機関学概論(改訂版)


978-4-425-61372-4
著者名:大島商船高専マリンエンジニア育成会 編
ISBN:978-4-425-61372-4
発行年月日:2017/7/28
サイズ/頁数:
在庫状況:在庫有り
価格¥2,860円(税込)
数量
船舶や機関の基礎知識を丁寧に解説。章末に練習問題を掲載し、機関士を目指す初学者向きのテキスト。機関全般に共通の知識の習得に最適。

【改訂の序】より  本書は平成18年に刊行され、そのコンセプトは機関学初学者に対しスムーズに機関学の導入部分を理解させ、将来、本格的に機関学を学習する際の橋渡し役となることである。
 初版を刊行した当時と現在の日本情勢を比較すると、東日本大震災に伴う原子力発電への信頼性低下によって、原子力発電所の稼働の是非が社会から問われている。そのため、従来の原子力発電に大きく依存していたときよりも風力発電、太陽光発電や潮流発電など多様な発電方法の開発・研究が急がれる。しかし、実際には従来の発電量をまかなうには、当面、石炭、液化天然ガスや重油などを原料とする発電に依存せざるをえない。このため、従来の原料の輸入または近い将来シェールガスの大量輸送が急務である。これらは船舶による海上輸送によって実現するであろう。海上輸送に関しては、船舶の省エネルギー運航および安全運航を高める意識がマリンエンジニアには要求される。あくまでも本書は入門書であり、すべての内容を網羅しているわけではない、本書をステップとして、マリンエンジニアを目指す学生諸君にはよりレベルの高い知識とスキルを身につけてもらいたいと教育現場の教師としては切に望む限りである。
 今回の改訂では著者の半数近くが退職し、スタッフが新しくなったばかりで大幅な改定が時間的にできなかった。今回の改訂では重複する内容と演習問題の削除や最適な配置変更を実施した。

【まえがき】より  地球上には多数の国があり、各国とも自分の国だけの物資だけでは暮らせない。食料、原油、穀物などの日常生活に必要な物資は船を通じて輸送されることが多い。これによって我々は豊かな生活が営むことができる。とくに国内資源が乏しい我が国にとって、外国からの輸入によって必要な資源を確保することは極めて重要である。戦後経済の復興、成長の過程において、我が国は海運に依存することが多かった。そのため、戦前に比べ我が国は大きな商船隊をもつことになった。今後は国際競争力のある商船隊を拡充することおよび海運技術発展のためにはコンスタントに優秀な船員を排出する必要がある。
 物資の輸送手段に関して、近年飛行機による物資の輸送が多くなったものの原油輸送に代表されるように、船による物資輸送はコスト、輸送量および安定供給の点で飛行機よりも優れている。
 ところで、日本の海運は2度のオイルショックによる原油価格の高騰、船舶職印法および船員法の改正や船の小人数運航にともなう船舶技術の発展などの諸問題を経て現在に至っている。海陸を問わず、制御・情報機器は小型化および高度かの傾向にある。船の技術も自動機器の設備が充実しており、その技術発展はめざましいものがある。加えて、現在の船舶は少人数で運航するため機関士個々に要求される能力はより高度化の傾向にある。商船教育の現場で学生を教育する立場である著者らの使命は、多数の優秀なエンジニアを養成することにある。著者らの経験から専門知識を系統的に抵抗なく得るためには、まず入門書を読むことを勧める。
 以上のことから、本書は次の点に留意して執筆した。
1.機関学を専門的に学習するひとにとって、本書は高度な知識への橋渡しになる役目になること。すなわち、機関学の良き入門書になることを目的とする。
2.航海士を目指す人にとって、機関全体の知識を得ることは船舶の安全運航上、重要である。本書は航海士を目指す若者や乗船経験の浅い航海士に機関学の知識を提供する。
 本書の内容は、前半(第4章まで)部分が船の概略と工学基礎全般について、後半(第5章以降)部分が機関学基礎について説明している。機関学の内容は膨大で、とても本書の内容が機関学全体を網羅しているわけではない。本書はあくまでも入門書であるため、読者は必要に応じてより専門的に高度な書籍を読むことを推奨したい。なお、各章に演習問題があるが、本書の内容を熟読すれば理解できる問題の解答は省略している。各自、独力で解答の作成にチャレンジしてもらいたい。

