竹島をめぐる韓国の海洋政策


978-4-425-91181-3
著者名:野中 健一 著
ISBN:978-4-425-91181-3
発行年月日:2020/12/28
サイズ/頁数:A5判 176頁
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価格¥2,970円(税込)
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韓国の海洋当局は竹島周辺海域において、いかなる動きを見せているのか。韓国国会での長官や庁長等の答弁のほか、海洋水産部・国土海洋部・海洋警察庁や外交当局の報告書をもとに、韓国における海洋政策の論点とその狙いを考察する。

【はじめに】 日本政府のホームページをちょっと覗いてみよう。「内閣官房 領土・主権対策企画調整室」のホームページである。そこに記されている「政府の取組について」というか所をクリックしてみたい。領土および主権に関連する諸課題に対し、各省庁がどのような取組を行っているのか、確認できるようになっている。さて、ここで注目したいのが、文部科学省のサイトである(「文部科学省の取組について」)。本書の題目からは、やや意外な感もあるかも知れないが、今は議論を進めたい。
同省は冒頭で「発達段階に応じた領土に関する教育」について説明している。文字どおり、小学校から高等学校まで、児童の発達段階にあわせて領土教育を行うとの方針が示されているのである。さらに同省は、平成26年(2014年)、領土教育の充実を図るため、「中学校学習指導要領解説」、「高等学校学習指導要領解説」の一部を改訂したと論じたのだった。前置きが長かったが、筆者は読者をここに案内したかったのである。
2014年1月、文部科学省初等中等教育局長が中学校および高等学校の学習指導要領解説を一部改訂する旨、通知を出している。従来の中学校学習指導要領解説は2008年7月に、そして高等学校学習指導要領解説は2009年12月に公表されている。それが2014年1月、領土教育の充実のため、それらを一部改訂するというのである。それでは、具体的にどのような充実が図られたのだろうか。もちろん、それらは多岐にわたるのだが、ここで筆者はその一例として高校地理A に注目しようと思う。実は従来の解説では明記されてこなかった「竹島の経済水域」が指導上のポイントとして取り上げられるようになったのである。
ここで筆者の身分を明かしたい。筆者は海上保安庁職員である。海を生業している者として、竹島のみならず、その周辺の海に対しても関心が広がってくれれば個人的に非常に嬉しい。それこそ、高校における地理教育の充実が同島周辺海域を見つめなおす契機にでもなってくれればとさえ思う。
さて、本書はその高校の授業で触れることが無いであろう点を取り上げている。韓国の海洋当局等が竹島周辺海域において、いかなる動きを見せているかを論じようと思うのである⁶。文部科学省が領土教育の充実を訴えて「竹島の経済水域」をいくら取り上げたとしても、韓国側は、同島周辺において相変わらず各種の動きを見せ続けている。本書が彼等の動きに関心を抱く読者に対し少しでも役立つ知見を提供することができるのであれば、筆者自身、望外の喜びである。
なお、本書の議論はどこまでも筆者個人の見解である。筆者が所属している組織- すなわち海上保安庁- の見解とは一切関係ないことを強調しておく。

2020年11月
野中 健一

【目次】
序章
 1 カイケイチョウ
 2 韓国の海上法執行機関
 3 本書の問題意識
 4 本書の構成
 5 本書が想定している読者

第1章 竹島近海の日韓EEZ境界  1.1 日韓のEEZ 境界
 1.2 国連海洋法条約批准前後の条約解釈
 1.3 日本政府による日韓漁業協定破棄
 1.4 海上保安庁による竹島近海調査企図
 1.5 重複海域をめぐる争い

第2章 海洋警察庁による竹島警備  2.1 顕在化する竹島警備問題
 2.2 2005 年の竹島警備事案
 2.3 2006 年の竹島警備事案
 2.4 具現化する対日海上警備

第3章 海洋科学技術院と水産科学院による調査活動  3.1 法によって定められている竹島近海調査
 3.2 「竹島の日」制定に対する海洋水産部の措置
 3.3 政府主導の第一次、第二次竹島総合調査
 3.4 竹島の持続可能な利用に関する法律
 3.5 韓国政府の意図

第4章 竹島(総合)海洋科学基地  4.1 未建設の海洋科学基地
 4.2 第一次・竹島基地建設事業
 4.3 第二次・竹島基地建設事業
 4.4 文化財保護法と竹島
 4.5 日本側から見た懸念事項

第5章 海洋調査問題の再燃  5.1 韓国国会の態度変化
 5.2 2017 年5 月に確認された特異行動
 5.3 韓国国会における海上保安庁批判
 5.4 韓国が抱く不満と対抗措置

第6章 本書の研究方法  6.1 海上保安庁のシンクタンク
 6.2 歴史研究の手法
 6.3 地域研究コンソーシアムにおいて取り上げられた「社会連携」
 6.4 社会連携の意義
 6.5 本書の研究方法

終章
カテゴリー:海事一般 
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