この本のタイトルを見て、「そうなんだよね。みんな似たような感じなんだよ」と思った。そして、すぐに購入。2016卒採用が本格化した。連日のようにどこかで就職セミナー、合同説明会が行われているという。しかし、学生は春休み。そこまで動いていない学生も多いとか。
この本は、広告をつくるときの考え方をベースに、就職活動でどうやって自分をアピールするか教えている。どんな人がターゲットか?(受ける企業)、何を伝えたいのか?(自己アピール)という広告をつくるさいの基本的なことは、エントリーシートを書いたり、面接を受けるにあたって同じことだと思う。
「本を売りたい」だけでは、どんな本なのかわからない。就活においても「出版社で働きたい」だと、数ある出版社ならどこでもいいのか? となってしまう。「出版社ならどこでもいい」と思っている人は、どこにも受からないだろう。どんな仕事をしたいのか、という前に、「自分はなにものなのか?」をまずは知ることで、実は希望もしていなかった業界への道が開けるかもしれない。
業界選び、会社選びをまず先にやってしまいがちだけど、自分のことを徹底的に知ることができるのが、この就職活動の時期だと思う。本書にもそういったことが書かれている。そして、「働くことに大きな理想を抱かないこと」と言いたい。夢や希望をもつことは、もちろん大事なことである。しかし、大学卒業して入った会社では、まったくの素人。業界のことはわからないし、仕事のこともわからない。「ああしたい、こうしたい」ということはあるだろうけど、まずは仕事を知ること、会社を知ること、業界のことを知ること。それから、やりたいことをやればいいと思う。
会社は個人の欲望を満たすところではない。経営者がいて、社員がいて、お客さまがいて、取引先があってこそ成り立つものである。協調性が大事なのである。個人のわがままを通す場所でもない。会社にはルールがある。それに従って仕事ができるかどうかなのである。自由を主張する前に、ルールに沿って仕事をしてほしい。
そしてもう一つ、行きたい業界、会社のことをしっかりと調べてほしい。それはインターネットだけを使うのではなく、自分の足で調べてほしい。その会社の商品、サービスを利用する、OB・OG訪問して会社のことを聞くなど手段はある。就職活動向けのセミナーだけでは情報は限られる。当然、いいことが全面に出てくる。リアルな情報を手に入れることで、希望していた業界が「自分には合わないかも」となることだってある。理想だけ、憧れだけで選ばないでほしい。
そして最後に、「自分の言葉」で語ってください。どこかから借りてきた言葉は相手には届きません。カッコよく話す必要はなく、心からの自分の言葉が相手に伝わります。