クジラ・イルカの疑問50 みんなが知りたいシリーズ9


978-4-425-98322-3
著者名:加藤秀弘・中村 玄 編著
ISBN:978-4-425-98322-3
発行年月日:2025/8/28
サイズ/頁数:四六判 176頁
在庫状況:予約
価格¥1,980円(税込)
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私たちはクジラやイルカに対してどのようなイメージを持っていますか。大きな体、進化の不思議、巧みな狩り、芸達者、自然保護のシンボル、集団座礁、食文化など少し挙げただけでも様々なイメージが浮かび上がってきます。これは、私たちとクジラ・イルカとのかかわりが長くて深いことのあらわれと言えます。
その一方で、クジラとイルカの違いは何か、なぜ大きくなるのか、肺呼吸からエラ呼吸に戻らないのはなぜかなど、基本的なことでも意外と知られていないことも多い。
本書では、ザトウクジラはなぜ跳ねるのか、水族館のトレーナーとクジラと話ができるのか、クジラは増えているのか減っているのかなど、鯨類に関する素朴な疑問から一般にはあまり知られていない意外な事実まで、鯨類研究の第一人者たちがわかりやすく解説しています。通読すると、生物学から文化人類学に至るまで鯨類全般をバランスよく学ぶことができ、科学的な視点で鯨類を理解するのに役立つ構成といえます。
海洋生物に興味のある学生や一般にとっては鯨類の面白さがよく伝わる一冊であるとともに、専門家や研究者にとっても新たな視点やヒントを与えてくれる一冊です。

クジラ・イルカの驚くべき真実を解き明かす、知的好奇心を刺激する一冊

地球上で最大級の動物でありながら、その生活の大部分が謎に包まれているクジラやイルカたち。実は、彼らは恐竜をも凌ぐ史上最大の体格を持ち、深海3,000mもの極限環境に適応した驚異の生命体であることをご存知でしょうか。

本書『クジラ・イルカの疑問50』は、東京海洋大学の鯨類学研究室を中心とした第一線の研究者たちが、最新の科学的知見をもとに編纂した決定版ガイドブックです。「クジラとイルカの違いは?」「なぜあんなに大きくなれるのか?」「どうやって深海まで潜るのか?」といった素朴な疑問から、捕鯨をめぐる国際情勢まで、50のQ&A形式でわかりやすく解説しています。

専門家が執筆しながらも、豊富な図版や写真を交えているため、予備知識がない方でもワクワクしながら読み進めることができます。自然科学の不思議に触れたい方から、海洋環境や伝統文化に関心のある方まで、幅広い層の知的好奇心を満たす充実の内容となっています。

本書のみどころ

クジラ・イルカのダイナミックな世界に迫る、本書の魅力的なトピックをいくつかご紹介します。

  1. 恐竜を超える史上最大の体躯、その巨大化の秘密 史上最大の動物は、恐竜ではなく体長33mに達するシロナガスクジラです。本書では、重力から解放された水中環境に加え、食物連鎖の低次に位置するプランクトンを大量に食べる「濾過摂餌(ろかせつじ)」という戦略が、いかにしてこの巨大な体を支えているかを解説しています(P.38、P.47 図15-1)。
  2. 深海3,195mへの挑戦。驚異の潜水メカニズム マッコウクジラは一度の潜水で水深3,000mを超え、80分以上も潜り続けることができます。酸欠や凄まじい水圧に耐えられる秘密は、筋肉内に酸素を蓄える「ミオグロビン」が陸上哺乳類の8〜9倍も含まれていることや、水圧で空洞が潰れない特殊な耳の構造にあります(P.15、P.44)。
  3. 「音」で世界を見る。エコーロケーションの精度 光の届かない濁った海でも、ハクジラの仲間は超音波を使って周囲を「見て」います。頭部の「メロン」と呼ばれる脂肪組織を通じて音を放出し、跳ね返ってきたエコーを下顎で捉えて脳で映像化する仕組みです。その精度は凄まじく、8m先にあるわずか0.5mmの厚さの違いさえ識別可能です(P.49、P.51 図19-1)。
  4. 日本人とクジラ、伝統と科学の交差点 縄文時代から続く日本の鯨食文化や、江戸時代の組織的な捕鯨の歴史についても深く掘り下げています。骨やヒゲまで余すところなく利用してきた日本独自の知恵(P.133 図44-1)から、現代の資源管理に不可欠な「調査捕鯨」の最前線(P.122)まで、人間とクジラの長い共生の物語を描いています。

広大な海に広がる、知られざる「クジラたちの世界」へ。本書を手に取り、その奥深さをぜひ体感してください。

どんな人におすすめか

  • 自然科学や進化の不思議に興味がある方:四本足の陸上動物から、いかにして現在の姿へ進化したのか、図解を通じて楽しく学びたい方に最適です(P.3 図1-1)。
  • 水族館やウォッチングをより深く楽しみたい方:イルカのショーの意味や、野生のクジラがなぜ跳ねるのかといった背景を知ることで、観察の視点がより豊かになります(P.80、P.145)。
  • 環境問題や持続可能な資源利用に関心のある方:海洋生態系におけるクジラの役割や、科学的なデータに基づく資源管理の重要性を正しく理解したい方への入門書としておすすめです。
  • クジラの文化や歴史を学びたい学生・社会人:名前の由来から世界の鯨食習慣まで、文化人類学的な視点からも知識を深めることができます。
中身を見てみる