【目次】
第1章 機関部−船を動かす−
 1.1 機関部乗組員
  1.1.1 職員
  1.1.2 部員
 1.2 機関部の職務と作業
  1.2.1 職務の概略
  1.2.2 機関部作業
  1.2.3 職務分担と就労体制
 1.3 担当する機器
  1.3.1 機関の概略
  1.3.2 船舶として使用される機関
 1.4 船を動かすために必要な機器および装置
  1.4.1 主機関
  1.4.2 推進装置
  1.4.3 発電装置
  1.4.4 ボイラ
  1.4.5 補機

第2章 機関学基礎  2.1 単位系
  2.1.1 基本単位と組立単位
  2.1.2 国際単位系
  2.1.3 単位の換算
 2.2 数値データの取り扱い方
  2.2.1 測定値と誤差
  2.2.2 有効数字
  2.2.3 有効数字の決め方
  2.2.4 特殊グラフ
 2.3 機関算法
  2.3.1 力と仕事の関係
  2.3.2 密度と比重
  2.3.3 エンジンの燃料消費率
  2.3.4 プロペラスピードとスリップ

第3章 電気電子工学  3.1 電流、電圧および電力
  3.1.1 水流回路と電気回路
  3.1.2 電荷と電流
  3.1.3 電圧
  3.1.4 オームの法則
  3.1.5 電気の仕事と電力
 3.2 エネルギ変換機器とその原理
  3.2.1 発電機と発動機
  3.2.2 変圧器
  3.2.3 パワーエレクトロニクス機器
  3.2.4 電磁誘導機器の分類

第4章 制御・情報工学  4.1 制御
  4.1.1 制御とは
  4.1.2 フィードバック制御
  4.1.3 制御の性能評価
  4.1.4 フィードフォアワード制御
  4.1.5 シーケンス制御
 4.2 情報処理とデータ
  4.2.1 データベースによるデータの取得
  4.2.2 センサによるデータの取得
 4.3 コンピュータ
  4.3.1 ハードウェア
  4.3.2 ソフトウェア
  4.3.3 プログラミング言語
 4.4 ネットワークの基礎
  4.4.1 LANとWAN
  4.4.2 ネットワークセキュリティと認証
  4.4.3 インターネットとサービス

第5章 内燃機関  5.1 熱から仕事への変換
 5.2 全体の構造
 5.3 分類
 5.4 作動
  5.4.1 4サイクル機関の作動
  5.4.2 2サイクル機関の作動

第6章 ボイラおよびタービン  6.1 蒸気タービン
  6.1.1 熱機関の概略
  6.1.2 蒸気タービンの型式
  6.1.3 蒸気タービンの主要構成部分
 6.2 蒸気ボイラ
  6.2.1 蒸気ボイラの概要と分類
 6.3 ガスタービン
  6.3.1 ガスタービンの概略
  6.3.2 ガスタービンの特徴
  6.3.3 ガスタービンの用途
  6.3.4 使用燃料
  6.3.5 コージェネレーションシステム

第7章 補助機械  7.1 総括
 7.2 揚錨機・揚貨機
  7.2.1 電動式揚錨機・揚貨機
  7.2.2 油圧式揚錨機・揚貨機
 7.3 舵取装置
  7.3.1 主要構成部
  7.3.2 電動油圧式舵取装置
 7.4 冷凍装置および空気調和装置
  7.4.1 蒸気(ガス)圧縮式冷凍法
  7.4.2 冷凍コンテナ
  7.4.3 空気調和装置
 7.5 ポンプ
 7.6 送風機・圧縮機

第8章 燃料油と潤滑油  8.1 燃料油
  8.1.1 船舶で使用される燃料油
  8.1.2 ディーゼル燃料油の一般的性質
  8.1.3 商船で使用される低質重油
  8.1.4 燃料油の貯蔵と消費
 8.2 潤滑油
  8.2.1 潤滑油の使用目的
  8.2.2 潤滑油の性状
  8.2.3 潤滑油の選択
  8.2.4 給油方法
  8.2.5 舶用潤滑油の色々
  8.2.6 潤滑油の管理

(海事図書)
カテゴリー:船舶(航海・機関・運用) 
本を出版したい方へ

成山堂書店のBLOG