傭船契約の実務的解説 2訂版


978-4-425-31104-0
著者名:谷本裕範・宮脇亮次 共著
ISBN:978-4-425-31104-0
発行年月日:2018/1/18
サイズ/頁数:A5判 374頁
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傭船契約から船を雇い入れる契約(他人の所有船を一定の取り決め、条件の下使うこと)→裸傭船、定期傭船、航海傭船これらについてのポイントを民法・商法の典拠を明らかにし、様々な契約書式(海運集会所フォーム、ボルチック国際海運協議会書式のBARECON、BALTIME、NYPEを用いて、国内外の契約に関する争議の判例も挙げながら実務上の注意点を解説。

平成30年に公布が期待されている「商法及び国際海上物品運送法」の改正法案を見据えての解説を加えた「2訂版」。
実務で使われている契約書式(海運集会所フォーム、BARECON、BALTIME、NYPEなど)をサンプルとして多数収録。それらの契約書式条文に基づいて逐条的に解説。
「国際海上物品運送法の改正予定法律案を改正箇所を明らかにして、改正条文案を巻末資料として収録。

【「2訂版」に寄せて】
谷本裕範
海商関連業務を律する商法は明治32年(1899年)に制定され,今日まで実質的には改正されることなく,その内容は現代にはそぐわないと言われてきた。
このような状況を踏まえ法制審議会商法部会の「法制審議会商法(運送・海商関係)部会」が平成24年6月から審議に入り,運送業界,荷主,労働団体,保険業界,弁護士会,裁判所,大学教授など運送に関わる方々による熱心な議論が部会18回,分科会7回に及び,中間試案には広く意見募集の手続きもとられ,平成28年1月の同部会に於いて「商法(運送・海商関係)等の改正に関する要綱案」を全会一致で決定し,同年2月12日の法制審議会総会第176回会議において原案通り,全会一致で決定され,同日法務大臣に答申された。
その後,平成28年10月18日,「商法及び国際海上物品運送法の一部を改正する法律案」として閣議決定し,国会に提出され、平成29年秋には国会承認を得るものと期待されていたが,唐突な国会解散で見送られ改正法案は,若干の修正を経て,平成30年には公布の運びになるものと期待されている。
ところで,本書「新版」は昨年には完売され,出版社からの要請により,「改訂版」を出すこととなり,上記の改正法案を現行商法と対比させ,適用する民法は本年6月2日公布のものを引用して今回「2訂版」を執筆した。
なお,これを機会に書名を「傭船契約の実務的解説(2訂版)」とした。今まで書名の冒頭に「新・」と付していたのは,故大木一男氏が昭和51年に出版された前著の改訂と言う意味合いであったが,共著者宮脇氏の第4 章「航海傭船」が当初から実務に重きを置き,独創的にまとめられていることもあり,私も前著との関連を意識せずに執筆していることにも拠るわけである。
読者には説明不足とか,分かりにくいと思われる点などがあろうかと思いますが,率直なご批判を頂ければ幸いです。

宮脇亮次 本著「新・傭船契約の実務的解説」を2008年4月に出版して, 9年半が過ぎ,この度,商法及び国際海上物品運送法の一部の改正がされる機会に呼応して,改訂版を発行する運びになりました。その間,海運業は例のない好況から一転,長く続く低迷期に陥りましたが,勇気と使命感を持って,難局に対峙し,船舶の運営・運航に携わっています。この間の国際海運でのトッピックスとしては,ソマリア,アデン湾での海賊の跋扈,国際大手ケミカルタンカー船主らによる欧州・米国での独禁法違反事件,そして英国最高裁までの争いとなった鹿島港での座礁・全損事故に関わる傭船者安全港担保の問題がありました。また,個人的には師として敬愛していました忽那弁護士と中村早稲田大学名誉教授が昨年,今年と相次いで亡くなられたことは,つらい,悲しい出来事でした。
本書改訂版の内容については,商法及び国際海上物品運送法の改正関連事項については,必要な解説をし,またトッピックスについては,主として法的側面より解説しました。国際大手ケミカルタンカー船主らによる欧州・米国での独禁法違反事件については,個人的な担当者として日本船社の防御に奔走し,また,鹿島港での座礁・全損事故に関わる傭船者安全港担保問題については,身近に担当者がおり,その苦労を身に沁みて感ずることができました。1968年にジャパンラインに入社して以来,営業・法務保険は言うに及ばず,海運業のあらゆる業種(曳船,仲介人,船舶売買,船舶管理等)を経験しつつ,一貫して海運業に携わり,身を置いてきたことは,つらい,苦しいことの連続であった筈ですが,不思議なことに,苦しい思い出は忘却され,むしろ懐かしさを覚える次第です。
平成30年1月

