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2015年12月15日  

第1回 防衛大学校学生インタビュー

第1回 防衛大学校学生インタビュー
防衛大学校は、将来陸上・海上・航空、各自衛隊の幹部自衛官となる人たちを育成するとともに、それらに必要な研究を行う防衛省の施設等機関です。横須賀、三浦半島の先端に位置し、東京湾を望み富士山を仰ぐ風光明媚な自然環境に恵まれたキャンパスで、幹部自衛官を目指す4学年の学生にお話を聞いてきました。

●1日のスケジュール



前澤:
6:00に起床して日朝点呼があり、毛布をたたんで起床から5分以内に舎前(しゃぜん)といって建物の前に集合するという決まりがありますので、朝起きてダッシュで集合し、点呼を行います。

●寮は陸海空分かれているのですか?

庄司:
全部一緒ですが、学科ごとにまとめられています。例えば、私は人間文化学科ですが4学年の人間文化学科は4大隊というように学年や学科単位で建物が分かれています。

●防衛大学校を選んだのはなぜですか?

山本:
兄の友人が防大生1学年の時、真っ黒に日焼けして自宅に来たことが防衛大学校を知ったきっかけとなりました。自衛隊は国防の最大の砦だと思います。やはり警察でも消防でも困難な時に自衛隊が出てくるので、一番頼りにされるところがいいと思い、人のためにも働きたいので高3の時に受験してみようと思いました。もともとパイロットになりたかったので航空学生を受けたのですが失敗、防大も落ちて1年浪人し、どうしようかと迷いましたが再度受験しました。

前澤:
一般の高校ではなく、陸上自衛隊の高等工科学校へ通っていて、技術陸曹を育てるための教育を受けていました。当時の区隊長(担任)は幹部だったのですが、その区隊長に憧れ、幹部自衛官になって人を指揮する立場になりたいと具体的な思いを持ち、幹部自衛官になるにはどうしたらいいのか調べていたら防衛大学校があったので入校しようと決意しました。


●航空を選んだのはなぜですか?

庄司:
最前線で戦っているというイメージがありました。何気なく生活している今もレーダーで監視しているので、陸海空の中では一番カッコいいなと思いました。どうせやるなら先陣切ってやりたいと思いました。

●海上を選んだのはなぜですか?

山本:
1学年の時にそれぞれの部隊へ研修に行くのですが、陸海空によって人との付き合い方とか個性とか色が出てきます。自分には海上の雰囲気が一番合っていると思い、海上でもパイロットになれるのでそちらの道に進もうと思いました。


●陸海空でそれぞれどのような個性がありますか?

前澤:
陸海空で比べたら陸上は一番仲が良い感じです。宴会も多くあります(笑)。

山本:
海上は家族のような感じです。仲間というよりも、一つの船をみんなで動かし、厳しい部分も楽しい部分もある、みんなで乗り越えていく家族というイメージを1学年の時に抱きました。

庄司:
航空は、言いたいことをはっきりと言う人が多いです。また、一つのことをやる時に、みんなで助け合おうというよりはまずそれぞれが、与えられた仕事に対してしっかりと責任を果たそうとします。一人ひとりが最大の力を発揮したら結果的にみんなで大きなことができる、という感じです。

山本:
乗り物の規模ですけど、陸上だったら戦車、海上だったら船があって海上では何百人単位で一つの乗り物を動かしていきます。乗り物の人の数によって違うのかなと思います。航空は戦闘機が主力のため最大でも二人で物事を解決しなければいけないので、どうしても個人というか一人で決断するのではっきり意見を出すようになります。

●海上要員としては乗船経験も多くあると思いますが船酔いは大丈夫ですか?

山本:
船酔いはします。2学年の時は船酔いすると横になっていましたが、4学年にもなってくると船酔いしても痩せ我慢です。在校中の訓練は長くても2週間の航海です。また、学年が上がるにつれて船酔いする回数も減りました。

●学生生活の中で印象に残っていることは?