【はしがき】 つい先頃,学部学生から大学院修士課程にサハリン東岸沖海域で展開したアザラシ研究を振り返る機会をいただいた。振り返るほどに無謀な計画ではあったことを痛感するが,あの頃のあふれんばかりの熱意は懐かしくもある。時は流れ,対象もアザラシからトドへ,そしてクジラへと変貌し,職場も変遷した。
私は北大大学院の博士後期課程を2年で中退して,旧鯨類研究所へ奉職。このとき,IWC 科学委員会が実施するIDCR 国際鯨類目調査航海や当時操業中だった南極海母船式商業捕鯨にも参加する機会を得て,フィールドワークに明け暮れる生活を送っていた。
その後,水産庁遠洋水産研究所(後に水研センター,さらに水産研究。教育機構に包括される)に異動して,資源管理研究や国際問題なども担当するようになった。そして,十数年の時が流れた頃に自らの浅学に気付き,これらはみな熱意が先走るあまり系統的な教育をスキップしていたことを悟った。やはり鯨類学を系統的に学ぶシステムが必要なのである。
そうした時期に,幸運にも教育に携わるチャンスが訪れ,東京海洋大学海洋科学部海洋環境学科海洋生物学講座に鯨類学研究室を開設し,鯨類海産哺乳類学や海産哺乳類学などの専門授業も創設することができた。平成17 年8 月のことであった。
爾来,研究室には昔年の私のように熱意にあふれた学生が参集し,当方も充実した時間を過ごした。
しかし,誰にとっても時間は有限で,今春私も任期満了にて退任を迎えた。そうした前後に成山堂書店より本書企画の機会を戴いた。そこで,当人も鯨類学研究室出身の助教・中村玄君の多大な協力を仰ぎ,主として鯨類学研究室出身の研究者,技術者に設問と回答を担当してもらった。何らかのご不満を感じる皆さんには,責は当方にあることを銘記していただきたい。
業務の傍ら時間を作って原稿の執筆にあたっていただいた皆さんに心より御礼を申し上げる。
最後に本書の企画を担当され,また遅筆な我々を見捨てずにいてくださった成山堂編集部の皆さんに心より感謝の意を捧げたい。

2018年5月
東京海洋大学・鯨類学研究室
名誉教授 加藤秀弘

【目次】 question 1
 クジラとイルカって違うの?
question 2
 クジラはどんな生き物の仲間?
question 3
 クジラに足はないの?
question 4
 どうして魚の尾びれは左右の動きなのに,クジラの仲間は上下の動きになったの?
question 5
 クジラは口で呼吸できますか?
question 6
 クジラはどのくらい潜れるの?
question 7
 クジラってどのくらいの速さで泳げるの?
question 8
 クジラはどのように互いにコミュニケーションをとっているの?
question 9
 クジラ・イルカに双子は生まれる?
question 10
 クジラは何歳くらいまで親と過ごすの?
question 11
 クジラも牛みたいに胃袋がたくさんあるって本当?
question 12
 クジラは何をどれくらい食べるの?
question 13
 シャチがイルカ・クジラを食べるって本当?
question 14
 クジラは水の摂取をどうやって行っているのですか?
question 15
 なんでクジラは大きいの?
question 16
 クジラの視力ってどのくらい?
question 17
 クジラに耳はあるの?
question 18
 クジラは鼻で匂いを嗅げますか?
question 19
 イルカの仲間は音で周りを見ることができるってどういうこと?
question 20
 クジラにおへそはあるの?
question 21
 クジラの?ウネ” ってなに?
question 22
 クジラの潮吹きってなに?
question 23
 クジラヒゲってなに?
question 24
 歯がないハクジラっているの?
question 25
 頭の骨が歪んでいる種類がいるって本当?
question 26
 クジラの年はどうやって調べるの?
question 27
 クジラに特徴的な骨はなに?
question 28
 ニタリクジラってなんで?ニタリ”というの?
question 29
 ザトウクジラはなぜ跳ねるの?
question 30
 クジラはなんで回遊をするの?
question 31
 なぜクジラは浜に打ち上げられるの?
question 32
 クジラはどのくらいで大人になるの?
question 33
 クジラって何歳くらいまでいきるの?
question 34
 クジラは増えているの?減っているの?
question 35
 クジラの数はどうやって調べるの?
question 36
 飛行機を使った調査があるってほんと?
question 37
 なぜクジラは魚偏に?京” と書くの?
question 38
 捕鯨の方法を教えて
question 39
 IWC ってなに?
question 40
 クジラと日本人の歴史はいつ頃からはじまったの?
question 41
 世界で捕鯨している国はどのくらいあるの?
question 42
 調査捕鯨で何がわかるの?
question 43
 海外でクジラを食べる国はあるの?
question 44
 クジラは捨てるところがなく利用できるってほんと?
question 45
 クジラの栄養素を使ったサプリメントがあるってほんと?
question 46
 どうして船とクジラが衝突するの?
question 47
 博物館にあるクジラの標本はどうやってつくるの?
question 48
 水族館のイルカはどのようにしてショーにでるの?
question 49
 水族館のトレーナーさんはクジラと話ができるの?
question 50
 国内でホエールウォッチングができるところはありますか?


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