内航海運を担う内航船員
 1.10 内航船員になるには

第2章 内航海運のしくみ  2.1 内航運送の主要業務
 2.2 内航運送に関係する事業者
 2.3 内航運送の流れ
 2.4 内航海運業界の構造
 2.5 内航海運業者の組合組織
 2.6 荷主業界の状況
 2.7 内航海運に関係する法律

第3章 内航海運の抱える課題  3.1 内航船員の高齢化と不足
 3.2 内航船の老朽化
 3.3 船舶事故と船員災害
 3.4 事業者の零細性
 3.5 内航海運業の産業構造と経営状況

第4章 内航政策と事業者の活動  4.1 国内輸送保護政策(カボタージュ)
 4.2 船腹調整・参入規制とその解消に向けた政策
 4.3 船舶の安全運航に関する制度
 4.4 船員育成に関する内航海運業者たちの取り組み
 4.5 船舶管理会社活用政策

第5章 内航未来創造プラン  5.1 内航未来創造プランの概要
 5.2 内航未来創造プランの進捗状況
 5.3 内航未来創造プランの具体的進捗状況

第6章 内航海運の安定的輸送に向けた新たな針路  6.1 内航船員の働き方改革
 6.2 船員の健康確保
 6.3 今後の内航海運のあり方

第7章 まとめと今後の課題  7.1 内航海運の現状
 7.2 内航海運の課題
 7.3 内航海運の課題解決のために行われてきた政策
 7.4 内航未来創造プラン
 7.5 内航海運の安定的輸送に向けた新たな針路
 7.6 今後の課題
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