山本:
一つは7~9月の前期の間、学生長を務めたことです。防衛大学校は学生自身でさまざまな運営をするのでするのですが、学生2000人を統括するのが学生長の仕事です。もう一つはアメリカ留学です。アメリカ海軍士官学校との交換留学で5ヶ月滞在しました。小型船に乗って25人くらいで2~3週間航海します。船上では言葉に苦労して自分の思っていることがなかなか伝わらないこともありましたが、学問的なことだけでなく、文化的な交流もできて貴重な時間を過ごすことができました。英語の授業もあり、日常生活ではジェスチャーを使ってコミュニケーションできますが、授業ではそうはいきません。最初は聴きとるのに苦戦しましたが、時間とともに少しずつ理解することができました。滞在中、言葉にとまどい理解が不十分だったところも帰国してから留学中の資料に目を通すことでさらによく理解できました。


庄司:
1学年の1年間です。1学年の時は雑務が多く、学生舎の中でもいろいろな仕事があります。また、上級生の指導を受けたりと時間がない中で同期と苦労を分かち合い、楽しみながら生活したことが印象に残っています。中でも夏の訓練は、7月が定期訓練となっていて、そこで防衛大学校に入って初めての大きな訓練を行ったのですが、その一ヶ月で自分がひと回り大きくなったなと感じました。

●どのような訓練を行うのでしょうか?

庄司:
陸上要員の基礎的な訓練と、簡単な戦闘訓練で、最も大きなイベントとして東京湾8キロの遠泳があります。最初は泳げない人もいましたが1キロ、2キロと泳ぐ練習していき徐々に泳げるようになります。私は60人くらいの組長だったのですが、みんなの方向を確認しながら先頭を泳ぎました。

●防衛大学校に入校してよかったなと感じることは?

渡邉:
役職上、人に厳しく接するので嫌われることも多くありましたが、自分とは異なる意見を受け入れることの重要性を学べて良かったと感じます。

庄司:
濃い人間関係の同期が増えたことです。いろいろな組織に所属するので、小隊・中隊・大隊、部活、役職を担っている人たちの組織、要員の訓練で出会った同期、いろいろなところでいろいろな人に会え、信頼できる仲間ができたことです。寮生活していると嫌なところも見えますがそれ以上に自分が助けてもらうことを感じます。

●入学後の寮生活に不安はありませんでしたか?

庄司:
不安はありましたが、そんなに抵抗はありませんでした。慣れるまでに時間がかかる1学年もいますが、そのような時は、部屋の上級生や部屋長が学生をケアしています。


●学生生活の中で苦労している点は何ですか?

山本:
教育・訓練、学生舎生活、校友会の三本柱をどのように両立させていくかというのが難しいですね。特に防衛大学校では起床時間から消灯時間まで定められているためその中にどのようにおさえていくか、どのように自分の中に落とし込んでうまい具合に処理していかなければいけないのかと思い、時間の中に合う仕事を自分で割り振ってやっています。

前澤:
大隊学生長をやっているうえで、組織の運営は楽ではないなと感じています。組織が500人と大きいので全員が指示通りに動いてくれるとは限りません。どうしても組織には2割6割2割の人がいて上の2割は言わなくてもしっかりやってくれ、中の6割は言えばついてきてくれ、下の2割は違う方向を向いてしまいがちです。どの組織にも生じてしまうことですが、下の2割をいかに取り込み、促すかを日々考えています。

●将来の夢は?

渡邉:
女性自衛官は、増えてきているのですが、それに合わせていろいろな問題も起きています。女性の持ち味を最大限に生かすことのできる、女性自衛官が働きやすい職場作りができればと思います。

山本:
海外へ行った際、現地で勤務をされている方と接した時、日本ではできない仕事をされていたのが印象的でした。それこそ防衛駐在官であれば要人のうしろに立って一緒に記者会見するといった経験もできるので海外勤務をしたいと思っています。

●防衛大学校を目指している方へ一言!

山本:
防衛大学校に入校する利点は、貴重な友達、人間関係を築くことができます。庄司君とは3学年の時一緒に仕事をしていました。時には夜中の3時4時までかかってしまい、2時間睡眠で翌日の授業に向かうなど、本当に苦労を共にしている仲なので一生の宝物です。そのような人間関係を作れるのが防衛大学校のすばらしさだと思います。

渡邉:
自衛隊は組織単体で社会ができているので、入校してからしたいことを見つけることができます。女性であれば結婚、出産を見据えて人生設計ができますし、選択肢は多くあり、支えてくれる人たちがいるのでやりやすいと思います。これからも女性自衛官が増えていくことを考えると活躍の場もありますし女性ならではの仕事があります。災害派遣を思い浮かべてみてください。生活面等で困ったときには、男女ともに同性にしか相談できない事はあると思いますが、女性特有の柔らかさやきめ細やかさは被災者の方の心の支えになる面も多いようです。災害派遣だけでなく、様々な場面で女性の良さを生かして活躍できるので、防衛大学校への志望を考えている人は是非、挑戦してほしいと思います。

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