ICカードと自動改札 交通ブックス123


978-4-425-76221-7
著者名:椎橋章夫 著
ISBN:978-4-425-76221-7
発行年月日:2015/3/25
サイズ/頁数:四六判 192頁
在庫状況:在庫有り
価格¥1,980円(税込)
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自動改札機は、誰でも一度は使ったことがあると思います。今ではどこの駅にも設置され、普段何気なく使っていますが、いつ頃開発され、一体どのような仕組みで動いているのでしょう?
自動改札機の種類と構造、自動券売機、多機能化を続けるICカード乗車券のこと、そして未来の姿などを本書で詳しく紹介します。書いたのは、自動改札機を作っている会社の社長さんです。


【まえがき】より

通勤・通学に、鉄道駅の自動改札機を毎日のように利用する人は多い。1日の中で最も利用する機会が多い機器は、携帯電話、パソコン、テレビ、そして自動改札機かもしれない。
今や駅といえば、すぐに自動改札機を連想するほど自動改札機は身近な存在となっている。その自動改札機は、朝夕のラッシュでも多くの利用者の乗車券類を、瞬時に処理してしまう優れものである。そして、2001年11月からJR東日本が導入した交通系ICカードSuica(スイカ)は、当初はJR東日本だけの利用であった。しかし、その優れた利便性から、同種のICカード乗車券は瞬く間に全国に広がり、さらに相互利用もできるようになった。
最近では、自動改札機の投入口の「カチャカチャ」という音も「ピッ」という電子音に変わった。使い方は交通系ICカードを自動改札機の(ICマークのある)R/W(リーダー/ライター:読取/書込装置)に軽くタッチするだけでよい。その上、電子マネーとして買い物もできる。利用者の利便性は格段に向上し、ライフスタイルも変えた。ICカードによる新しい社会インフラの誕生である。
日常生活の中で誰もが利用したことがあり、誰もが知っているこの自動改札機・・・。いったい、その仕組みはどうなっているのか? と疑問を抱く人は多いと思う。
日本に自動改札機が本格的に登場してから約40年経つが、この間、自動改札機に関する図書は皆無といってよいほど発行されていない。不思議なくらいである。こうしたことから本書は、ICカード乗車券や自動改札機に関心を抱く人々に幅広く、わかりやすく解説することを目的に編纂したものである。
自動改札機は一見、1台1台が単独で動作している機械の群れのように見えるが、決してそうではない。乗車券を発行したり、精算したり、自動改札機で処理したデータを上位のシステムへアップロードしたり、上位で判定したデータをダウンロードしたりするなど、一連の駅の業務をシステム化した機器郡の中の一つとして動作している。自動改札機は駅務機器システムの中でもとりわけ、重要な端末機器である。したがって本書では、単に自動改札機のみならず、システム全般についても解説した。
また、自動改札機は駅員に代わって各種乗車券類をチェックすることから始まった。このため、お客さまサービスと乗車券の話を抜きに自動改札機は語れない。いや、むしろサービスや乗車券を通して自動改札機を語るのが正しいと思う。こうしたことから、本書では自動改札機の仕組みは当然であるが、どのようなサービスがあり、その実現のために機器の開発などがどのように行われてきたのかやその開発の歴史やエピソードについて解説する。また、新しい社会インフラとなったICカード乗車券システム誕生の経緯や機能、さらには今後のICT化社会の進展の中で、どんな新しいサービスが出現し、自動改札機の役割や機能はどのように変化していくのか?・・・などについても解説したい。
そこで今回、拙著「自動改札のひみつ」(2003年12月成山堂書店0の内容を最新の技術動向や導入事例などを採り入れて再編集し、「ICカードと自動改札」として刊行することとした。
本書の執筆にあたっては自動改札システムに精通し、次世代のシステム開発などに携わっている各分野の専門家に協力をいただいた。このため、文章や用語には必ずしも一般的でない専門的な表現もあると思うが、できるだけ実使用の用語をそのまま使用した。ご容赦いただきたい。
本書は、少しでもICカード乗車券や自動改札機に関心を抱く読者諸兄のお役に立ち、駅務機器システムへの理解が深まり、今後とも愛着をもって「ICカードと自動改札機」をご利用いただければ幸甚である。

