貿易と保険実務マニュアル 貿易実務シリーズ1


978-4-425-93151-4
著者名:石原伸志・土屋爲由・水落敬太郎・吉永恵一 共著
ISBN:978-4-425-93151-4
発行年月日:2018/5/18
サイズ/頁数:A5判 372頁
在庫状況:在庫有り
価格¥4,180円(税込)
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貿易取引にはさまざまなリスクが常に存在します。本書は、
・貿易物流の過程で貨物に生じる損害リスクを対象とした「貨物海上保険」、
・貨物海上保険と同じ貨物損害を貨物を運ぶ側の損害賠償リスクとして捉えた運送人の「賠償責任保険」、
・代金の回収不能などによる経済的損失を対象にした「貿易保険」、
・製品が消費者に与えた損害による賠償責任を対象とした「生産物責任賠償(PL)保険」、
これら4種類の保険制度に関して貿易に携わる方が必要とする実務知識を一冊にまとめました。

【はじめに】 古きフェニキア、エジプトの時代から19世紀初頭までの貿易取引形態は、「冒険商人」と呼ばれた売主が自ら船を仕立て、遠く輸入地まで商品を自ら運び、そこで商品を売却する持ち込み方式でした。航海術が未熟で帆船かつ木造船であった当時の船舶による航海では、輸送中に船舶が難破したり、海賊に襲われるような海特有の危険に遭遇し、莫大な損害を被ることも珍しいことではありませんでした。すべての責任と危機負担は売主にあり、だからこそ無事に帰港すれば莫大な利益が約束されていたわけです。
1858年に蒸気船グレート・イースタン号が大西洋の横断に成功し、船舶が帆船から蒸気船に、木造船から鉄鋼船に、小型船から大型船へと進化する一方、羅針盤の進化等による航海術の発展もあり、海上輸送を請け負う船会社が出現するようになると、従来冒険商人に独占されていた貿易取引が一般商人にも門戸開放されるようになりました。
さらに、17世紀英国で、無事に貿易船が帰港した場合は利益を享受できる代わりに、輸送途上で商品が滅失・損傷した場合の損害を保険料を出し合った者同士で負担する貨物海上保険制度が出来上がると、貿易取引はますます発展しました。

ところで、最近のわが国の貿易量の推移をみると、輸出入総額は1990年の75.3兆円から2017年は153.6兆円へと倍増しています。
言語や法律、考え方、商慣習などが異なる海外企業との間で、円滑な貿易取引を行っていくためには貿易実務に関する知識は必須になっています。
貿易実務は、①国際マーケティングと売買契約等の商取引、②貿易決済と外国為替、③貨物海上保険と貿易保険、生産物賠償責任(PL)保険、④輸出入通関、船積み、国際物流等から構成されていますが、円滑な貿易取引を構築・遂行していくためにはこれらの実務に関する知識の習得は必須条件です。
従来の貿易実務に関する出版物を俯瞰してみると、貿易取引全般を総論的にまとめた著述が多いように見受けられます。中でも保険に関しては貨物海上保険(モノ保険)の説明、それも旧在来船時代からの取引条件であるいわゆる“Tackle to Tackle”の原則に基づくFOBやCIF等を前提にした著述が多いようですが、本書では、コンテナ輸送の責任範囲である“Place of receipt to Place of delivery”を踏まえたFCAやCIP等にも対応する内容としています。
しかし、貿易取引に関する保険だけでも、次のような種類があります。
 ①貨物海上保険
  衝突や座礁、台風や波浪等によるコンテナの流失、輸送途上の貨物の損傷、盗難、紛失、未着等に対するリスクを補てん
 ②賠償責任保険
  船会社やNVOCC(利用運送事業者)が請け負った輸送業務に関し、損害賠償を請求された時のリスクを補てん
 ③貿易保険
  輸出相手国の政変や輸出先企業等が倒産して代金回収等が不可能になった場合のリスクを補てん
 ④生産物賠償責任(PL)保険
  輸入した商品によって購入者が損傷等を被り、損害賠償を要求された場合のリスクを補てん
 
そこで、本書『貿易と保険実務マニュアル』では、従来の貨物海上保険に加え、いままであまり解説されてこなかった貿易保険や生産物賠償責任(PL)保険、賠償責任保険にもスポットを当て解説することにしました。長年保険業界の第一線で活躍してきた各分野の専門家が一同に会し、日頃の実務を通して培った豊富な経験と知識を活かして、貿易取引を行なううえで重要な保険に関する理論とマニュアルを実践的に一冊にまとめました。
本書は、初めて保険を学ぶ方々だけでなく、日頃から貿易実務や貿易取引、保険業務に従事されている実務家の方々にとっても十分参考になるよう、最新の情報と具体的な事例や帳票類等も盛り込みながら、分かりやすく詳細に解説してあります。本書が関係者各位の知識と業務の向上の一助となれば望外の喜びです。
最後に、本書出版に際して、尽力いただいた株式会社成山堂書店に深謝申し上げます。

2018年4月吉日
執筆者一同

【目次】
序章
第1編 貨物海上保険
第1章 貨物海上保険(Marine Cargo Insurance)とは
 1.1 貿易物流リスクに対する保険
 1.2 貨物海上保険がその領域とするリスク
 1.3 貨物海上保険の特徴
 1.4 法律上の位置づけ
 1.5 貨物海上保険契約の当事者
 1.6 トレードタームと貨物海上保険
 1.7 トレードタームとリスク負担者

第2章 貿易物流に伴うさまざまなリスク  2.1 貿易物流の標準的形態
 2.2 代表的な貨物の物流リスク

第3章 協会貨物約款(ICC)  3.1 ICC の変遷
 3.2 約款の構成
 3.3  保険条件:カバーされる損害・されない損害―ICC(A)、(B)および(C)
 3.4 保険期間

