海難救助のプロフェッショナル 海上保安庁 特殊救難隊


978-4-425-95591-6
著者名:「海上保安庁 特殊救難隊」編集委員会 編        第三管区海上保安本部 協力 
ISBN:978-4-425-95591-6
発行年月日:2016/11/28
サイズ/頁数:A5判 224頁
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価格¥2,200円(税込)
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「苦しい 疲れた もうやめた では 人の命は救えない」
海難救助のプロフェッショナル ー 折れない心を持つ、36人の精鋭たちのドキュメンタリー。

海難救助のプロフェッショナル「海上保安庁 特殊救難隊」は、昭和49年11月の東京湾で発生したLPGタンカーと貨物船との衝突・火災海難を契機として、特殊な海難に対応するため、昭和50年に隊員5名体制でスタートしました。
彼らは、全国1万3千余の海上保安官のなかの精鋭36人。機動救難士や潜水士が行っている訓練に加えて、消火作業訓練、危険物が存在する有害区域での捜索訓練や特殊な資器材の取扱い訓練を日常的に行うほか、機会を捉えてこれらの訓練に必要な専門的知識の習得に努めています。
その業務は、潜水作業による転覆船等の船内からの救助作業や、ヘリコプターを使用した漂流者や傷病者等の救助、危険物積載船の火災消火、毒物等危険物により汚染された環境下における人命救助等、特に高度な知識・技術を必要とする「特殊海難」に対応することを任務としています。
特殊な任務をこなし、さまざまな海難に対応する「海上保安庁 特殊救難隊」。本書は、その退職OB、現職OB、現職に取材、実際の海難出動事例や過酷な訓練の様子、責任とやりがいなど、「生の声」を、貴重な写真も交えて紹介しています。
彼らの存在意義や役割は誰もが認めるところだが、少数でスタートし、個々の隊員たちが自ら訓練を工夫し、器材を開発し、数々の海難を経験しながら、現在の地位を確立した発展の歴史を、さまざまなエピソードも交えて著わした「特救隊」の奮闘記です。
「特殊救難隊」の活躍をテーマにした映画のヒットが記憶にあたらしいが、本書は「本物」の彼らの活躍と努力を知ることができる貴重な一冊です。

■海上保安庁 特殊救難隊員へインタビューしてきました


【発刊にあたって】より 海難現場での厳しい現実に直面して、遭難という「悲しみの涙」ではなく、救助という「喜びの涙」にしなければ、と痛切に思った20歳代の特殊救難隊での経験が、私のその後の海上保安官生活、ひいては人生の原点となりました。
海上保安庁特殊救難隊は、昭和50年に隊員5名で発足しました。私は、特殊救難隊員として昭和57年からの6年間、また、特殊救難基地長として平成16年からの2年間の合計8年間にわたり、特殊救難隊で多くのことを体験し、多くのこと学びました。そして幸運なことに、特殊救難隊発足10周年の年は隊員として、30周年の年は基地長、40周年の年には、第三管区海上保安本部長として、特殊救難隊と密接に関係する職に就かせていただき、人生のめぐり合わせを感
じました。
特殊救難隊がどのように育っていったか、本書では隊員の経験談を基に紹介されています。特殊救難隊を、その背景も含めて、より知っていただくため、平成27年10月に開催された『特殊救難隊発足40周年記念式典』において述べたことを一部紹介させて頂きます。
「隊員は、海上保安庁の精鋭」とありがたい評価を頂いているところであります。しかしながら初期にあっては、海難救助を主たる任務とする海上保安庁初の陸上組織ということもあり、周囲の理解は必ずしも十分ではありませんでした。そのような中で、隊員には個性的で熱い情熱を持った職員が集まり、彼らを、航空基地、三管本部および本庁職員が支えたことは無論、救助するための器材開発には隊員に劣らず熱い想いを持った若い事業者の方々の支えもあり、互いに切磋琢磨して技術開発に取り組み、まさに手作りで特殊救難隊の形を作り上げていったものといえます。
特に初期はほとんどが独身の隊員であったことから、当時の四畳半一間の独身寮で生活をともにし、また休日は、出動即応態勢をとりつつ、旧三管本部庁舎等で自主訓練に望む等、24時間365日特救漬けの生活で、現在の特殊救難隊の礎を築いたわけです。
特殊救難隊はこのように、過酷な海難現場で救いを求める人々の願いに応えようとする隊員の熱い想いが原点にあり、その想いをその後に続いた隊員や関係職員がしっかりと伝統として引き継ぎ、また、部内外から様々なご支援をいただいたことが、その輝かしい特殊救難隊の歴史を作ったものと確信しているところであります。(中略)自然の猛威の中では我々の力は微々たるものです。過酷な状況で助けを求めている方々に救助の手を差し伸べるのは容易ではありません。しかしながらそれをやるのは自分たちであるとのプライド、情熱、そして仁愛の精神をもって、また、関係者の想いを胸に抱き、そして何より遭難者が自分たちを待っているとの想いを常に念頭におき、特殊救難隊を更に進化させ続けることが現役の隊員・職員の務めであることをこの40周年を機に改めて確認し、現場で希望の光となるべく特殊救難隊の更なる発展を期待しています。
記念式典の際などにOB隊員が集まった時には、これからは大怪我をしたOB隊員も多くなるのではと、必ず話題にのぼっていますが、幸いにもいまだそのような事態にはなっていません。本書にも紹介されていますように、危機一髪の事態は多々ありましたが、隊員の力が本物であるからこそ、どんな事態に陥っても、そこから脱出できるのでしょう。
本書は、隊員の経験をとりまとめたものであり、すべてが現実に起こったことです。現在、実際に救助活動に携わっておられる方々にとって参考となり、その結果、より多くの人々の生命を救うことにつながれば幸いです。また、若い隊員たちの救助に対する熱い思い・情熱を感じていただければ、現役の隊員たちにとっても新たな力が湧いてくるものと思います。人命救助という厳しい内容の書籍ではありますが、隊員たちの汗・涙・笑いもあり、硬軟の話題も盛り込まれていますので、若い読者の方々には同年代の隊員の生活ぶりも想像していただき、また、ご年配の方々には自らの若い頃の情熱を思い起こしていただき、気軽に読んでいただければ幸いです。
特殊救難隊の活躍する場面がないことが望まれるところですが、現実には悲な海難は発生します。そこでしっかり関係者の願いに応えられる特殊救難隊であるべく、これからもご声援、叱咤激励を、特殊救難隊OBの一人としてお願いいたします。