2015年4月
椎橋章夫

【目次】

1.自動改札機の役割  1.1 自動改札機は野球でいえばキャッチャー
 1.2 省力化を目的に始まった自動改札機の導入
 1.3 サービス向上とストアードフェア
 1.4 不正乗車は許さない!その対策とは?
 1.5 近代化イメージの訴求
 1.6 進化するサービス、ICカード

2.日本の自動改札機の歴史  2.1 1960年代に始まった技術開発
  2.1.1 読取方式選定の時代
  2.1.2 判定スピードの克服
  2.1.3 サイバネ規格の誕生
 2.2 磁気方式安定化の時代
 2.3 磁気乗車券の記録密度向上と消磁対策
 2.4 判定精度向上の時代
 2.5 ストアードフェアの導入
 2.6 自動改札機での不正乗車対応
 2.7 自動改札機の処理はこうして行う
  2.7.1 交通系ICカードの処理(磁気式きっぷとの違い)
  2.7.2 交通系ICカードの券面印刷
  2.7.3 最近の自動改札機

3.自動改札機の種類と構造  3.1 意外と多い機種
  3.1.1 自動改札機の種類
  3.1.2 自動改札機の入出場処理機能による分類
  3.1.3 他社連絡改札口における自動改札機
  3.1.4 新幹線型自動改札機の種類
  3.1.5 処理機能別の詳細な種類
 3.2 自動改札システムの構成と各機器の構造
  3.2.1 自動改札機の構成と要素
  3.2.2 統合監視盤
  3.2.3 操作卓
  3.2.4 データ集計機

4.自動改札機はどのような機能を持っているか
 4.1 自動改札機で通れる券
  4.1.1 乗車券類の規格化
  4.1.2 乗車券の様式
 4.2 自動改札機はどんな方法でチェックするか
  4.2.1 通常の判定
  4.2.2 不正乗車の判定
  4.2.3 不正乗車した場合の罰則
 4.3 消費税はどのように対応しているか

5.ICカードのしくみと交通系への導入  5.1 ICカードとは
 5.2 交通系ICカードの仕様
 5.3 Suicaの機能
 5.4 ICカードの時代
  5.4.1 ICカード導入の背景
  5.4.2 実用化まで十数年を費やした交通系ICカード
  5.4.3 課題だった処理方式
  5.4.4 ICカードの「使い捨て」から「繰り返し」利用へ

6.どこまで進化するICカード乗車券システム ?ICカードの多機能化とその未来
 6.1 ICカード乗車券の普及と拡大
 6.2 ICカードの多機能化
 6.3 カード媒体からの進化
 6.4 ICカード乗車券システムの未来

7.出改札システム  7.1 出改札システム全般
 7.2 後方機器の概要

8.券売機  8.1 券売機の歴史
 8.2 券売機のしくみ
 8.3 自動販売機との違い

【著者略歴】

椎橋章夫(しいばし あきお)
昭和28年6月9日生まれ
昭和51年3月 埼玉大学理工学部卒業
平成18年3月 東京工業大学大学院修了(工学博士)

昭和51年4月 日本国有鉄道入社
昭和62年4月 東日本旅客鉄道株式会社入社
平成10年6月 同社設備部旅客設備課長
平成14年6月 同 設備部担当部長
平成16年7月 同 理事・Suica部長
平成20年6月 同 執行役員 IT・Suica事業本部副本部長
平成24年4月 JR東日本メカトロニクス株式会社入社
       代表取締役副社長
平成25年6月 同社代表取締役社長 現在に至る



