舶用補機の基礎(増補9訂版)


978-4-425-64018-8
著者名:島田伸和・渡邊和英 共著
ISBN:978-4-425-64018-8
発行年月日:2021/3/8
サイズ/頁数:A5判 360頁
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価格¥5,940円(税込)
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船舶の搭載機器の構造・原理・取扱いをはじめ、特性や理論的な現象まで、多くの図面を用いてわかりやすく説明。補機の基本となるものから、最新の機器まで幅広く収録。初学者・海技試験受験者の基礎固めに最適な一冊。

【まえがき】 著者の一人重川が先に成山堂書店から「舶用補機の解説」,続いて「舶用補機の基礎」なる二書を出版した。その後海洋汚染防止の強化による油水分離の問題,低質重油使用による油処理の問題,さらにはフロンガスによる成層圏オゾン層破壊に対する冷凍機のあり方等いろいろ新しい問題が浮上してきた。
そこでこれらの事を踏まえつつ前著「舶用補機の基礎」を土台にしてその改訂版を作ることとしたものである。しかし冷凍機や圧縮機の作動原理,ポンプの基礎理論あるいは水中の油粒の挙動等物理的事項に変化があるわけはなく,基礎的な内容は前著のとおりとした。 
前著を講義に使ってみた結果,学生の誤解しやすい表現や理解しにくい図面のあることが解ったのでこれらを修正し,また表示式が二行にまたがっていて解りにくい等の声があったのでこれを極力一行に収める等の配慮をした。ただし旧型の機器や重要度の低い機器は省略した。しかしたとえば旧型復水器のごとく現用機器の説明上必要なものは記載した。
本書では油清浄装置,油水分離器,冷凍機,火災警報,タンカー防爆関係等に新味を出し,また海洋生物対策を追加した。文中使用される単位は従来の工学単位系であるが,現在は工学上SI単位系が使用されるので便宜上両者を併記することも考えたが,そうするとあまりにも繁雑になるので巻末にSI単位系を表示することにした。また前著には索引がなかったが,本書では巻頭の目次を簡素化し巻末に索引をつけた。
主機,ボイラの境界域にある補機の概念はきわめて曖昧で本書でもなにを取り上げるべきか迷ったところであるが,奇をてらわずあえて既刊図書に盛られている項目に似たものとした。

1992年5月
島田伸和

【目次】
第1章 ポンプ 
 1.1 ポンプの分類
 1.2 一般理論
  1.2.1 揚程
  1.2.2 諸効率
 1.3 ターボ形ポンプ
  1.3.1 うず巻ポンプの分類
  1.3.2 揚水理論
  1.3.3 ターボ形ポンプの理論
  1.3.4 構造一般
  1.3.5 スラストの不つり合い
  1.3.6 特性
  1.3.7 ポンプの発停と流量調整
  1.3.8 並列・直列運転
  1.3.9 ポンプの例
 1.4 往復ポンプ
  1.4.1 分類
  1.4.2 クランクポンプ
  1.4.3 蒸気直動ポンプ
  1.4.4 可変容量形回転プランジャポンプ
  1.4.5 往復ポンプの弁
  1.4.6 往復ポンプの特性曲線
 1.5 回転ポンプ
  1.5.1 歯車ポンプ
  1.5.2 ねじポンプ
  1.5.3 すべり羽根ポンプ
  1.5.4 水封じポンプ
 1.6 特殊ポンプ
  1.6.1 摩擦ポンプ<
  1.6.2 ジェットポンプ
 1.7 流体トルクコンバータと水力継手
  1.7.1 流体トルクコンバータ
  1.7.2 水力継手

第2章 圧縮機  2.1 ガス圧送機械の分類
 2.2 ガスの圧縮
  2.2.1 圧縮に要する仕事
  2.2.2 多段圧縮
  2.2.3 圧縮機の諸効率
 2.3 往復圧縮機
  2.3.1 シリンダの配列
  2.3.2 指圧図
  2.3.3 ピストン有効面積
  2.3.4 弁
  2.3.5 潤滑
  2.3.6 冷却
  2.3.7 無負荷起動
  2.3.8 無給油式往復圧縮機
 2.4 ターボ形送風機・圧縮機
  2.4.1 遠心式送風機・圧縮機
  2.4.2 軸流式送風機・圧縮機
  2.4.3 遠心式と軸流式の比較
 2.5 往復圧縮機とターボ形圧縮機の比較

