オーロラの謎ー南極・北極の比較観測ー 極地研ライブラリー


978-4-425-57091-1
著者名:佐藤夏雄・門倉昭 共著
ISBN:978-4-425-57091-1
発行年月日:2015/3/20
サイズ/頁数:四六判 210頁
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価格¥2,640円(税込)
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神秘的なオーロラはいつの時代も人々の心を魅了してやまない。本書はその美しいオーロラから一歩踏み込み、オーロラをもっと知りたい! に応える内容となっています。最前線で研究を続ける筆者らが南極・北極の比較観測でわかったオーロラの仕組みや特性を科学的にわかりやすく解説します。オーロラのみならず太陽ー地球の相互関係についても知ることができます。

【はじめに】より  オーロラは私たち人類が地球上で目にすることができる自然現象の中でも、最も神秘的で壮大な現象の1つといえる。凍えるような極地の夜空いっぱいに広がり、音もなく舞い、さまざまに形や色を変えるオーロラを目にすると、何ともいえない自然界の不思議に感じとらわれる。
 今日では、オーロラの源は太陽から吹き出す高温のプラズマであり、地球を取り巻く磁気圏と呼ばれる空間が太陽活動の影響を受けてオーロラを生み出していることがわかってきた。地球の大気と磁場(磁石)は、この美しいオーロラが現れる必要条件であると共に、地球上に住む生物を有害な宇宙線から守る二重のバリアーとしても重要な役割を演じてくれている。

 最近の研究では、オーロラ活動と地球の気候変動との関係も指摘されている。私達は、オーロラの観測や研究を通して、地球の周りの環境が、太陽と地球との相互作用に伴って、時々刻々と変化していることを実感することができる。夜空に舞う神秘のオーロラは、太陽から私達の住む地球へのメッセージでもあるとともに、その複雑な動きや明るさ、色合いには、太陽と地球の間の関係を解き明かすための多くの謎が秘められている。
 オーロラを光らせるもとになっている電子など荷電粒子は、地球の磁力線に沿って(巻き付いて)南北半球の間を運動するという特性をもっている。1本の磁力線で結ばれた南極と北極の両地点は地磁気共役点ペアと呼ばれており、両極の地磁気共役点では同じようなオーロラが同時に現れることが予想されてきた。
 本冊子は、これまでのアイスランドと昭和基地での共役点観測の歩みを概観し、オーロラの共役点観測から得られたトピックスを紹介するのが主題である。同時に、オーロラの観測方法やオーロラについてこれまでの研究で得られた科学的な知識も紹介する。
 この目的のために、第1章では、オーロラの基礎知識のない読者にも、オーロラとは何かについて知ってもらえるように、設定した質問に答える形式で記載した。第2章は、オーロラについてより多くのことを知ってもらえるように、オーロラの仕組み、オーロラの種類と関連現象、そしてオーロラの謎について記載した。第3章は、本書の主要課題であるオーロラの南半球と北半球との比較観測について詳しく記載した。共役点観測のそもそも論から学問的意義、世界の共役点観測の歩み、アイスランドでの観測の歩み、などを最初に紹介した。それに続いて、この30年間余の観測で得られた共役点オーロラのトピックスであるオーロラの南北半球での相違についてできるだけ解りやすく紹介した。この章では、オーロラの共役点観測の結果を通して、オーロラをより深く理解できるように紹介し、南北半球で相違を起こす原因についての考察も行った。
 この第3章で紹介する特徴的なオーロライベントをより深く理解して頂くために、第2章で記載したオーロラの種類や特性に関して、必要に応じて、参照出来るように明示した。本書により、オーロラは南北半球で似ている場合や似ていない場合があることを読者に知って頂くとともに、太陽風? 地球磁気圏? 電離圏間の相互作用により発生しているオーロラの発生メカニズムや特性についての知識を深め、神秘的な現象であるオーロラに対する科学的な興味を抱いて頂ければ幸いである。

2015年3月
著者を代表して 佐藤夏雄

【目次】
第1章 オーロラを知る11問
  オーロラとは何か?
  どこに行けばオーロラが良く見えるの?
  オーロラはいつ、どのように見えるの?
  見える高さは?
  オーロラの色は?
  オーロラの形と大きさは?
  オーロラの明るさは?
  オーロラがよく見える年はあるの?
  日本でもオーロラが見えることはあるの?
  オーロラは音がするの?
  南極と北極のオーロラは同じなの?

第2章 オーロラを知る  2-1 オーロラの仕組み
  磁石のはたらきとオーロラ
  オーロラの発光と色
  地球磁気圏の形
  オーロラの源とエネルギーの蓄積場所
  オーロラの爆発
  オーロラ粒子の加速
  太陽活動とオーロラ
 2-2 オーロラの種類と謎
  オーロラの種類
  オーロラの謎

第3章 オーロラの共役点観測
 3-1 共役点観測とは?
 3-2 共役点観測の目的と大切さ
  南北半球間の磁力線のつながり方の検証(共役点でのオーロラ研究の出発点)
  太陽風ー地球磁気圏ー電離圏の相互作用の理解
 3-3 共役点で同時観測を可能とする
  共役点位置の日変化・季節変化・経年変化
  観測点の日照の制約および天気の制約
 3-4 オーロラ共役点観測の歴史
  世界の共役点観測の動き
  アイスランドにおける昭和基地との共役点観測の歩み
 3-5 南北両半球でオーロラの見え方に相違を起こす要因について
    何故同じであったり異なったりするオーロラが現れるのか?
  オーロラの見え方に相違が起こる要因の考え方
  太陽風が要因となって非対称が場合
  地球側が要因となって非対称が起こる場合
 3-6 昭和基地とアイスランドのオーロラ比較
  良く似たオーロラが長時間出現した2003年9月26日イベント
  その他の特筆すべき共役点オーロライベント
 3-7 まとめ
  南北半球のオーロラは本当にミラーイメージなのか?

第4章 オーロラ観測の世界
 4-1 地上からの観測
  光学観測
  電波観測
 4-2 飛翔体による観測
  大気球・ロケット観測
  衛星観測
 4-3 オーロラ観測研究の将来展望
  南極大陸を利用した地上からのネットワーク観測網
  EISCAT 3D観測計画
  太陽地球系科学としてのオーロラ


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カテゴリー:極地研ライブラリー タグ:アイスランド オーロラ フィンランド 北極 南極 極地 観光 
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