この書籍の解説

駅のコンビニでちょっと飲み物でも買っていこうかな、というとき、今では多くの人が財布ではなくさっき改札に通した定期券を使うのではないでしょうか。現金以外専用のレジもだいぶ増えてきました。週末の買いだめは現金やカードを使うにしても、ちょっとした買い物に、交通系ICカードは本当に便利です。
最初の交通系ICカードは、2001年11月に登場した、JR東日本の「Suica」でした。2005年あたりからは次々と新規参入が続いて、今では全国で使えるようになっています。
交通系ICカードと切り離せないのが、自動改札機の普及です。時々料金不足や接触不良で弾かれて気まずい思いをさせられますが、自動改札機はかつての人力改札とは比べ物にならないくらいの数の乗客をチェックし、通すことができます。首都圏のラッシュ時、乗降客の流れをスムーズに保てるのも、自動改札機のおかげです。また、無人駅にもICカード読み取り機が導入されているところがあります。
今では鉄道だけではなく生活に密着しているICカード。ICカード乗車券と、駅でそれを支える自動改札システムは、どのように誕生したのでしょう?
今回ご紹介する『ICカードと自動改札』は、JR東日本でSuica事業に深く関わった著者が、ICカード乗車券とそれを可能にしている自動改札をはじめとした駅の業務システムについて、成り立ちと仕組みを詳細に解説します。
今ではカードではなくアプリの形で使っている方も多いかもしれませんが、二十数年前のちょっと昔、あのかわいいペンギンが登場した裏には、このような試行錯誤があったのです。

この記事の著者

スタッフM:読書が好きなことはもちろん、読んだ本を要約することも趣味の一つ。趣味が講じて、コラムの担当に。

『ICカードと自動改札 交通ブックス123』はこんな方におすすめ!

  • 鉄道ファン
  • インフラ系情報システムに興味のある方
  • 駅の仕事に興味のある方

『ICカードと自動改札 交通ブックス123』から抜粋して3つご紹介

2001年11月に「Suica」が登場してから、交通システムのみならず決済システムまで大きく変化させた交通系ICカード。最初の「Suica」に深く関わった著者が、自動改札とICカードシステムの歴史と仕組み、機能を解説します。自動改札や券売機をはじめとした駅無機器システムは、駅の業務を大きく変化させました。

自動改札機の種類と構造

《自動改札機の種類》 自動改札機には、実は様々な種類があります。扱う乗車券の種類や設置場所によって、一般型、新幹線型、簡易型、IC専用型等に分けられます。それぞれ各機種に、入場専用型、出場専用型、両用型(簡易型を除く)の3種類があります。
① 一般型自動改札機
首都圏や大都市の乗降客が多い駅に設置され、近距離券や定期券を扱い、駅での入場、出場時に磁気券を投入または交通系ICカードをかざして通過する自動改札機

② ワンラッチ型自動改札機
連絡運輸を行う2つの鉄道事業者の境界に設置し、出場と入場を同時に処理する

③ ワイド型自動改札機
車椅子でも通れるよう通路幅を広くし、非磁気化券の乗降客のきっぷを見る際、駅係員によるドア開閉操作ができる

④ 簡易型自動改札機
設備投資が難しい駅でも設置できるよう、機能を限定し安価にしたもの。入場専用型と出場専用型のみで両用型はなく、ドアもオプション扱い

⑤ IC 専用型自動改札機
交通系ICカード処理に特化した自動改札機。導入コストや保守コストが低減できる

⑥ 簡易型 IC 専用自動改札機
無人駅への設置を考慮した簡易型の交通系ICカード専用自動改札機。扉もなく表示部とアンテナ部のみだが、セキュリティー機能は強化されている

⑦ 新幹線型自動改札機
新幹線に乗り降りするときに、乗車券と特急券の複数枚の処理が可能な自動改札機。新幹線型自動改札機は、複数枚処理が可能な機構の大きさとその処理時間のため、一般型自動改札機と比べ全長が長い。大きな荷物の乗客への配慮のため、通路幅も広い

《機能による分類》 自動改札機は、入出場処理機能により以下の3種類に分類されます。
① 入場専用型
常に入場者の乗車券のみを扱う。乗車券の有効性を判定した後に、磁気乗車券にパンチ穴をあけたり、回数券への入場日時、入場駅名の印字をしたりする