【目次】
第1章 序説
 第1節 傭船の意義
 第2節 海運業における傭船
  1.傭船の発生
  2.傭船の目的
  3.傭船の形式別分類
  4.傭船類似の契約
  5.傭船活動を助ける標準契約書式
 第3節 海運市況と傭船料
  1.傭船料の構成費目
  2.傭船形式と傭船料
  3.傭船料とハイヤー・ベース及びチャーター・ベース
  4.海上運送の定義を「船による運送」とする
 第4節 傭船契約の成立

第2章 裸傭船(船舶賃貸借)  第1節 賃貸借の理論
  1.貸借の解釈
  2.賃貸借の特徴
  3.当事者の権利義務
 第2節 船舶賃貸借の実態
  1.船舶賃貸借と標準書式化
  2.英文書式としてBARECON を採択
 第3節 標準書式の構成
  1.集会所フォームの構成
  2.BARECON の構成
 第4節 船舶を特定する船舶明細記入事項
  1.第1 条:船舶の明細
  2.集会所フォームの船舶明細記入事項
   折込資料「船舶満載喫水線用帯域図」
  3.BARECON の船舶明細記入事項
 第5節 本船引渡し、返船に係る取決め
  1.引渡し、返船に関する約定
  2.BARECON の新造船に係る取扱等
  3.引渡し時の堪航能力担保義務と契約終了時の原状での返船義務
 第6節 本船設備等の改造と修繕
  1.本船設備等の改造
  2.法定検査を含め修繕義務の傭船者への移行
  3.傭船者による付保と保険填補の範囲に拘らない修繕義務
 第7節 傭船者による船員の任免、指揮、監督
  1.集会所フォーム第7 条[船員]
  2.BARECON は第10条(保船及び運航)(b)で船員関連を規定
 第8節 本船就航区域に関する取決め
  1.航行区域と航路定限との関連
  2.BARECON の就航制限規定
 第9節 傭船料は傭船期間中、継続して支払われる
  1.傭船料、定額継続支払い
  2.BARECON の傭船料規定
  3.本船滅失、行方不明で契約終了
 資料
  裸傭船契約書(集会所フォーム)
  “BARECON200 1”(本書での略称:BARECON)
 第10節 ハイヤー・パーチャスと裸傭船登記
  1.ハイヤー・パーチャスの普及
  2.買取条件付裸傭船契約条項
  3.裸傭船登記に関する特約(二重国籍排除関連)
 第11節 裸傭船者と船主及び第三者との関係
  1.船舶賃借人(裸傭船者)の第三者に対する権利義務
  2.船主責任制限法の適用
  3.責任限度額の改正
  4.船舶油濁損害賠償保障法
 第12節 商法改正法案による裸傭船
  1.実務に基づき船舶利用規定の充足を図る
  2.船舶先取特権
 第13節 裸傭船とFOC 船との関わり
  1.統計上は裸傭船より定期傭船がはるかに多い
  2.FOC 船化の背景
  3.FOC 船の安全、効率の良い運航が求められる
 第14節 裸傭船における船舶の採算
  1.船費の構成
  2.船舶所有者の負担費目
 第15節 保険依存で成り立つ裸傭船
  1.保険表示(船舶、船費、填補範囲)
  2.保険填補超えは傭船者負担
 第16節 その他の取り決め事項
  1.仲介手数料
  2.仲裁地記入欄
  3.特約条項記入欄
 第17節 若干の考察
  1.裸傭船料は共同海損を分担しない
  2.本契約の準拠法は仲裁地法による
  3.先取特権の禁止と補償約款
  4.英米法上の留置権約款
  5.運送契約約款の必要性
  6.売却、譲渡又は抵当権の設定、再裸傭船の禁止

