『復興の書店』

  • 2015.03.11 

偶然、本屋さんで手にした本。そして読み終わったのも偶然か、2015年3月11日。あれから4年。当時のことは今でも思い出す。自然の力には人は無力なのだと。しかし、そこから立ち上がろうとする人の力は、自然の力よりも大きなものを持っているのかもしれない。

この本は、そういったことを思わせてくれるような内容。震災地の書店を中心に、復興への道のりを描いている。津波で流されてしまった書店、被害こそ少なかったものの、本がダメになった書店、どうしたらいいかわからないながらも、「本が人の心を救う」という想いのもと、多くの書店が早期開店へと意欲を見せる。

本は普段の生活では無くても支障はない。あればあったにこしたことはないが、なくてもよい。そういったものが、こういった状況の中では人の心を救う。食料を求める人が多いなか、本を求める人も同じくらい多かったとのこと。新たな情報が欲しいので雑誌や新聞を求める人、避難所周辺のことがわからないので地図を求める人、不安な日々を過ごすなかでの娯楽のために本を求める人、多くの人が訪れたという。

本の力は計り知れないものがある。常日頃から、「本は心を豊かにする」と思っている。本が好きな人はそう思うだろうけど、普段から読まない人にとっては、なんの関心もないだろう。こういったときだからこそ、本が復興の手助けになるということは、とても嬉しいこと。

まだまだ復興するには時間がかかるという。そこに「本」がなんらかの役に立てば、出版人として嬉しい限りである。