② 出場専用型
常に出場者の乗車券のみを扱い、有効性を判定した後、磁気乗車券を集札する

③ 両用型
1つの通路構成で入場と出場の両方の機能を持つ。監視盤からの遠隔操作で設定を切り換えることができる。両用型に設定されているときは、入場者と出場者が被った場合、先に投入またはタッチした方を優先する自動切換え機能もある

《連絡改札口の自動改札機》 他社連絡改札口に設置される自動改札機を、ワンラッチ型自動改札機と呼びます。2つの鉄道事業者を連続して乗車する場合、一般型自動改札機だとA社の自動改札機を出場してB社の自動改札機から入場することになります。これをまとめてA社の出場処理とB社の入場処理を1台で同時に行うことができるのがワンラッチ型自動改札機です。

《新幹線型自動改札機の種類》 新幹線型の自動改札機は、以下の3種類に分類されます。
① 直接型
改札外と新幹線改札内を入出場するための乗車券・特急券を扱う

② 乗換型
在来線改札内と新幹線改札機内を入出場(乗換)するための乗車券・特急券を処理する

③ ワンラッチ型(幹・幹ラッチ)
東海道・山陽新幹線(JR東海)と、東北・上越・山形・秋田・長野の各新幹線(JR東日本)とを乗継ぎする乗車券・特急券を扱う

新幹線の乗り換え改札では、在来線への乗り換えのときに乗車券を取り忘れないかいつも緊張してしまいます。でも、ICカードやアプリでチケットレス予約を使えばこんな心配も無縁ですね。ところで、『新幹線から新幹線の乗り換え改札』があるのは東京駅だけです。東海道新幹線からJR東日本の新幹線は乗り入れが行われていないからです。

自動改札機はどんな方法でチェックしているか

(1)主な判定項目 自動改札機は、運送の開始時及び完結時に利用者が所持する普通乗車券、定期乗車券、回数乗車券、ICカード乗車券などの有効性を、利用者が通過するまでの短い時間で確認しています。この処理を実現させるための磁気乗車券の処理速度は処理時間にして0.7秒以内、ICカード乗車券の処理速度は0.2秒以内です。
投入された乗車券類には、判定に必要な情報が書き込まれています。自動改札機はこの情報を利用して主に3つの判定を行っています。

① 券種判定
定期券や乗車券、自動改札機を通れない券(非自動化券)の判定を行う
② 期間判定
券種判定で決定された券種ごとに、乗車券類の有効日を判定する。判定処理の基準は電源投入時
③ 区間判定
乗車券類の有効区間を判定する

(2)券種別乗車券の判定方法 ① 定期券
ア)定期券の券種判定
定期券が小児券の場合、判定結果によりランプや音などを表示・鳴動させる
イ)定期券の期間判定
定期券の開始日、終了日と利用日の大小比較を行い,有効期間を判定する
ウ)定期券の区間判定
磁気情報の発駅、着駅及び経由駅が判定条件を満足しているかを求め、定期券の有効区間を判定する

② 普通券の場合
普通券には、エドモンソン券(いわゆる「きっぷ」)と大型券があります。同じ大きさの普通券でも、磁気情報の記録方式により種類が分かれますが、代表的なFM券について解説します。
ア)普通券の券種判定
「普通券」「往復券」「入場券」「精算券」「連絡券」等を判別する
イ)普通券の期間判定
磁気情報の開始日、終了日と利用日の比較を行い、有効期間を判定する
ウ)普通券の区間判定
磁気情報の発駅から普通券の有効区間を判定する

③ ICカード乗車券の場合
ICカード乗車券は、乗車時にきっぷを買う必要がなく、乗り越し精算も改札機に触れるだけで必要となる最も安い運賃を自動的にICカード乗車券から引き去ることができます。
定期区間内の利用においては磁気券と同様の判定処理を行うのに対し、定期区間外の利用では乗車駅から定期区間までの運賃、定期区間から降車駅 までの運賃、乗車駅から降車駅までをすべてSF利用した場合の通し運賃を自動計算し、さらに定期区間前後の運賃の合算値と通し運賃を比較して安い方の運賃を自動的に引き去る処理を行っています。