平成28年10月
前・第三管区海上保安本部長
九代目特殊救難基地長
大久保 安広

【海上保安庁 特殊救難隊とは】 海難救助のプロフェッショナル「特殊救難隊」(SRT:Special RescueTeam)は、昭和49年11月の東京湾で発生したLPGタンカーと貨物船との衝突・火災海難を契機として、特殊な海難に対応するため、昭和50年に隊員5名体制でスタートしました。
彼らは、全国1万3000人余の海上保安官のなかの精鋭36人。機動救難士や潜水士が行っている訓練に加えて、消火作業訓練、危険物が存在する有害区域での捜索訓練や特殊な資器材の取扱い訓練を日常的に行うほか、機会を捉えてこれらの訓練に必要な専門的知識の習得に努めています。その業務は、潜水作業による転覆船等の船内からの救助作業や、ヘリコプターを使用した漂流者や傷病者等の救助、危険物積載船の火災消火、毒物等危険物により汚染された環境下における人命救助等、特に高度な知識・技術を必要とする「特殊海難」に対応することを任務としています。
本書では、特殊な任務をこなし、いまもさまざまな海難や震災等に対応する「特殊救難隊」の退職OB、現職OB、現職に取材、記憶にあたらしい、練習帆船「海王丸」座礁など実際の海難に出動した事例や、隊員たち自らが、「どんな現場でも耐えうるため」に考え出した過酷な訓練の様子、そして、その責任とやりがいなど、「生の声」を、貴重な写真も交えて、まとめたものです。
特殊救難隊の、その意義や役割は、いまや誰もが認めるところですが、少数でスタートし、個々の隊員たちが自ら訓練を工夫し、器材を開発し、さまざまな海難を体験・対応しながら、現在の地位を確立しました。本書は、隊員たちのこれまでのさまざまなエピソードも交えた「特殊救難隊」の奮闘記でもあるのです。
なお、第2章「現職OB編」では、ページの端に、100km行軍中に隊員が考えた「心の俳句」が記されているので、併せてお読みいただければ幸いです。

「海上保安庁特殊救難隊」編集委員会

【目次】
第1章〈退職OB編〉
SRTの隊員たちが振り返る
特殊分野への進出と、人的資源の充実
 ヒストリー1【潜水士と特殊救難隊】
 ヒストリー2【特殊救難隊への道】
 ヒストリー3【二代目隊長として】
 ヒストリー4【二代目基地長になって】
 ヒストリー5【訓練中のミス】
 ヒストリー6【現場でのヒヤリハット】
 ヒストリー7【出動事案】
 ヒストリー8【現役隊員に伝えたいこと】

第2章〈現職OB編〉
SRTの隊員たちが振り返る
あの日の苦難、そして達成感
 エピソード1【特殊救難隊になってよかった】
 エピソード2【人命の尊さ】
 エピソード3【初めての出動】
 エピソード4【現場でのヒヤリハット】
 エピソード5【訓練での工夫】
 エピソード6【苦しい疲れたもうやめたでは人の命は救えない】
 エピソード7【もうダメだと感じた時】
 エピソード8【100?行軍】
 エピソード9【網走・奥日光潜水訓練】
 エピソード10【限りなき挑戦】

第3章 〈出動事例編〉
SRTの隊員たちが振り返る
困難を極めた救助活動、瞬時の現場判断
 航海訓練所練習帆船「海王丸」座礁海難
 鹿島灘沖、鉱石運搬船座礁・連続海難
 タンカー「サニー・ブリーズ」号火災海難
 ケミカルタンカー「マース・グサール」号爆発・沈没海難
 自動車運搬船「ファル・ヨーロッパ」号座礁海難
 羽田空港沖、日本航空航機墜落事案
 潜水艦「なだしお」・遊漁船「第一富士丸」衝突海難
 タンカー「ナホトカ」号重油流出海難
 LPGタンカー「第三十八いづみ丸」衝突・座礁海難
 瀬渡船「栄福丸」転覆海難

第4章〈羽田特殊救難基地編〉
SRTの隊員たちが語る
日々続く、訓練の工夫と発展
特殊救難隊の訓練
 特殊救難隊になる前の潜水訓練
 「全員潜水士に」を目指しているが
 足首がもげる! ?
 現場・訓練でのヒヤリハット
 窒素酔いで作業ができない
 自分の命を落とすことにもなる!?
 現場を意識した訓練
 ヒートストレスで口論!?
 やりたい気持ちはあっても体がついていかない
 バディのフォロー
 東日本大震災での救助活動
 苫小牧沖フェリー火災海難
 鬼怒川決壊
 心残りの海難
 新人の登竜門100?行軍
 特救隊の苦労とやりがい今後の更なる工夫と発展
 熱い思いがあれば、特救隊に入れる
 特殊救難隊を志願される方へ

番外編 伝説の潜水士
 創設時の苦労を、共に超えたからこその想い
用語解
歴代職員・隊員一覧
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