魚の発酵食品 ベルソーブックス003


978-4-425-85022-8
著者名:藤井建夫 著
ISBN:978-4-425-85022-8
発行年月日:2005/4/18
サイズ/頁数:四六判 168頁
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価格¥1,980円(税込)
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塩辛、かつお節、くさや、味噌漬けなど、発酵食品の旨さの秘密に迫る。微生物や酵素を巧みに生かす、伝統的な手作りの面白さを紹介。

【はじめに】
魚の発酵食品は? と聞かれて3つ以上思いつく人は少ないのではないかと思う。水産物にも様々な発酵食品があり、しかもそこには、農産や畜産の発酵食品とはまた違った巧みな微生物・酵素利用の知恵が隠されているのに意外と知られていない。筆者は日頃そのような水産発酵食品の意義を少しでも多くの人に知ってもらいたいと考えており、先に『塩辛・くさや・かつお節ー水産発酵食品の製法と旨みー』(恒星社厚生閣、1992年)を上梓したことがある。それまでこの方面の成書は少なかったこともあり、幸い好評を得たが、大学での授業の参考書として企画したため、内容的にやや難しい点があり、その後の知見も整理し、もう少し気軽な、通勤や通学の車内でも読めるようなものをまとめたいと考えていた。
そのような筆者の思いは。今回、日本水産学会監修によるベルソーブックスが創刊されるにあたって、そのうちの1冊として実現することができた。本書では前書と異なり、はじめに水産物の特徴や発酵食品の起こりについて解説し、品目も、前著のイカ塩辛、くさや、しょっつる、馴れずし、糖漬け、かつお節のほか、酒盗、うるか、ウニ塩辛、かぶらずし、粕漬け、味噌漬け、シュールストレンミングなど多くの種類を取り上げるようにした。また最後に、昨今伝統食品の多くが変貌しつつあり、中には消滅の危機にあるものも少なくないことから、その保存・継承についての考察も加えた。
本書のタイトルは『魚の発酵食品』とし、あえて「魚介類の・・・」とはしなかった。魚屋といっても、魚だけでなく、イカもシジミも売っているわけで、その程度の気軽さで読んでいただければ幸いである。本書を読まれた方々が、日頃なじみの薄い魚の発酵食品についての知識や理解を深められ、ひいては伝統食品を保存することの意義についても広く理解されることになればありがたいと願っている。
本書をまとめるにあたっては、加工業の現場の方々に種々ご教示いただき、また多くの先人の業績を参考にさせていただいた。原稿の査読をお願いした豊原治彦氏(京都大学)からは細部にわたり懇切丁寧なご意見を賜り、また出版に際しては(株)成山堂書店の小川實社長に多大な尽力を賜った。これらの方々に厚く御礼を申し上げる次第である。

2000年3月
藤井建夫

【目次】
第1章 魚の貯蔵から生まれた発酵食品
 1-1 水産物は珍味の宝庫
 1-2 貯蔵のための水産加工
 1-3 誤解されやすい魚の鮮度
 1-4 殺菌と静菌-魚の腐敗防止-
 1-5 発酵と腐敗はどう違う?
 1-6 塩蔵と米飯漬けが基本の水産発酵食品

第2章 塩辛くなくても塩辛か
 2-1 水産発酵食品の代表選手-イカ塩辛-
 2-2 家庭で作れるイカ塩辛
 2-3 塩辛の熟成-酵素と微生物の醸し出す風味-
 2-4 塩辛中では生えない食中毒菌
 2-5 急増している塩辛の生産量
 2-6 熟成させない低塩分塩辛
 2-7 伝統塩辛とは区別したい「調味塩辛」
 2-8 加工副産物の塩辛
 2-9 酒盗と飯盗の違いは?
 2-10 うるかの語源は魚の内臓
 2-11 めふん・このわた

第3章 くさいのに腐りにくいくさや
 3-1 好き嫌いのわかれるくさや
 3-2 先祖伝来の汁に漬けて作られるくさや
 3-3 くさやのにおいと日持ちの良さは汁中の細菌の働き
 3-4 高ph説を検証する
 3-5 くさや作りは巧みな微生物管理技術

第4章 魚醤油は隠し味に
 4-1 魚やイカから作られる醤油
 4-2 東南アジアで常用の万能調味料
 4-3 魚種によって異なるしょっつるの味
 4-4 1年以上かけて作られる魚醤油
 4-5 まだよく分かっていない微生物の役割
 4-6 魚醤油で作る飛島の塩辛
 4-7 北前船が運んできた食文化
 4-8 不思議な飛島の魚醤油
 4-9 新種の乳酸菌

第5章 すしの先祖は魚の漬物
 5-1 ふなずしは魚のチーズ
 5-2 ご飯に塩蔵フナを漬ける
 5-3 巧みな乳酸菌の利用
 5-4 望まれる琵琶湖の資源保護
 5-5 握りずしが生まれるまで
 5-6 速醸型のさば馴れずし
 5-7 麹の助けを借りるはたはたずし
 5-8 馴れずしと似たかぶらずし
 5-9 粕漬け・味噌漬け

第6章 フグ毒が消える糠(ぬか)漬けの不思議
 6-1 北前船がもたらした食べ物
 6-2 イワシの糠漬け
 6-3 糠漬けにおける風味の生成
 6-4 フグ卵巣の糠漬け-糠漬けで消失するフグ毒-

第7章 くさやよりもくさい魚の缶詰
 7-1 膨らんだ缶詰
 7-2 糠漬けと似ているシュールストレンミングの微生物
 7-3 美味しいとはいえないが理解できる味

第8章 味と香りと色を保つウニの塩辛
 8-1 7つの成分で決まるウニの味
 8-2 発酵とは異なるウニの塩辛
 8-3 腐敗防止で始まったアルコールの使用
 8-4 案外短い和えものの賞味期限

第9章 縁起かつぎのかつお節
 9-1 生では食べなかったカツオ
 9-2 変動の激しいカツオ人気
 9-3 かつお節の呼び名
 9-4 100年前に完成したかつお節製法
 9-5 カビ付けの効果

第10章 次世代に生かす伝統食品の知恵
 10-1 失われつつある伝統食品
 10-3 伝統食品を守る意味
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