流氷の世界 気象ブックス038


978-4-425-55371-6
著者名:青田昌秋 著
ISBN:978-4-425-55371-6
発行年月日:2013/11/1
サイズ/頁数:四六判 180頁
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価格¥1,980円(税込)
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白い海の不思議に迫る!
冬になるとオホーツク海にやってくる流氷。実は海が凍るってそうそう簡単なことではないのです。以前は港をふさいで厄介者だった流氷が、いまでは豊富なプランクトンのゆりかごだったり、地球環境に影響していると知られるようになりました。オオワシが舞い、アザラシがひょっこり顔を出す白い海に魅せられて50年、流氷博士からの贈り物です。

【はじめに】より  海氷研究のためにオホーツク沿岸の小さな街に赴任したのは1965(昭和40)年の秋でした。はじめての冬が来ました。ある朝、水平線が輝いていました。流氷の到来でした。青い海原は日毎に白い氷野に変わっていきました。本来の使命を忘れて、北の海の壮大なドラマに心を奪われてしまいました。
 俳人が『流氷や 旅びとだけに美しき(今 鴎昇)』と詠んだように、浜の人びとにとって流氷は¥美しき¥”などというような代物ではありませんでした。流氷に仕事を奪われ、漁師は余儀なく出稼ぎに行きました。流氷は海氷の航行を頑に拒みました。流氷遭難が頻発、多くの命が失われました。氷海の岸壁や原油掘削リグを壊す事故も起きました。人類にとって流氷は白い魔物、厄介者に過ぎませんでした。時は流れて、いま漁師たち自身が、流氷がプランクトンを運んで来てくれるとか、流氷の多い年は漁模様がいいなどといいます。流氷は悪玉から善玉に替わったのです。
 近年海水面積が急速に減少しています。餌場を失ったホッキョクグマが餓死したり、多くのアザラシの赤ん坊が溺れ死んだりしています。北極海の通年航行の可能性が高まり、航路開発や北極海の海底資源開発のための氷海工学の重要性が見直しされる兆しもあります。
 世界の海のおおよそ1割が凍る海です。海氷勢力の消長と気象、海洋環境、海洋生物、水産資源との関係性についての研究がますます重要になっています。
 拙著では海氷の基礎的な諸性質、海氷存在の意義、地球環境との関わりなどについて考えていきたいと思います。百科事典的な網羅主義は採りませんでした。長年氷上の現場観測に従事しながら必要に迫られた課題に偏った恐れがあります。氷海の理解には重要でありながら説明が煩雑になるためにほとんどの参考書が避ける課題もあります。しかし自分自身の体験から重要と思われるテーマについては、詳しく説明するようにしました。また、特殊な専門分野については、それぞれの専門書に譲ったり、さらりと触れる程度に留めたりしました。
 今日ではスーパーコンピュータのプログラムで簡単に結果が得られるようなテーマもありますが、拙著ではその基本概念を学ぶことに重点を置きました。幕間には流氷の魅力、流氷にまつわる逸話、流氷閑話等を盛り込みました。気長に楽しみながらおつきあいいただければ幸いです。
 所詮は長年野外観測のみに従事してきた筆者です。誤謬のご指摘、ご指導いただければ幸いです。

【目次】
第1章 海野さまざまな氷
 流氷と海氷
 湖氷、河川氷、氷床、たな氷、氷山
 ピラミッド型氷山とテーブル型氷山
 一年氷と多年氷
 流氷閑話ー流氷対海氷

第2章 海氷の一生ー誕生から消滅まで  青い海から白い海へ
 流氷閑話ーニラスへの旅
 海氷の最盛期
 氷海の春近し
 氷海の特異現象
 流氷閑話ー流氷の交響曲

第3章 海氷生成のメカニズム  真水の結氷過程
 海水の結氷過程
 真水と海水の凍り方の違い
 海氷の内部構造
 海氷の組成
 流氷閑話ー流氷のオンザロック

第4章 海氷の物理質的特性
 海氷の熱的性質
 海氷の密度
 海氷の厚さ
 海氷のアルベド
 海氷と工学
 流氷閑話ー古代中国の海氷工学

第5章 海氷の漂流  海氷の漂流研究の発展
 海氷に働くさまざまな力
 漂流の理論
 流氷閑話ー氷上歩行

第6章 氷海の鉛直混合
 水塊の鉛直混合について
 流氷閑話ーキャベリングと南極底層水
 氷海における鉛直混合の実際

第7章 オホーツク海は海氷の南限
 海氷域の季節変動
 オホーツク海を海氷南限にしている理由
 海氷の生みの親ーアムール川
 最近のオホーツク海の研究成果
 流氷閑話ーオホーツク海対北極海

第8章 世界の海氷
 海氷とリモート・センシング
 北半球の海氷
 流氷閑話ー間宮林蔵
 南半球の海氷
 流氷閑話ー流氷と大陸移動説

第9章 海氷と地球環境  海氷と大気、海洋の大循環
 海氷と海洋生物、水産資源
 全地球の海氷の現象傾向
 流氷閑話ー流氷の功罪

【読者からの声】
Nさん 56歳
「青田先生が書かれた最後の本だということを知り、本の執筆がこれほど大変なのだということを痛感した。自分の視野が広がったように思う」

(気象図書)
カテゴリー:気象ブックス タグ:地球環境 気象 気象ブックス 
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