第4章 特殊なリスクと貨物海上保険  4.1 戦争・ストライキ保険
 4.2 地震リスクと貨物海上保険
 4.3 DUTY INSURANCE(DUTY CLAUSE)
 4.4 コンテナと貨物海上保険
 4.5 エアカーゴと貨物海上保険

第5章 契約実務―申込みからポリシーの受領まで―  5.1 保険会社との間で確認すべき事項
 5.2 申込み実務とその効率化
 5.3 貨物海上保険の値段(保険料率)

第6章 事故対応と保険金請求手続き  6.1 事故の通知から保険金の受領まで
 6.2 保険金の種類と計算方法
 6.3 共同海損と貨物海上保険
 6.4 運送人などの責任と貨物海上保険
 6.5 リスク・マネージメントとロス・プリベンション

第7章 貨物の損害をカバーするその他の保険  7.1 輸出FOB 保険
 7.2 運送保険
 7.3 内航貨物海上保険
 7.4 船舶保険(Marine Hull Insurance)
第8章 国際物流と賠償責任保険  8.1 貨物海上保険と賠償責任保険の関係
 8.2 国際複合運送と運送約款
 8.3 国際航空運送
 8.4 内航運送と賠償責任
 8.5 国内陸上運送と賠償責任
 8.6 フレイト・フォワーダーと賠償責任保険
 8.7 商法改正

第2編 貿易保険
第9章 海外展開に伴うリスク
 9.1 貿易取引に潜むリスク
 9.2 海外投資に潜むリスク
 9.3 この取引、進めて大丈夫?

第10章 貿易保険制度の総論  10.1 貿易保険とは―海上保険と貿易保険―
 10.2 貿易保険と政府の関係
 10.3 貿易保険の役割
 10.4 貿易保険の種類
 10.5 日系企業の活動、外国企業との契約受注などを支援する再保険スキーム
 10.6 貿易保険で支援する契約
 10.7 貿易保険でカバーする保険事故のてん補事由

第11章 貿易保険を申込む前の準備  11.1 貿易保険の利用できる企業
 11.2 保険利用者コード(シッパーコード)の登録
 11.3 海外商社名簿への支払人等の登録
 11.4 保険契約の締結方式

第12章 貿易保険の引受  12.1 非常危険の引受
 12.2 信用危険の引受

第13章 保険契約の締結  13.1 保険申込み前に事前相談が必要な契約等
 13.2 保険価額、保険金額
 13.3 重要事項説明書の内容確認
 13.4 保険申込み
 13.5 保険責任
 13.6 保険料
 13.7 契約の内容変更等

第14章 保険事故  14.1 想定される主な保険事故
 14.2 保険事故の発生後、保険約款での一連の義務や手続きなど
 14.3 保険事故の発生
 14.4 損失防止軽減義務
 14.5 保険金の請求
 14.6 回収

第15章 貿易保険の概要  15.1 貿易一般保険の概要
 15.2 限度額設定型貿易保険の概要
 15.3 中小企業・農林水産業輸出代金保険の概要
 15.4 簡易通知型包括保険の概要
 15.5 輸出手形保険の概要
 15.6 前払輸入保険の概要
 15.7 海外投資保険の概要
 15.8 貿易代金貸付保険の概要
 15.9 海外事業資金貸付保険の概要
 15.10 知的財産権等ライセンス保険の概要

第3編 海外PL 保険
第16章 グローバル経済と製造物責任
 16.1 貿易取引と海外PL 保険
 16.2 グローバル経済と法律
 16.3 損害賠償責任
 16.4 安全への価値観と製造物責任の出現
 16.5 製造物責任(Product Liability)
 16.6 不法行為法改革(Tort Reform)
第17章 米国のPL 訴訟環境  17.1 米国の司法制度
 17.2 米国のPL 訴訟
 17.3 弁護士の数
 17.4 陪審制度(Jury System)
 17.5 成功報酬制度(Contingent Fee System)
 17.6 提訴費用(Filing Fee)
 17.7 連帯責任(Joint and Several Liability)
 17.8 ディープポケットセオリー(Deep Pocket Theory)
 17.9 専門家証人(Expert Witness)
 17.10 懲罰的損害賠償金(Punitive Damages)
 17.11 集団訴訟(クラスアクション;Class Action)
 17.12 米国の特徴的なPL 訴訟事例
 17.13 米国の民事訴訟手続き

第18章 米国におけるPL 法改正動向  18.1 不法行為法改革(Tort Reform)の動向
 18.2 第3 次不法行為法リステイトメント
 18.3 クラスアクション公正法

第19章 ヨーロッパのPL 動向  19.1 EU 指令
 19.2 一般製品安全指令(GPSD)
 19.3 製造物責任(PL)指令
 19.4 EU 製造物責任訴訟実態
 19.5 EU 製造物責任指令と日本の製造物責任法の比較
 19.6 リコールの状況

第20章 アジア諸国のPL 制度  20.1 概説
 20.2 中国
 20.3 その他のアジア諸国の現状
 20.4 日本の製造物責任法
 20.5 日本のPL 法の課題

第21章 海外PL 保険(海外生産物賠償責任保険)  21.1 海外PL 保険(海外生産物賠償責任保険)の重要性
 21.2 海外PL 保険(海外生産物賠償責任保険)の解説

第22章 海外PL 訴訟対応  22.1 輸出品のPL 訴訟対応
 22.2 輸入品のPL 訴訟対応

第23章 企業に求められるPLP 対策  23.1 PLP 対策の基本
 23.2 PLP 予防対策
 23.3 輸入業者のPLP 対策



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カテゴリー:物流 
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