第3章 定期傭船  第1節 定期傭船の意義
  1.定義の説明
  2.船舶賃貸借との相違点
  3.運送契約との関係
 第2節 定期傭船の実務的意義
  1.定期傭船を行う理由
  2.運送の本質
 第3節 新たな契約類型としての定期傭船契約規定
 第4節 それまでの定期傭船に係る判例の動向
  1.海祥丸大審院判決が平成に入る頃まで主導的役割を果た
  2.判例にみる新しい動き
 第5節 実務界は早くから標準書式を利用
  1.定期傭船に関する標準契約書式
   資料
    定期傭船契約書(集会所定傭フォーム)
    “BALTIME 1939”(折込み)
    “NYPE 93”
  2.実務が法的対処に先行
  3.採算上からみた定期傭船(船舶所有者は運航採算には無関係)
  4.法的解釈に先んずる実務的対処
 第6節 標準書式と契約当事者関係
  1.標準契約書式の構成
  2.定期傭船契約の当事者
  3.再傭船規定の必要性
  4.再傭船と一次傭船者の責任(堪航能力担保義務の内外航格差是正へ)
 第7節 船舶を特定する明細表示
  1.船舶を特定する定期傭船
  2.英国法による条件、担保、中間的条件
  3.船舶明細表示とその効果
 第8節 傭船開始並びに終了と傭船期間
  1.傭船開始準備整頓
  2.安全バース指定規定
  3.最終航海の指令と返船許容日数
 第9節 傭船料、オフハイヤー、支払遅延、積荷留置
  1.傭船料、現金前払い
  2.オフハイヤーの定義と運用
  3.傭船料支払遅延と本船引揚
  4.積荷の留置
 第10節 傭船者による本船の使用と補償
  1.本船使用・補償条項
  2.不満条項
  3.使用事項か航海かの区分けの難しさ
  4.呈示船荷証券への署名と拒否権
 第11節 初の改定版、NYPE2015版について
  1.NYPE93初の改定版としてのNYPE2015
  2.堪航能力担保義務、本船船艙の清掃
  3.減速運航と船底掃除
  4.傭船料の支払遅延による本船引揚又は中断

第4章 航海傭船  第1節 航海傭船(VOYAGE CHARTER)の意義
 第2節 航海傭船(VOYAGE CHARTER)の法規
 第3節 航海傭船契約標準書式
 第4節 GENCON 書式に基づく航海傭船契約の実務解説
  1.PART ? “GENCON” Charter(基本合意)
  2.Owner’s Responsibility Clause(船主責任約款)
  3.Deviation Clause(離路約款)
  4.Payment of Freight(運賃の支払い)
  5.Loading / Discharging(船積み/ 荷揚げ)
  6.Laytime(碇泊期間)
  7.Demurrage(滞船料)
  8.Lien Clause(留置権約款)
  9.Cancelling Clause(キャンセリング・クローズ)
  10.Bills of Lading(船荷証券)
  11.Both-to-Blame Collision Clause(双方過失衝突約款)
  12.General Average and New Jason Clause(共同海損及びニュー・ジェイソン・クローズ)
  13.Taxes and Dues Clause(諸税及び賦課金約款)
  14.Agency(代理店)
  15.Brokerage(仲介手数料)
  16.General Strike Clause(一般ストライキ約款)
  17.War Risks(戦争危険)
  18.General Ice Clause(一般結氷約款)
  19.Law and Arbitration(準拠法と仲裁)
  20.契約(債務)不履行と損害賠償について
  21.傭船契約のフラストレーションについて
  22.時効について
 第5節 ASBATANKVOY 1977書式の解説
  1.PART? WARRANTY-VOYAGE-CARGO(担保―航海―貨油)
  2.FREIGHT(運賃)
  3.DEADFREIGHT(不積運賃)
  4.NAMING LOADING AND DISCHARGING PORTS(船積港及び荷揚港の指定)
  5.LAYDAYS(碇泊期間)
  6.NOTICE OF READINESS(準備整頓通知)
  7.HOURS FOR LOADING AND DISCHARGING(積揚時間)
  8.DEMURRAGE(滞船料)
  9.SAFE BERTHING ?SHIFTING(安全な碇泊―転錨)
  10.PUPING IN AND OUT(ポンプによる船積み及び荷揚げ)
  11.HOSES:MOORING AT SEA TERMINALS(ホース:海上荷役基地での係留)
  12.DUES―TAXES―WHARFRAGE(賦課金―税金―埠頭使用料)
  13.(a).CARGOES EXCLUDED VAPOR PRESSURE(除外貨油・蒸気圧)

(b).FLASH POINT(引火点)
  14.ICE(結氷)
  15.TWO OR MORE PORTS COUNTING AS ONE(複数港を1 港と数える場合)
  16.GENERAL CARGO(雑貨)
  17.(a).QUARANTINE(検疫)
    
(b).FUMIGATION(くん蒸消毒)
  18.CLEANING(清掃)
  19.GENERAL EXCEPTIONS CLAUSE(一般除外条項)
  20.ISSUANCE AND TERMS OF BILL OF LADING(船荷証券の発行及び条件)
  21.LIEN(留置権)
    22.AGENTS(代理店)
  23.BREACH(不履行)
  24.ARBITRATION(仲裁)
  25.SUBLET(再傭船)
  26.OIL POLLUTION CLAUSE(油濁条項)
カテゴリー:海運・港湾 
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