本文には判別時のチェック項目の流れがもっと細かく示されています。説明に沿ってゆっくり考えるとなるほど!と思いますが、人が数歩で通り過ぎる間に全てのチェックが済んでしまうのは、あらためてすごい技術ですね。それを目視でやってハサミを入れていた昔の駅員さんも、神業だと思います。

ICカード導入までの課題:実用化まで十数年の試行錯誤

ICカードを交通系乗車券に応用する試みは、1987年頃から始まっていました。改札が自動改札機になったためにパスケースから定期券をいちいち出さなければならず、煩わしいという声があったのです。

1987年から1991年頃までは、ICカード及び読取装置単体機能の基礎開発時期でした。開発の初期段階では、搬送波としてマイクロ波と中波を用いたICカードの開発が行われました。当初はカバンの中にICカードを入れたままで改札を通ることを目指していたため、自動改札機と30cm程度の距離で通信が行えることが求められていました。こうしたことから、マイクロ波と短波を用いた検討が行われたのです。

マイクロ波ICカードは、カード内部に発信機が不要なため回路的にシンプル、コストが安い、通信速度が速い、通信エリアを限定しやすいなどのメリットがありました。しかし試作と実験により、マイクロ波ICカードは指向性が強くカードの位置や方向などに制限があり、人体など水分を含むものに電波が吸収され遮断されることがわかり、実用化には至りませんでした。

一方で、中波ICカードを応用したシステムの検討も平行して進んでいました。中波ICカードはサイズが大きいものの、カード内にバッテリーを組み込みやすいことや、指向性が弱く電波が扱いやすいことなどのメリットがありました。しかし、こちらも混信を生じやすい、通信速度がやや遅い、通信エリアを限定し難いなどの問題のため、実用化はされませんでした。

改札の判定処理に関しては、ICカード内部にCPUを搭載しICカード自身がカード内部で判定処理を一部行う方式と、ICカードは単なるメモリ機能として働き、判定処理をすべて自動改札機側が行う方式の2つが試験されました。

1992年から1998年頃までは、読取装置を自動改札機などの駅務機器に組み込み機器単体試験を実施しました。この時期は、ICカード対応自動改札機開発時期にあたります。
自動改札機がICカード対応になっても、既存の磁気式乗車券のすべてが一斉にICカードに置き換わるわけではありません。自動改札機は磁気式もICカードも処理可能な方式とする必要があります。磁気式乗車券とICカードの処理機能を併存させた試験を実施したところ、大きく2つの問題が発生しました。

1つは通信処理時間です。ICカードのかざし方が速すぎると、自動改札機が正しく処理できなかったのです。読取装置が与える通信領域は一定でも、ICカードの挙動により通信処理時間が大きく異なることがわかりました。

2つ目は、判定順序の逆転の問題です。自動改札機には手前側の上部に磁気券の投入口が設けられており、その上部奥側に読取装置が装備されています。ICカードを持った利用者Aの次に磁気券を持った利用者Bが続く場合、ICカードを持ったAが読み取り機にタッチする前に次のBが磁気券を先に入れることにより、AとBの判定順序が逆転する現象が稀にあることが判明したのです。

この後も様々な実験と検証、調整を繰り返して現在のICカードと対応する自動改札が完成しました。しかし今でも、「ここは改良して欲しいなあ」と思う点もあります。JRの自動改札機、自分の残高ではなく前の人か次の人の残高が見えてしまうことってありませんか?こうした旅客の声も参考にしながら、この先も自動改札機とICカードの利便性は向上していくのでしょう。

『ICカードと自動改札 交通ブックス123』内容紹介まとめ

全国に普及した交通系ICカードと自動改札。その成り立ちとメカニズムを、「Suica」事業に深く関わった著者が解説します。乗客が直接触れる自動改札や券売機の背後では様々なシステムが動いています。ICカードと自動改札を入口に、トータルシステムとしての駅務を、自動改札がどう変えていったのかについても解説しています。

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カテゴリー:交通ブックス タグ:交通ブックス 技術 鉄道 
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