第3章 熱交換器  3.1 伝熱概論
  3.1.1 熱交換器の伝熱の様式
  3.1.2 熱交換器の交換熱量
  3.1.3 伝熱の形態
  3.1.4 熱伝達の式
 3.2 船舶用熱交換器一般
  3.2.1 分類
  3.2.2 円筒多管式熱交換器の熱膨張対策
 3.3 復水器
  3.3.1 復水器の目的
  3.3.2 主要構造
  3.3.3 冷却水量、水温と真空度との関係
  3.3.4 所要伝熱面積
  3.3.5 構造の要点
  3.3.6 復水器効率向上の対策
  3.3.7 復水器の構造例
  3.3.8 抽気ポンプ
  3.3.9 復水ポンプの制御
 3.4 造水装置
  3.4.1 構成と分類
  3.4.2 各形式の比較
  3.4.3 ブライン濃度と蒸発量
  3.4.4 構造例
 3.5 各種熱交換器
  3.5.1 脱気器
  3.5.2 2次ボイラ
  3.5.3 給水加熱器
  3.5.4 バッタウォース加熱器
  3.5.5 油加熱器
  3.5.6 ボイラ用空気予熱器

第4章 冷凍機  4.1 船舶用冷凍法の種類
  4.1.1 蒸気噴射式冷凍法
  4.1.2 吸収式冷凍法
 4.2 ガス圧縮冷凍法の原理
 4.3 冷凍サイクル
  4.3.1 モリエ線図
  4.3.2 動作係数(成績係数)
  4.3.3 冷凍サイクルの種類
 4.4 冷媒
  4.4.1 直接冷媒
  4.4.2 間接冷媒
 4.5 冷凍能力
  4.5.1 冷凍能力の単位と標準冷凍サイクル
  4.5.2 冷凍能力測定法
  4.5.3 冷凍能力と温度条件の検討
 4.6 圧縮機
  4.6.1 往復圧縮機
  4.6.2 回転圧縮機
  4.6.3 遠心式圧縮機
  4.6.4 軸封装置
 4.7 付属機器
  4.7.1 凝縮器
  4.7.2 受液器
  4.7.3 蒸発器
  4.7.4 油分離器
 4.8 自動運転用機器
 4.9 冷却法
 4.10 冷凍コンテナ
 4.11 冷凍機の取扱い法
  4.11.1 試験
  4.11.2 冷媒の充てん
  4.11.3 冷媒漏えい検査法
  4.11.4 除霜
  4.11.5 運転の不調と対策

第5章 空気調和  5.1 空気調和の意義
 5.2 室内空気の条件
 5.3 湿り空気線図
  5.3.1 構成
  5.3.2 湿り空気の状態変化
 5.4 空気調和の方式
  5.4.1 送風法による分類
  5.4.2 各方式の概要
 5.5 船倉内空気の防湿

第6章 油清浄装置  6.1 船内における油の清浄法
 6.2 遠心式油清浄機の理論
  6.2.1 最終沈降速度と遠心効果
  6.2.2 回転筒側壁の応力
  6.2.3 調整板と分離板
  6.2.4 分離能力
  6.2.5 加熱温度と清浄効果
 6.3 遠心油清浄機の分類
  6.3.1 清浄効果の大小による分類
  6.3.2 分離板の有無による分類
  6.3.3 掃除法による分類
 6.4 清浄機各論
  6.4.1 デラバル清浄機
  6.4.2 シャープレス清浄機
  6.4.3 グラビトロール清浄機
  6.4.4 セルフジェクタ清浄機
  6.4.5 船内における油清浄系統
  6.4.6 自動逆洗式フィルタ
 6.5 油水分離装置
  6.5.1 油水分離の動向
  6.5.2 油水分離装置の例
 6.6 廃油処理

第7章 かじ取装置  7.1 かじ取り装置の構成
 7.2 かじ取り装置の具備すべき条件
 7.3 だ角と所要動力
  7.3.1 だ角
  7.3.2 所要動力
 7.4 原動機
 7.5 管制装置と追求装置
  7.5.1 機械式管制装置と追求装置
  7.5.2 電気式管制装置と追求装置
  7.5.3 液圧式管制装置と追求装置

 7.6 かじ装置
  7.6.1 電動かじ取装置用
  7.6.2 殿堂油圧かじ取装置用
 7.7 作動油

第8章 巻上げ機  8.1 巻上げ機の分類
 8.2 巻上げ機の制動装置
 8.3 ウインチ
  8.3.1 荷役一般
  8.3.2 ウインチの具備すべき条件
  8.3.3 電動ウインチ
  8.3.4 油圧ウインチ
 8.4 揚びょうおよび係船装置
  8.4.1 ウインドラスおよび係船機
  8.4.2 自動係船機

第9章 その他の舶用補機  9.1 火災警報装置
 9.2 イナートガスシステム(不活性ガス装置)
 9.3 海洋生物付着防止装置
 9.4 汚水処理装置

(海事図書)


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